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???「最近西洋から天使が色々な国の彼岸に舞い降りてるみたいなんだ」???「そっか。気をつけなきゃだね……」
???「元々天使として仕事を普通に仕事をしていたはずなのに……」
???「あのう……一体何の話をしてるんすか?」
ここは冥府。死神組組長「兎白」と第一部隊隊長「瑠璃人」が閻魔大王である「紫雲雨花」と第一補佐官である「不山橙」に話し合いをしだした。
兎白「全くお前。「堕天」を知らないのか?」
瑠璃人「いやあんまり知らなくて……すみません……笑」
すると雨花が説明することにした。
雨花「「堕天」っていう天使で構成されてる組織があって、「堕天」はあらゆる国の彼岸を支配しようとしてるの。」
瑠璃人「彼岸を支配!?そんなことできるのか!?」
雨花「天使はあらゆる国の彼岸に無許可で立ち入ることが許されてる。それを利用して各彼岸にいる神様を全部倒して支配する気なんだよ。天使は魂に無断で触れることが出来る。本来天使は魂を浄化することに特化してるんだけど、その浄化する力を魂に与えすぎると人格崩壊を及ぼして実質廃人になる。もちろん神様の魂は人間と違ってそう簡単に触れられないけど……」
兎白「まだ日本の神様の方に被害はいってないが、西洋の彼岸には幾人か犠牲者が出てる。それで俺たち死神組も勢力を上げて西洋の神様の手伝いをしなくちゃいけないんだ。」
なぜ「堕天」という名前なのか。それはこれからもし、天使が神様を倒した場合、神様に反逆した者として「堕天使」と言われるようになるため、その過程の名前として「堕天」と言われるようになった。
瑠璃人「それで何で冥府に?」
兎白「冥府で西洋の彼岸に行くための許可を得に来たんだ。外国の彼岸に行くには許可が必要だからな。」
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兎白「まぁというわけで、お前らも気をつけろよ?」
雨花「うん。分かった。ありがとう。」
橙「ありがとうございました。」
瑠璃人「また会おうな!橙!」
こうして兎白と瑠璃人は帰って行った。
橙「でも天使って優しいイメージがあるんですが、神様を倒そうとするなんて考えるんですね……」
雨花「天使は優しくなんてないよ」
橙「えっ?」
雨花が虚ろな目で語り出す。
雨花「天使はこの世で死んだ魂をあの世に運んでその魂に無許可で触れられる。浄化もできる。魂に勝手に干渉できるんだよ。その力が正しいと信じてる。なんなら浄化してるんだから自分たちは崇められるべき存在だって無自覚にそう思ってる。自分たちの力を優しいものだって思い込んでる。中には魂に触れて欲しくない人もいるのに……自分が抱えてきた自分だけの魂を勝手に変えられちゃうんだよ?わたしは大嫌い。特に自分のことを正しいと信じ込んでるところが」
雨花の周りがズキズキと地響きを起こしている。
橙「…………そうですね。私も自分の魂を、自分自身を勝手に変えられるのは嫌ですね」
雨花は怒りを感じさせないように抑えた。
雨花「とにかく橙ちゃん。気をつけなね?兎白くんとかわたしとか結構橙ちゃんの周りって神様多いから、狙われやすいかもしれないし……」
橙「分かりました。気をつけますね。」
そして二人は仕事に戻った。
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雨花「わたし、残業になっちゃった……うぅ……」
橙「仕方ないじゃないですか。あなた裁判以外の事務仕事は時々サボってるんですし、自業自得です。」
雨花「くっ……ぐうの音も出ない……」
橙「私は先帰りますよ?ご飯作って待ってますから。」
雨花「はーい……」
こうして橙は一人で家に帰ることにした。
橙「今日の夕飯は何にしましょうかね……雨花さん最近もっと修行をハードにしてるっぽいですし、元気の出るメニューが良いですかね」
暗い夜道を考えながら歩いていく。
橙「…………」
シーン
橙「…………誰かいますよね。出てきて下さい」
がざごそがさごそと何かが草むらから出てきた。
???「まさか。もう気づかれるなんて、人間風情に気配を悟られるとは思わなかったなぁ」
出てきたのは、真っ白な翼を持った天使だった。
天使「お前は閻魔大王の犬だな。お前を倒せば神に近づくことが出来るだろう。」
その瞬間、天使が橙に近づき弓矢で攻撃し始めた。
橙「!、(あの弓矢に当たれば魂を浄化されてしまう。浄化されすぎれば……)」
天使「ほらほら。どうしたどうした!!」
橙「くっ……はっ!」
橙は炎を作り出し、攻撃したが天使には傷一つ付かない。
天使「ほぉ。これが噂に聞く妖術か。しかし、私に妖術は効かないぞ?なんてたって我々は妖怪と契約しているのだから!!」
橙「!、何ですって!!……くはっ!」
橙はとうとう首をわしずかみされ、壁に追いやられる。
橙「くっ……」
天使「この程度か。やはり人間は脆いな」
そして、天使が弓を橙に刺そうとした瞬間。
ズキズキズキズキビキビキビキビキ!!!!
