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その日も、あなたは笑っていた。
みんなと話して、ちゃんと返事をして、いつも通りを演じる。
でも。
「……」
休み時間、ふとスマホを見た瞬間だけ、表情が消える。
それを、少し離れた場所からたっつんは見ていた。
「……?」
ほんの一瞬だった。
でも、たっつんは違和感を覚える。
最近ずっとそうだ。
笑ってる。
普通にしてる。
でも時々、“急に静かになる”。
しかもその原因は、いつもスマホ。
「たっつーん!」
別のメンバーに呼ばれて、たっつんは「おー」と返事をする。
でも視線は少しだけあなたに残ったままだった。
―――――
撮影後。
あなたはいつも通り笑っている。
他のメンバーとも普段通り話している。
でも。
さっきまで笑っていたあなたが、一人になった瞬間だけ、すごく苦しそうな顔をしていた。
「……っ」
たっつんの胸がざわつく。
けれど、あなたはすぐにまた表情を戻して歩き出した。
“見間違いか?”
そう思おうとした。
でも、その顔が頭から離れなかった。
―――――
夜。
あなたはベッドの上でスマホを握りしめていた。
また通知。
また知らない誰かの悪意。
『たっつんがかわいそう』
その一文が、今日はやけに刺さった。
「……っ」
喉が苦しい。
呼吸がうまくできない。
でも泣くのを我慢して、あなたは震える指で画面を閉じた。
その瞬間。
『ピコン』
別の通知が来る。
びくっと肩が揺れる。
恐る恐る見ると。
【たっつん】
『ちゃんと寝ろよー』
思わず目を見開いた。
そのあとすぐ、もう一件。
【たっつん】
『最近ちょっと顔色悪い気するし』
優しい言葉。
それだけなのに、涙が出そうになる。
あなたは慌てて打ち込む。
『大丈夫だよ!』
送信。
少しして既読がつく。
でも返信はなかなか来なかった。
代わりに。
『……ほんまに?』
短いその言葉に、胸がぎゅっとなる。
たっつんはきっと、少し気づき始めてる。
でもあなたは、すぐにまた笑って返してしまう。
『ほんとほんと!』
『心配しすぎー!笑』
送ったあと。
スマホを抱えたまま、あなたは顔を伏せた。
本当は。
「助けて」って言いたかった。
「しんどい」って言いたかった。
でもその言葉を送った瞬間、全部壊れてしまいそうで怖かった。
すると。
『……そっか』
たっつんから返ってきたのは、それだけ。
いつもより短い。
でもその裏に、“納得してない”感じが滲んでいた。
あなたは気づかないふりをして、スマホを閉じる。
一方その頃。
たっつんは自分の部屋で、あなたとのトーク画面を見つめていた。
『ほんとほんと!』
その明るい文面が、逆に無理してるように見えてしまう。
「……絶対なんかあるやろ」
ぽつりと呟く。
でも問い詰めたら、あなたはきっとまた笑う。
だからたっつんは、スマホを握ったまま小さく息を吐いた。
「……頼ってくれたらええのに」
コメント
1件
うわあ……この回、胸にくるものがあったなあ。笑顔の裏でひとりだけ苦しんでる姿がリアルすぎて、読んでて息が詰まる思いだったよ。“助けてって言いたかった”の部分、すごく痛かった。たっつんの視線と短いメッセージに滲む不安も、ちゃんと伝わってくる。二人の距離感の描き方が丁寧で、次の展開が気になるなあ。