コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ある凍てつく冬の日、僕らは猫の遺体を庭に埋めた。土の中には凍死した幼虫どもが埋まっていた。
イヴァン「こんな浅いところで埋まったら凍死するに決まってるのに」
アルフレッド「なぁイヴァン、これ解凍したら生き返るのかな」
イヴァン「…どうだろう…できるんじゃないかな」
アルフレッド「…というかさっき埋めた猫…あれなんだい?家に誘ってきたかと思えば猫の死体とスコップ抱かせて庭に来て一緒に穴掘って埋葬?イヴァン、君イカれたのかい」
イヴァン「失礼だよアルフレッドくん。あの猫…僕は知らないんだけど、なんだか寂しそうに横たわってたからなんとなく埋めてあげようかなって。」
イヴァン「あと猫の死体を埋めるとか、鶏の死骸を埋めるとか…兎とか…あんま珍しくないよ。一緒に埋めて、その後紅茶飲んで解散…そんなものだよ」
アルフレッド「…それはソ連の話かい?ロシアの話かい?」
イヴァン「ソ連でもあるしロシアの話でもある…都市部はそりゃ…しないけど…地方では埋めるかな」
アルフレッド「あと、なんで俺を誘ったんだい?他でもない俺を…仲いいフランシスでも誘えばよかったじゃないか!」
イヴァン「まあ…知り合いの中で一番君が度胸のある子だから」
アルフレッド「知り合い?友達じゃないのかい!」
イヴァン「あのね、僕君と仲良くしたいとは思うけど、友達にはなりたくないんだよ」
アルフレッド「Why?どういうことだい!」
イヴァン「だから、僕は君と友達になりたくない!あんまり僕に近寄りすぎないで」
アルフレッド「でも誘ったのは君だ」
イヴァン「そうだね。でも会って近く接近したのは紛れも無くアルフレッドくんの方だよ」
アルフレッド「今は平和主義だ。いつまで警戒を解かないつもりなんだ」
イヴァンは振り向き様にモッズコートから取り出したマカロフをアルフレッドに向け言い放つ
イヴァン「信用しすぎだよ。」
アルフレッド「…oh……you sure?」
イヴァン「僕がいつコソコソ準備して君を殺すか、殴りかかるか分からないのに信用するの?」
アルフレッド「…でも」
イヴァン「国際的な問題、各国の不満…。平和の枠に入れるために作られた組織…君はこんな状態で裏切りを企む者がいないとでも思ってるの?」
アルフレッド「……そんな小難しく考える必要はない。成った時に考えればいいんだよ。」
イヴァン「…」
アルフレッドは素早くマカロフを握ったイヴァンの手を殴り、落ちたマカロフを足で蹴飛ばす。土の粒が散り、薄い煙幕がかかる。
イヴァン「なッ」
アルフレッド「どうしたんだい不満げな顔して」
アルフレッド「俺が反撃しないと思ったのかい」
アルフレッド「……なあ友達になれないなら恋人になろう。」
イヴァン「…君ってあの幼虫どもみたいに低脳……まだ殴ってくれたほうがマシ」
アルフレッド「俺はイヴァンのこと好きだよ」
歩きながらそう言うと、地面に落ちたマカロフを拾い上げ、弾を取り出し庭の土に落とす。
イヴァン「なに…なにがしたいの…」
アルフレッド「マカロフの中に1弾だけ入れた。」
アルフレッド「ロシアンルーレットだ。一度撃って空砲だったら俺と付き合ってくれ」
イヴァン「嫌だ。君の手で死にたくない。」
アルフレッド「度胸が無いね」
イヴァン「死ぬ死なないを簡単にかけることが度胸なの?嫌だよ。君は僕が死んだら解凍してくれるなんてほど優しくないし、生き返ることを望まないだろうし、埋めてくれない。君の手で死にたくない。」
アルフレッド「わかったから、うん。主張だけ。」
逃げ出そうとするイヴァンの首を掴み地面に叩きつけ、馬乗りになり抵抗するイヴァンを見下し鼻で笑う。
アルフレッド「惨めだね」
イヴァン「お願いだからやめて」
銃を額に当てられてようやくイヴァンが抵抗をやめる。瞳には絶望と怯えが現れているにもかかわらず、顔は無表情を見せた。
アルフレッド「俺は君のこと解凍するし生き返ることを望むし、無理なら埋めるよ」
一瞬だけ、瞳に光がさしたイヴァンをアルフレッドが撃つ。
血が弾け飛び、幼虫は放置された。
『タイトル︰完全なる破壊』