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「暫く来れなくてごめん。忙しかった…ってのは言い訳だな」
「そうだ。忙しくなったんだよ。高校生の頃では考えられないくらいにはな。あの頃も忙しかったのは確かだけど、今ほどじゃない」
「音々も凄いよ。界隈は違うけど、俺より先に世界に行ったんだ」
「あと、手紙もちゃんと読んでる。」
「毎年送ってくるから……本当に、錯覚にそうになるよ」
「俺は、少しでもお前を理解する事ができたのかな……出来てたら良いな」
「もっと頑張って、そっちにいくよ」
「またな、天音」
優side
宮野さんは困惑しながらも、リビングに案内してくれた。渡されたお菓子とミルクティーは美味しくて、素直にそう伝えたら嬉しそうに笑った。どうやら最近母から教わっていたらしい。それにしても美味いな。
音々)───ってことがあったんだよ
俺が優雅にお菓子を堪能している間に、説明は終わっていた。夢中になってて気づかなかった。
天音)へぇ。ふーん……へぇ?
少し不機嫌そうにしている宮野さんをみて、ふと思った。
優)やっぱ、姉弟って似るんだな
天音)本当ですか!?
優)……
うん。そういう所もそっくりだよ。
音々)やめてくれ…俺はもう部屋に戻るから
天音)ちょっ、音々……!?
宮野さんの返事を聞かずにリビングから出て行った。もしかして、嫌われているのか?
優)なんか仲悪い感じか。ドンマイ
天音)違います!ただの反抗期ですからね!
そう弁解する宮野さんに、つい顔を歪めてしまう。宮野の嘘つき、家では静かだって言ってただろ……いや、どうだったっけ。
優)敬語は嫌だって言っただろ。条件通りに来てやったんだから、そろそろ外してくれ
俺がそう言うと、宮野さんは何故か首を傾げる。「うーん」と唸り始めたのをみて、まさか忘れたのかと焦ってしまう。ここまでやって来たのに、全部パーになるとか流石にキレるからな。大丈夫だよな。わすれてないよな。
天音)その前に、どうして敬語が嫌なんですか?学校で星宮くんのことを見てましたけど、他の人のは平気だったじゃないですか
優)どうしてってら言われても……
つい考え込んでしまう。忘れていなかった事には安心したが、予想外の質問で反応に困る。
暫く考えていると、あることに気がついた。しかし、これを宮野さん本人に伝えて良いのか……?
優)…怒らない?
天音)怒らないですよ
「なに言ってるんですか?」という風に可笑しそうに笑った。
深呼吸して、口を開く。
優)───気持ち悪かったから、かな
天音)えっ?
優)言葉遣いだけじゃなくて、なんか…全部、見てられなかった
天音)なんですか、それ……
俯いている宮野さんの表情は読み取れない。怒らないって言ってたけど、やっぱり嫌だったのだろうか。いや、クラスメイトの男子に気持ち悪いなんて言われたら誰でも怒るか。
天音)星宮くんって面白いことを言いますね
優)整理して話したらもっと駄目になった……
頭を抑えてぐったりする。一瞬でも謝ろうとした俺を誰か殴ってくれ。
天音)そんなに嫌なんだ〜
優)ニヤニヤしやがって……!
天音)ほらほら、敬語外したよ〜?どうかな!
確かに、言われてみれば外してる。正直、あまりこれと言った変化はない。
優)うーん…まぁ、マシにはなった
天音)へぇ……そう
宮野さんはきゅっと目を細めた。その意図は分からないが、それよりも渡したい物があったのを思い出した。
優)これ貰っとけ
天音)何これ…チョコじゃん!
優)お邪魔させてもらったから、家族と───
天音)チョコ!音々!!チョコだよー!!!
バタバタと走り去って行った。
「い、いきなり入って来るなよ!?」
「良いじゃん別に〜。それよりチョコだよ!」
優)…自由だなぁ
そんなにチョコが好きなのか。次に来た時にも持って来よう。
───次?
いやいや、次なんてない。ないから。あるとしても宮野に用があってくるから。
そういや、あの姉弟の呼び方紛らわしいな。
天音side
音々)うるっさい!星宮のところに戻ってよ!
頬をぷくーと膨らませている音々。あざといなと思ったけど、案外可愛い。
それにしても、星宮くん…どうしようかな。
悪い子ではない。けど、見透かされているような感じがして、少し居心地が悪い。でも仲良くなりたい……難しい!
音々)天音?
天音)……星宮くん、鋭すぎるよ
いつの間にか開けていたチョコを1つ食べながら呟く。うへぇ、ブラックチョコ。
音々)嫌だった?
ホワイトチョコを摘んだ音々に質問される。
天音)んー……
もう1つ。ホワイトチョコ。ハート型の可愛いチョコ。
天音)…うれしかった、かも?
音々)曖昧だね
天音)……
分からないけど、行動あるのみ、だね。
天音)星宮くーん!!
音々の部屋から出て、リビングの方に走っていく。とりあえず、友達になろう!
音々side
律儀にドアを閉めて行ったお姉ちゃん。リビングの方ではお姉ちゃんと星宮の話し声が聞こえる。何故か急に静かになったけど、いつまでも騒がしくされても困るから放っておこう。
音々)世の中って、難しいなぁ……
あの時のお姉ちゃんの顔。多分だけど、星宮に恋してる。高校の女友達と同じ顔だったから分かる。でも、本人は気づいてないし、もし気づいたとしても星宮がどう動くのか分からない。
続く