テラーノベル
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次の日。
あなたは少し寝不足のまま、いつも通り笑っていた。
「おはよー!」
「おー、おはよ」
たっつんは返事をしながら、さりげなくあなたの顔を見る。
やっぱり少し無理してる。
でもあなたは気づかれないように、いつもより明るく振る舞っていた。
それが逆に、たっつんを不安にさせる。
―――――
休憩時間。
「飲み物買ってくるー」
あなたはそう言って一人で家を出た。
たっつんは何となく、その背中を目で追ってしまう。
数分後。
少し心配になり後を追いかけ歩いていたたっつんは、曲がり角の向こうから聞こえた声に足を止めた。
「……だからさ、なんでまだいるんだろ」
知らない誰かの声。
「たっつんと並んでるの見ると普通に無理なんだけど」
どくん、と胸が嫌な音を立てる。
「本人見てるわけじゃないし別によくない?」
笑い声。
その瞬間。
たっつんは反射的に角を曲がろうとして——止まった。
少し先。
自販機の前で立ち尽くすあなたの姿が見えたから。
手には飲みかけのペットボトル。
うつむいたまま動かない。
「……」
たっつんは息を飲む。
あの言葉。
聞こえていたんだ。
あなたは数秒その場に立ったあと、何事もなかったみたいに小さく深呼吸した。
そして。
口元だけ笑顔を作る。
その顔が、痛いくらい無理していて。
たっつんの胸がぎゅっと締めつけられた。
「……お前」
思わず声が漏れる。
あなたがびくっと肩を震わせて振り返った。
「た、たっつん!?」
明らかに動揺した顔。
でも次の瞬間には、また笑う。
「どうしたの?」
その笑顔を見た瞬間。
たっつんは全部繋がってしまった。
最近の違和感。
スマホを見る時の顔。
“平気”って言うたび苦しそうだった理由。
全部。
「……今の聞いたん」
あなたの笑顔が一瞬止まる。
「え?」
「聞こえとったやろ」
静かな声だった。
怒ってるわけじゃない。
でも、苦しいくらい真っ直ぐだった。
あなたは視線を逸らす。
「……別に平気だし」
その言葉に、たっつんの眉がぴくっと動く。
「またそれ言う」
「ほんとだから」
「嘘や」
即答だった。
あなたは言葉に詰まる。
たっつんはゆっくり近づいてくる。
「平気な奴が、そんな顔するか」
「……っ」
その瞬間。
張っていたものが、少しだけ揺らぐ。
でもあなたは必死に笑おうとした。
「大丈夫だってば、こんなの慣れてるし——」
「慣れたらあかんやろ」
低い声が、あなたの言葉を遮った。
初めて見るくらい真剣な顔だった。
「傷つくことに慣れんな」
その一言が、胸の奥に刺さる。
あなたは何か言おうとして——
でも声にならなかった。
代わりに、視界がじわっと滲む。
「……っ」
慌てて顔を逸らす。
泣くつもりなんてなかった。
ここで泣いたら、全部バレる。
でも。
たっつんは逃がさなかった。
そっとあなたの腕を掴む。
強くない。
でも、離さないって分かる手。
「……一人で耐えんな」
その声が優しすぎて。
とうとうあなたの目から、一粒涙が落ちた。
コメント
1件
いやー、めっちゃ良かった…! たっつんの「傷つくことに慣れんな」、あそこ完全にやられたわ。 ずっと“平気”って笑ってた主人公が、あの一言で涙こぼすシーン、胸に来た。 陰口とか周りの空気って確かにジワジワ効くし、それを一人で抱えて笑顔作るの、めっちゃ分かるし辛い。 でもたっつんはちゃんと気づいて、逃さず掴んでくれたのが尊すぎた。 もかさん、このエピソード好きです🔥
#他YouTube出る可能性大