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Episode 20「試験監督室 前編」
試験監督室。
モニターには六日間の記録が映っていた。
担当員Aが資料をめくる。
「まず前提として」
「今回の試験、課題の出来はほとんど評価に入っていません」
担当員Bが頷く。
「課題はあくまで口実だからな」
「本当に見たかったのは六日間の共同生活がちゃんと出来るかどうか」
「閉鎖環境で、隊として安定して動けるかどうか」
「その二点だ」
担当員Aが続ける。
「そのために最初からいくつか仕掛けてありました」
担当員Bが頷く。
「意図的にトラブルを発生させて、その様子を見るためだな」
「その通りです」
担当員Aが続ける。
「まず施設自体の仕掛けから」
「一日目、ベッドを一つだけ意図的に使えない状態にしてありました」
担当員Bが画面を見る。
「結果は?」
担当員Aが答える。
「三上隊員が即座に女子はベッドで寝るよう提案しました」
「黒瀬隊員もソファーで寝ると申し出た」
「じゃんけんで決着をつけて終わりです」
「揉め事なし」
「かなりスムーズでしたね」
「次に秘密指令についてです」
担当員Aが資料を開く。
「秘密指令は課題と同時に端末へ届く仕組みにしてありました」
「該当隊員だけに届くようになっていて」
「他の隊員には表示されない設定です」
「また指令内容を他の隊員に話してはいけないというルールも設けてありました」
「一日目」
「黒瀬隊員への指令です」
「内容は今夜水瀬隊員の充電ケーブルを隠すことでした」
担当員Bが頷く。
「ちなみに一日目の秘密指令だが」
「指令を出したのは一日目だが、実際に動いたのは二日目の朝だな」
担当員Aが頷く。
「指令の内容が今夜やれというものでしたので」
「実質的には二日目のトラブルとして機能しました」
担当員Bが画面を見る。
「翌朝、水瀬隊員が紛失に気づいたんだな」
「普通なら誰かを疑ってもおかしくない状況だ」
「結果は?」
担当員Aが答える。
「揉め事なし」
「黒瀬隊員が即座に解決策を提案して終わりました」
「水瀬隊員も特に引きずらなかった」
「隊員一人が原因のトラブルでも責任追及しない判断でした」
担当員Bが少し感心したように言う。
「指令を出した本人が解決策を提案してるんだな」
「そこが面白い」
担当員Aが続ける。
「三日目」
「三上隊員への秘密指令です」
「内容は誰かのミスを指摘することでした」
「この隊のムードメーカーが怒った時、隊がどう動くか見たかったんです」
担当員Bが頷く。
「水瀬隊員への些細な指摘が発生したんだな」
担当員Aが続ける。
「ただ黒瀬隊員と秋月隊員が即座に場を収めました」
「黒瀬隊員は感情的にならず事実確認だけして終わらせた」
「秋月隊員も穏やかに三上隊員へ声をかけていました」
「雰囲気の乱れは最小限でしたね」
「しかも夕飯時には普通に三上隊員と水瀬隊員が話していた」
「引きずらないんですよね、この隊」
担当員Bが静かに言う。
「ムードメーカーが多少荒れても崩れない隊って、実は珍しいからな」
担当員Aが頷いた。
「それだけ各隊員がちゃんと機能しているということですね」