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「え、音々のインタビュー?俺、ファンなんですよ!自分で言うのもあれですけど、古参なんです!前から音楽の才能あるなって思ってたんですけど

高校卒業直前くらいからさらに磨きがかかっていて、本当に凄いんですよ!それで、次は───」



優side


久々の完全1日オフ。進級してから初めての登校で、朝から宮野さんに話しかけられまくった。朝に変な条件を出され、話しかけられ、家に招待される。仕事以外でこんなに疲れたのは初めてだ。


条件とやらについては拒否した。敬語ごときでその条件は天秤が合ってなさすぎる。これでも一応モデルをやってるから、スキャンダルになったら大変だということも伝えたが、そんなに人気ないじゃんやや辛辣な言葉を放たれた。それでも納得はしてくれたようで……


───何故か宮野さんの弟と下校する事になった。


音々)それで、僕が呼ばれたのか


優)…悪い


音々)君…えっと、星宮のことは気にしてないよ。こっちこそ、僕の姉がごめんね


本当に申し訳なさそうにしているのは宮野さんの弟……確か音々だっけ。宮野さんがそう言ってた記憶が端っこにある。


優)うん。宮野さん…お姉さんには本当に、色々と


音々)お互いに今日が初めましてなんでしょ?お姉ちゃんがそんなにぐいぐい行くなんて珍しいな……


優)そう?結構あちこち行ってたけど


昼休みなんて、教室で数人のクラスメイトとちょっとした勉強会も開いてたし。


音々)お姉ちゃん、学校でもそんな感じなんだ


優)家でもそうなのか?


音々)学校にいる時よりは大人しい…と思いたいけど、どうなんだろ


音々にもよく分からないらしい。何故か悔しそうにしていたから、もしかしてシスコンなのかもしれない。今は何も言わないでおこう。うん。シスコンはよくいるしな。


優)お姉さんとは違う学校なのか


音々)うん。音楽系の進学校


優)へぇ。凄いじゃん


流れでそう言うと、音々は勢いよく振り向いてきた。え、なに。なんか変なこと言った?


音々)ほんと!?


優)うん


音々)ふーん?へぇー?ほーん……?


1歩ずつこっちに近寄ってくる音々に疑問が出る。別に嫌じゃないけど、びっくりする。


優)急に距離詰めてくるじゃん。なに?


音々)いや〜、家族以外の人に褒めてくれるのなんていないからさ。なんか嬉しくて!


優)…そっか


幼少期に色々あったのか。流石にそういう事情に首を突っ込む程仲良くなった訳じゃないし、そっとしておくのが最適解だろ。


音々)お姉ちゃんだけじゃなくて、僕とも友達に──


ぱしゃんと水の音がした。目の前で音々が水溜まりで転んだのだ。俺は状況が掴めなくて困惑していたが、涙目になった音々をみて意識を戻す。


優)大丈夫?


音々)う゛ん……


どうみても大丈夫じゃないな。


優)ほら、手捕まって。コンビニ行くぞ


俺は音々の手をひいて近くにあるコンビニへと向かった。宮野さんに連絡を入れようと思ったが、まだ連絡先を交換していないことに気がつき、諦めた。



優)はい、タオル


音々)どうも……


優)そんなに落ち込むな。俺は服屋見に行くから


音々の頭を撫で、最近マネージャーにお勧めされたファッションショップへと足を運んだ。



───困った。


優)どうしよう


さっきまで忘れていたが、俺はファッションセンスが破滅的にない。皆無だ。どれくらい破滅的かというと、かなり自信があったコーディネートを親に「小学生が選びそうなコーディネート」だと酷評されたくらいには破滅的だ。そんな俺でも魅せ方でモデルができるんだから、教えてくれたマネージャーやプロデューサーには感謝だな。


「お客様、何かお探しですか?」


優)あ、はい


選べないでいると、近くにいた店員さんに話しかけられた。どこか知り合いと雰囲気が似ている気がするが、今は音々の服を探すのが優先だ。


「お客さんスタイル良いですね!だったら……」


優)ダボッとしたのでコーディネートって出来ますか?


「全身お任せでよろしいでしょうか?」


優)はい。お願いします



店から出る時には、俺の手元には4つの紙袋があった。しかもどれも文句が付けようのないくらいに良いやつばっかりで何も言えなかったのが余計に達が悪い。


優)あの人、とんだ営業マンだったな……


音々)星宮ー!


優)あ、宮野


髪は少しぼさぼさだが、なんとか乾いたようだ。妙に手馴れていたのは、普段から転んでいるのか?姉弟揃って変な属性あるよな。


音々)その荷物どうしたの!?


優)まぁ、買った


紙袋を音々渡そうとしたが、本人は目の前にぱちくりを瞬きをするだけだった。


音々)持てば良いの?


優)違う。やるから手出して


音々)…えぇ!?


あと少しで渡せそうだったが、さっと手を引っ込められた。どうしてだ。


音々)そ、そんなに貰えないよ!しかもそれ、ブランド品じゃん!


なんだ。それだけか。別に嫌で選んだ訳じゃないんだから、遠慮しなくて良いのに。


優)別に良いだろ。それに俺には小さいから


音々)いや、身長同じ───


優)は?


音々)ナンデモナイデス



天音side


ドアを開けると、とあるファッションブランドの紙袋を2つずつ持った音々と星宮くんがいた。


音々)…ただいま


優)お邪魔します


天音)……ん?


「いらっしゃい」を言えなかった。まぁ、今回ばかりは仕方ないでしょ。


天音)と、とりあえずリビングで説明して!


続く

───救われないな。

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