テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
大学のキャンパスを歩く悠真は、秋風に少し冷やされた息を吐いた。
ゼミ室からは、卒論の話をする仲間たちの声が聞こえてくる。
「就活も終わったし、あとは論文とバイトか……」
口に出してみても、心は晴れなかった。
――夏祭りの夜、浴衣姿で笑っていた咲の姿が、どうしても頭から離れない。
亮と過ごす時間は昔と同じはずなのに。
その横にいる咲がふと視界に入るだけで、胸の奥がざわめく。
「……俺、どうしたんだろうな」
小さくつぶやいて、自分で苦笑する。
妹のように思っていたはずの存在が、気づけばこんなにも気になるなんて。