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翌朝、出勤時
「洋平、用意出来た?」
「うん」
「じゃあ先に出て」
「え、一緒に行こうよ」
「だって、まだ入籍してないし……」
「え〜いいのに〜」
「ううん、今まで通りで!」
「分かった。じゃあ先に行くから! 美優、気をつけて!」
「うん、すぐだし……いってらっしゃ〜い」
「う〜ん、嬉しい」チュッ
「あ、ついちゃう、ふふふ」
「行って来ま〜す」
「いってらっしゃい」
手を振る
続いて、美優も戸締りをしてから、出発。
「おはようございます」
「おはようございます」
部内の人と挨拶する
通常通り業務を熟す
そして、部長に時間を作ってもらい、個別に面談していただいた。
「お時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます」
「いえいえ、どうしました?」
「私事ですが、近々結婚をすることになりました」
「お〜そうですか、それは、めでたい!おめでとうございます」
「ありがとうございます。ですので、後輩を1人、 後任に育てたく、新入社員を補充していただけましたら……と思いまして」
「え? 退職されるのですか?」
「いえ、すぐに、というわけではありませんが、
やはり、子どもも欲しいですので、産休などいただきます時に、ご迷惑をおかけしないよう、後任を育てておいた方が安心かと……」
「そうですね、今すぐお辞めになるわけではないですね?」
「はい、きちんと後任を育ててから、考えたいと思います」
「分かりました。それでは、女性1名、人事の方に募集をかけていただきます」
「ありがとうございます」
「あの〜お相手の方は、うちの社員ですか?」
「あ〜それに関しましては、今しばらく公表は控えさせていただきます。
もしかすると、父の方からも人事へお話が通っているかもしれませんので、人事部長がいらっしゃる可能性がございますが……」
「あは、そうですか。では、楽しみにお待ちしております」
「よろしくお願い致します。失礼致します」
それから、1時間もしないうちに、予想通り、
人事部長がいらっしゃった。
「鈴木さん! ちょっと確認したいことが……」
大きな声で、やって来た。
──きたきた!
「はい」
ちょうど、洋平が外出先から帰って来た。
ニヤリと笑ってる。
先ほど、事業部長と話した会議室で話すことに……
「お父様、いえ、鈴木総務部長から新入社員を1名、美優さんの後任を育てる補充に入れて欲しい! と伺いましたが……」
「はい、先ほど正式に電気事業部長にもお願いしたところです」
「そうですか? ちょっと呼びますね」
「事業部長! ちょっと……」
電気事業部長も呼ばれた。
「新人補充の話ですが……」
「はい、伺っています。今、書類作成し提出するところです」
「分かりました。で、ご結婚されるのですか?」
「はい」
「そうですか、おめでとうございます。退職されるのですか?」
「いえ、すぐに! というわけではなく、産休などで、ご迷惑をお掛けすることもあるかと思いまして……後任を育てていれば安心ですし、その時に又、ご相談させていただこうかと思っています」
「なるほど! では、同じ部のどなたに後任を任せたいですか?」
「片岡さんが適任だと思います」
「そうですね、私もそう思います」と、事業部長。
「分かりました。では、一時的に、常務取締役の秘書は、お2人でしていただくということで宜しいでしょうか?」
「はい、よろしくお願いします」
「で、付かぬことをお伺いしますが、お相手は、ウチの社員の方ですか?」
「はい」
コンコンコン
「失礼致します。少しお時間よろしいでしょうか?」
「あ、杉野課長、今少し重要案件の話をしていますので、後ほど伺いますが……」
「あの〜」
「はい?」
「私の相手です」
「え?」
「はい、私が婚約者の杉野です」
「えー!」「えー‼︎」
2人で目を丸くしている
「そうなんですか?」
「はい」
「いや、まさか……あ、そう言えば以前お付き合いされていたかと……お相手は、鈴木さんでしたか?」
と、人事部長
──嘘!知ってたくせに……と思った美優 ジロッ
「はい、私がマレーシアに行く前に……」
「で、帰って来て、また?」と、事業部長
──また!
「はい。《《また》》です」
「あ、失礼……じゃあ一度離れていたのかね?」
と、洋平に確認する
「はい、海外赴任5年は長いですからね〜」
「あ〜そうでしたか〜いや、驚きましたが、お似合いですね。総務部長や専務も大変お喜びでしょうね」と、人事部長
「はい、喜んでいただきました」
「それは、良かった。おめでとう!杉野くん、鈴木さん」と、事業部長
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「いや〜これは驚きましたね〜総務部長は、相手は娘から聞いてください!とおっしゃったので、やはり社員かな?とは思いましたが……」
「あ、すみません、ご報告が遅れまして……」
「いつ、ご結婚されるのですか?」
「今週末、ウチの両親に会ってサインをもらったら、すぐにでも入籍致します」
「そうですか……」
「申し訳ありませんが、それまでは、公表せずに……と思っています」
──美優!またそんなことを言う!と目で合図
「あ、私としましては、もう発表しても良いと思っているのですが、どうも妻になる方は、頑固でして……」
美優に、ジロッと睨まれる
「あははは、そうですか……私どもは、おめでたいことですので、すぐにでも発表したいですが、鈴木さんがそうおっしゃるなら、せめて入籍までは、伏せておきましょうか?」
「はい、ありがとうございます。お願いします」
洋平は、残念そうに美優を見る
ニコッと笑う美優
「入籍しましたら、すぐに、ご報告させていただきます」と洋平
「分かりました。その後、掲示板、メールにて発表させていただきますね」
「よろしくお願いします」
人事部長、事業部長が退室し、
部内には、数名社員が居たので、何事か?と思われている。
「どうせ、バレるんだから発表したってイイのに……」
「まだ、入籍まで数日あるわよ〜」
「え? どういう意味? 入籍しない可能性もあるってこと?」
「さあ?」と意地悪に笑う美優
「そんな……」
「冗談よ、日曜日、5月16日、洋平の誕生日でしょう?」
「あ、そうだ!」
「ご両親にサインしてもらったら、すぐに提出しに行こう!」
「イイの?」
「うん、自分の誕生日が結婚記念日なら《《絶対に》》忘れないでしょう?」
「うんうん」
「お昼休みに婚姻届もらって来る」
「あ、俺あとで出かけるから、もらってくるよ」
「イイの?」
「うん、自分で行きたいし……」
「ふふ、ニヤニヤして行きそう〜」
なかなか2人が会議室から出て来ないから、そろそろ他の社員がこちらを気にしてる。
ガラス張りの会議室は、ブラインドが降りているものの完全には閉めて居なかった。
距離を取って立ち、話しているが……
「ね〜皆んなこちらを気にしてるから、片岡さんを呼んで後任をお願いしようか?」
「そうだな、じゃあ、俺が呼ぶよ」
「課長よろしくお願いします」
「ふふ」
「片岡さん!ちょっとイイですか?」
──片岡さん、巻き込んでごめんね
2人は、そう思った。
結婚のことは話さずに、そろそろ万一の為に後任を育てたい!とだけ話し、事なきを得た。