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橋を渡ってから橋を破壊し、海軍が追ってこられないようにする。だが海軍って結構しつこいからな…。
「まだ追ってくるな、橋壊したのに」
「当然だ。町に戻っても海兵はいるはずだ。さっさと島を出るぞ。――ぁっ」
キッドが俺を後ろ手に隠す。
「ん゛っ…」
視界がキッドのコートで隠れる寸前、キッドの足にレーザーのようなものが掠めるのが見えた。
「くっ…!」
「キッド!」
「キッドの頭!」
「あっ…」
「あそこだ」
黒い大きな影からは煙が揺れていた。
「あれは、まさか…」
「なんで……この島に、七武海がいやがる…!」
七武海、バーソロミュー・くま。否、人間兵器・パシフィスタだ。
「…ヒート! ジェイデンを守れ」
「了解、頭」
キッドが俺を置いて、前に出る。俺を守るようにするヒート以外がパシフィスタに向かう。
少しの間交戦が続く。守られてるだけのヒロインかよ、俺……。でも体がうまく動かない。
「キャプテン! あれ!」
シャチの声だ。そっちに視線を向けると、ローが率いるハートの海賊団がいた。
「トラファルガー・ロー」
パシフィスタがローの名前を呼んだかと思えば口からレーザーを吐き出す。手あたり次第の無差別攻撃。海賊を半殺しにすることしか考えていないのだろう。あわよくば屠る気だ。
「手当たり次第か、こいつ…! トラファルガー! てめ邪魔だぞ」
「消されたいのか? 命令するなと言ったはずだ。――今日は思わぬ大物に出くわす日だ。さらに大将になんて会いたくねえんで……そこを通してもらうぞ。バーソロミュー・くま!」
これ俺絶対死んだ。
初手にキッド海賊団がパシフィスタに攻撃を仕掛けるが、炎すらを振り払う。次にシャチ、ペンギン、ベポが仕掛けるが、やはり効かないようだ。先ほどローの仲間になったジャンバールがパシフィスタに向かう。
「じれってェな…こいつならどうだ!」
キッドが能力で集めた金属でパシフィスタを地面へと叩きつける。
「手間かけさせやがて」
そう言葉を残し、去ろうとするキッドにローが「まだだ」と声をかける。
「フッ…まだ食らい足りねえみてえだな」
パシフィスタが手袋を脱ぐ。マズい。本人と違ってパシフィスタは手のひらからもレーザーを撃てる。
「避けろキッ――」
俺の声よりも先に、レーザーは放たれた。
流石にそれを食らうほどの人間はこの場にはいない。俺も一応、守られてるしな…。
「邪魔なんだよ、とっとと失せろ。トラファルガー。こいつは俺が始末する」
「邪魔してんのはお前だろうが。ユースタス屋。俺は回収するもんもある」
「あ? ジェイデンは渡さねェぞ」
「……! ロー! キッド! 海軍が来る!」
「ちっ…」
「こんなところでいつまでも足止め食らってる場合じゃねえ!」
「ベポ。正面突破だ、行くぞ!」
「こら、ジャンバール! お前は新入りなんだぞ! 俺に命令するな!」
2つの海賊団がパシフィスタに向かっていく。俺はその様子を見ていることしかできない。……いや、少しなら動けるか…?
「すまん烏融」
俺は烏融を杖にして立ち上がる。
「動くなよ、ジェディ! ベポ!」
「アイアイ!」
ベポに抱き上げられる。キッドが一瞬俺を見たが、パシフィスタを目の前にいるため、さすがに俺を同行できる余裕はなかったようだ。俺を抱えたままベポがローの元へ走る。
キッドが七武海の一角を崩したと声を張り上げる。
「バーソロミュー・くまがこの程度なのか?」
「…くまじゃない」
「どういうことだ」
「……あれは、パシフィスタ。王下七武海、バーソロミュー・くまを…モデルにした人間兵器だ」
「なるほど」
ローが飛び出し、鬼哭でパシフィスタを突き刺す。
「早くシャボンディ諸島を出よう。多分ここに来てる大将はボルサリーノ、黄猿だから」
「わかった」
「おい、ジェイデンを置いていけ、トラファルガー!」
「命令するな、3度目だ」
ローはそう言って走り出す。俺はベポに抱えられたままだ。
「放すなよ、ベポ」
「アイアーイ!」
ベポが俺の傷が開かないよう、それでいて放さないようにギュッと抱きしめる。後ろからキッドの声が聞こえるが、ベポがここでキッドに怯んで俺を投げ渡すような奴ではないことくらいわかっている。
少しは知ればポーラータング号が見えた。
「キャプテンが戻ってきた!」
「全員、潜航準備にかかれ! 急げ!」
ローの声に全員が慌ただしく動き始める。ポーラータング号に飛び乗り、足早に潜水艦内へと入る。それからは早かった。潜水艦が海底へと潜っていく。ここまですれば海軍はもちろん、誰も追ってこられないだろう。
ようやく一息つける。今まで張りつめていた緊張の糸がぷつりと音を立てて切れた気がした。