「なあに、今更⋯⋯」
思わず呟いた私に、アスナが近寄ってきた。
「どうしたの?」
「⋯⋯安藤えんまが今フォローしてきたの。谺の仕事のアカウント」
「えっ?」
アスナが私と並んでスマホを覗き込む。
私のフォロワー欄には、やはり安藤えんまのアカウントがあった。
「⋯⋯コラボ断ったのにね。やっぱり本当はしたいんじゃない?」
「⋯⋯」
あんな失礼なメール送っといて、今更そんなの勝手すぎるわ。
私はえんまのアカウント名をタップしてえんまの投稿に飛んだ。⋯⋯投稿数は多くなかった。
ざっと見たら⋯⋯新曲の告知とか、おしゃれなカフェやネオンのように光るデスクトップの写真がほとんど。
だけど__ 最新の投稿がほかと違って文章だけだったから、自然と目に留まった。
⏱️1時間前
早く撮影終わらないかな
いつものカラオケで待ってる
「⋯⋯?これ⋯⋯」
「⋯⋯こっちゃんでもこんな好かない匂わせしないよね」
「なに谺と比べてんのよ!」
すぐ隣にあるアスナの頬を思いっきりつねるとアスナは口をバツにして黙り込んだ。
「それにしても1時間前って⋯⋯」
つぶやきを改めて確認すると、つぶやきは思ったより最近だった。
一時間前、私が何をしていたか思い出す。
そう、撮影⋯⋯「撮影」?
「もしかしてこれ、こっちゃんのことじゃない?」
アスナが言う。まさか。でも私が1時間前に撮影をしていたのは事実。
だけど⋯⋯私は安藤えんまとあのメール以外で話したことも実際に会ったこともない。
撮影のことだって「今から撮影するよ」なんてSNSに呟いたりもしていない。
だから安藤えんまが私の撮影時間を知ることなんて不可能なのに____
「それにカラオケって⋯⋯」
アスナが画面に穴が飽きそうなほど凝視する。
そう、カラオケなんて行く予定無いのに。一体何なのか⋯⋯って
「あーーー!私なに考えてんのよ!!別にこんなやつのことなんてどうでもいいわ!」
真剣に安藤えんまのことを考えてたと思うと恥ずかしくなってくる。
私はいつものようにスマホを思い切り遠くへ放り投げた。