天使「!、(なんだこの地響きは!?!?)」
橙「ふふっ」
天使「何がおかしい!!」
橙「私は確かに閻魔大王の犬です。でも犬といっても飼い犬みたいなものでとても可愛がって貰ってるんです。あなたは最も怒らせてはいけない神を怒らせた。」
天使「何だと……うっ……」
橙を掴んだ手から力が抜け、震えが止まらない。
天使「な、何が起こって……はっ!」
天使の視界には、血管が今にも切れそうなほど顔に浮き出た激昂している雨花だった。
天使「お前が……閻魔大王……!」
天使はあまりにも雨花の目が鋭く、そして光など一切通さない目をしていた為、逃げ出そうとした。しかし、
天使「くっはぁ……!く、苦しい……」
天使の首を地面に押さえ込み、ドスの効いた声で雨花は喋り出す。
雨花「言い訳はいらない。命乞いをしろ。さすれば、取るのは天使の輪だけだ。命はそこら辺に放置してやる。さぁどうする?」
天使の首を掴んだ手の力がどんどん強くなる。
天使の輪を取られると、天使が行える魂の浄化の力が出なくなり、妖術すらも使えない人間になってしまう。つまり天使にはもう二度となれないのだ。
天使「た、頼む。それだけは勘弁してくれ。」
雨花「いや、ダメだね。」
天使「く、クソ……!」
橙「雨花さん!もう充分ですから!」
すると、雨花の髪色の全体が徐々に濃い紫色に変わっていく。
橙「!、(まずい、このままだと雨花さんが……!)」
???「そこまでだ。雨花もうやめろ。」
???「そんな奴のために「あれ」をするのは良くないぜ」
橙「!」
止めに入ったのは「兎白」と「瑠璃人」だった。
雨花「…………」
どんどん髪色が変わるスピードが早くなっていく。
兎白「仕方ない。これを使うしかない……」
すると、兎白は丸薬の付いた銃を取り出し、雨花に向けて打った。
雨花「……!」
その瞬間、雨花の髪色は元に戻り、天使を掴んでいた手も離れた。
天使「うぅ……ゴホッッゴホッッ……」
雨花「上手く神通力が使えない……」
兎白「今、神通止めをお前に打った。お前が冷静じゃなかったから使えたんだ。もう少しで「神堕ち」するところだったんだぞ。」
瑠璃人「あとはオレたちに任せろ。このクソ野郎。よくもオレの大好きな奴を襲ったな。お前には色々吐いてもらう。連れていくぞ」
橙「あの天使、妖怪と繋がってるようでした。」
兎白「!、そうなのか……やはりあの協定はほんの少しだけしか守られていないようだな。」
瑠璃人は、天使を連れて死神組本拠地に戻って行った。
雨花「あんなやつ死ねば良かったのに。」
雨花は淡々とこの一言を言った。周りの隊員が「ひいっ」と声を上げた。そしてコソッと兎白が橙に話しかける。
兎白「……なぁ橙。これやる。」
橙「ん?これって神通止め……!」
兎白「雫さんから貰ってきた。……たぶん、このまま修行を続けたり、一度感情的になると雨花は、神堕ちするかもしれない。一番雨花の近くにいるお前にこれを託す。お前の判断力ならいつ使えば良いか分かるだろ?雨花の暴走はそう簡単には止められないが……任せた。」
橙「……分かりました。」
こうして兎白から神通止めを貰い、橙は強く責任感を感じた。そして雨花をみつめる。
橙「……(雨花さん……あなたって人は……)」
橙は一つ溜息を落とす。その溜息に込められた感情は何なのだろうか。