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桃赤
〈見えない〉
※nmmn stxxx
※なんでも大丈夫な方のみ
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
いつも通り、なにも変わらない日々になるはずだった。
そんな今日は、少し特別な日になった。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
赤『おはよ~』
友達『おはよっ!』
友達『昨日のドラマ!見た!?』
赤『見たよ~』
友達『あの〇〇って人最高じゃなかった!?推しになりそ~!』
赤『ぁ、ああ!あのかわ、いい…?』
友達『え、かっこよくない?』
赤『間違えたっ!笑 かっこいいよね、!』
こんなことは日常茶飯事なわけで、特に気にせず話は進んでいく。
まさか俺が、顔を認識できない“失顔症”だなんて誰も思っていないからね。
誰が誰かわからないドラマを一応見るのも話を合わせるため。
特徴を見つけてメモをして、それを必死に暗記する。
そんな日々だった。それが当たり前だった。
友達『ちょっとトイレ行ってくる~!』
友達『私も~』
赤『行ってらっしゃい笑』
会話が一段落し、今話していた人を確実にするためにメモ帳を出す。
ふと隣を見てみると暇そうに俺の横にある窓から外を見ている百瀬さんがいた。
桃『どしたの?紅井さん…』
赤『ぁ、いや…別に…っ?』
桃『ふ~ん…』
このクールでイケメンな百瀬さんは当然モテるわけで…俺が話しかけるわけにもいかない。
【声は低めで、髪色は桃】
【周りに人がたくさんいる】
【いつもちょっとだけ服を着崩している】
【ちょっと無愛想…?不器用…?】
【イケメンの雰囲気…!】
これが百瀬さんの特徴。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
昼休み
購買で適当に買ったパンを外を見ながら食べようとすると、ふと思い出したことがあった。
そういえばついさっき、先生が百瀬さんを呼んできてほしいと言われたのだった。
隣にいる百瀬さんに声をかける。
赤『百瀬さん、そういえはさっき…』
そういいながら百瀬さんを見た。
はずだったのだが、そこには百瀬さんの友達がいた。
少しの緊張からか特徴を見れていなかった。というか、下を向いてた。
桃『俺、ここだけど…』
百瀬さんは教室の前からこちらに向かってきていた。
赤『ぁ……ご、ごめんねっ…』
桃『…で、どうしたの?』
赤『さっき〇〇先生が百瀬さんのこと呼んでて…』
桃『あー、了解。ありがとなっ』
笑ってくれた気がした。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
桃『さっきはありがとな~』
赤『いえ…、』
(正直、変に思われてそうで怖い。
だって明らかに別の人なのに話しかけるって、おかしいじゃんか。)
桃『大丈夫、?』
赤『っ、』
(“大丈夫”って、なに…?なんて返せばいい?)
赤『大丈夫…だよ、』
桃『ふ~ん、そっ…。』
嫌われても、おかしくない。
一際目立つ百瀬さんを間違えるなんて。
いくら理由があったとしても、知らなかったらその理由にも意味がない。
けれど、言いたくはない。
我儘すぎるけど、
(…やっぱりこのままでいいんだ。)
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
桃『赤く~んっ』
オレンジ色に染まる学校の廊下。
突然背後から名前を呼ぶ声が聞こえる。
(あれっ…この人、“赤くん”なんて呼んでたっけ。 いや、呼んでなかった…よね? )
赤『どうしたんですかっ、?』
桃『いやぁ、今日なんかずっと上の空って感じで心配でさ~』
赤『ぁ、ああ…えっと、その…』
桃『俺の特徴、他にないの?』
赤『っ…え…と…?』
思考が停止する。
(他に、ないの…って、どういう…)
桃『ぁ、見えちゃったんだよね、メモ?みたいなやつ』
赤『へ、』
桃『外見てたんだけど、ふと目に入っちゃってさ…』
赤『あぁ……』
桃『なんで書いてんの?』
赤『え、っと……その…俺、顔がわかんないんです…変、ですよね…笑』
『そういう病気で…』
桃『え~!そうなの!?』
『でも俺めっちゃわかりやすくない?』
赤『まぁ、はい…でも今日…』
桃『いやいや俺の席に座ってたあいつが悪いって笑』
赤『…笑』
理解してもらえるって、幸せだな。
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過去
モブ『あいつ顔わかんないらしいよw』
モブ『え、なに?厨ニ病ってやつ?それとも虚言?ww』
赤『っ、』
カミングアウトしたときからずっと、言われ続けた。
家族には相談できるわけなくて、先生は見て見ぬふり。
助けを求めることもできず、なんとか卒業。
高校になってからは誰にも言わず、特徴を覚えるのに必死になって…
ほんと馬鹿みたい。
でもそんな俺を受け入れてくれる人に出逢えた今日は、少し…いや、とても特別な日になった。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
赤『特徴か…う~ん…猫ちゃんぽいとか?』
桃『え!?俺猫飼ってるよ!笑』
赤『うそっ!?やった、笑』
桃『なに、着崩してるって…』
赤『じゃあ今着てる服をちゃんと見てみてくださいー』
桃『…たし、かに……』
赤『あははっ笑』
桃『なんだよ!笑』
𝑬𝑵𝑫