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12月24日
今日は待ち合わせして映画を見る
それからクリスマスマーケットに行き、買い物しながらイルミネーションを見る事になっている
そんな予定を立てていた
時計を見た
もうとっくに待ち合わせの時間は過ぎている
人混みの中、こちらに駆け寄って来る人影
「ごめーん!バスに乗り遅れちゃった。なんかめっちゃ混んでて‥‥もう映画間に合わないよね?」
「そうだな。もうお前が見たい映画は始まったからな。まったく」
「うぇぇーん、ごめんよ?もっと早く家出れば良かった」
「‥‥それな」
コイツはまったく‥‥
でも今日に限ってはこんな感じになるんじゃないかと思ってた
虫の知らせって奴だ
「どうする?違う映画でも見る?それとも‥‥お前走ってきて疲れてそうだからスタバでも行く?」
「スタバ行く‥‥」
さすがに落ち込んだ様子のウェンの背中を叩き、スタバへ向かった
もちろんここも‥‥
「‥‥混んでる」
「当たり前だろ?クリスマスだし」
「やめようか」
「少し待てば良いだろ?」
どうやら今日はウェンにとってついてない日のようだ
明らかにいつもよりテンションが低い
発端は自業自得だけどな
俺は注文した飲み物をウェンが待つ先へと持っていく
「ほらよ、チョコレートフラペチーノ」
「美味そっ!」
ウェンは喜んで口へ運んでいる
「ロウのは何?」
「俺のはチョコレートラテ」
「一口ちょうだい?」
「ん」
「‥‥うまっ。温かいのも良いね」
「だな」
俺に飲み物を返しながらウェンが俺をマジマジと見ている
「‥‥何だよ」
「いや、今日もオシャレだなって思って。髪の毛だってピン留めしちゃって」
「俺はお前と違って朝早く起きて準備時間たっぷりあったからな」
「‥‥俺ダサくない?」
「そんな事ねーよ」
「そうだよね。俺っていつもカッコいいもんな」
「調子に乗るな」
いつもは気にしないのに今日は何だか変なウェン
でも甘い物で気分が上がったのか、笑顔が増えた
その後クリスマスマーケットを巡り、クリスマスプレゼントする為に店で互いに気に入ったものを買い合った
空も暗くなり、イルミネーションを見る為に俺たちはまた場所を移動する
近くまで来ると青白い光に包まれ、恋人や友人、家族がみんなイルミネーションを見つめていた
「凄いな」
「そうだね。俺、家族以外と見に来たの初めて」
「俺もだよ」
「クリスマスのデートだって初めてだったのに‥‥予定狂わせちゃったし」
「まだ言ってんのかよ。今一緒にいられるんだから良いだろ?」
「そうだけど‥‥」
口を尖らせて俺を見る
俺はウェンの手を取り、口を開く
「じゃあそろそろ戻るか」
「え?早くない?‥‥‥‥まぁ、いいか」
大通りを抜け、違う通りへ向かう
ウェンは何も言わずに俺に着いてくる
そして急に立ち止まった俺にウェンがぶつかった
「おっと!え、どうした?」
「‥‥お前まだ時間大丈夫?」
「え、大丈夫だけど」
ウェンが俺を見てから隣の建物を見る
「‥‥‥‥え?」
「まだ何も言ってないけど」
「だって‥‥ここ‥‥」
「フフッ、喜んでんじゃねーよ」
俺達は自動ドアを抜け、その中へ入って行った
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