テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「結構昔っぽいし…子供が買ったか作ったの…」
「チューリップの花、とかは?」
「あー童謡系ね?」
二人は中の部品を見ながら、楽しそうに話し合っている。
オルゴールの横には、インストール中のアプリ画面。
題名など特に考えなかった、ただの子供のお遊びがバレてしまう。
忘れてしまうほど、くだらないのに。
「キラキラお星様、夜を照らしてまた笑う♪
古びた宿のその奥に、茶色の鍵が一つ二つ…」
ネスが歌いはじめる。
知らないはずの、その歌を。
「!!」
「ネス?急にどした?」
「いやなんか…そんな気がして」
「はえー、なんか、エモいな」
「うん」
「即興じゃん、天才?」
「いや、多分、今作ったんじゃない…かな…」
自分でも理解しきれていないような曖昧な言い方。
完全には覚えていない記憶の欠片を、一つづつ集めていくみたいに。
「大きな栗のー木の下でー」
珍しく龍が歌いだす。
「あーなぁたーとーわーたーしー?」
悠征がすぐにのる。
「なーかーよーくー遊びましょー」
「おーきな栗のー、木の下でー」
結果全員が歌う。
さっきのネスの歌は、一旦無かったことにできた。
「絶対ちげぇw」
「龍さん珍し!w」
「そうかなって」
龍の視線がチラリとこちらに向く。
僕は、何も言わず笑った。
インストールも終わり、それぞれ曲名をあげていく。
「んじゃ、俺は森の熊さん!」
「俺はー…やっぱチューリップかな」
「えーみんな童謡?なら僕も…鯉のぼりかな!りゅーちゃんは?」
「ん…じゃあ、世界に一つだけの花、ですかね」
悠征がスマホを操作して、オルゴールを設定する。
「そんじゃ、正解者は居るのか!」
三角ボタンに指が触れる。
その途端、キレイなメロディが流れはじめた。
音だけのはずなのに、何故か歌詞まで聞こえるような。
それは僕だけではなかったらしく、ネスも目を見開いている。
キラキラお星様、夜を照らしてまた笑う♪
古びた宿のその奥に、茶色の鍵が一つ二つ…
クモの巣潜りその先に、僕らの秘密の大きな木
月光、浴びて光る花
足元覗けば金の箱
子供の手ぇとり踊りましょう
鍵をまわせば秘密の舞踏会
キラキラ輪を成し舞っている♪
「…あ、終わった」
「古びた宿…あったよな」
「茶色の鍵って南京錠か?」
「…」
「お二人さん、そろそろ時間じゃないですか?」
「え?…まだ夕方だし、全然いけるけど?」
「4時半だもんね」
「二人配信無かったっけ?」
「ないよ?え、帰ってほしい?」
「ちゃうよw心配なっただけ」
「よかった…京都かと思った…w」
「ぶぶ漬けいる?w」
「5杯!」
「帰れよw」
龍がさりげなく終わらせようとしてくれたが、失敗してしまった。
まぁ、多分、大丈夫だろう。
大丈夫…やんな。
少し不安になりつつ、オルゴールを見つめた。
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