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夏休みがやってきた。照りつける太陽、鳴き止まないセミ、そして賑わう海水浴場。今年は何をしようか考えていた。特に行きたい場所もないし、連れて行かれる予定もない。部活の合宿はないだろうかと、ぼんやりチャットを眺めていたが、新着メッセージは特になかった。宿題に取り掛かろうとした途端、メッセージが来た。夏合宿の話だ。
「私は夏期講習があるから8月にしてくれるとありがたいです」
「家族旅行にいくので山の日前後は空けておいていただけると」
部長が予定の調整をしてくれた。夏休みの終わりがけ、8月19日と20日に決定した。
「テントやバーベキューセットはレンタルできるから、着替えや勉強道具、飲み物や箸を持ってきてくださいね」
私は「はい!」と言っている猫のスタンプを送信し、宿題を再開した。
宿題は思ったより時間がかからなかった。ワークはすぐに終わったし、工作系の課題もかなりこだわったはずだが一瞬で終わった気分だ。宿題が終わってしまったら、あとは自由の身だ。公園に行ったり、ゲームをしたり。そんなままずっと過ごしていた。
そして合宿を3日後に控えた8月16日。本格的に用意を始めた。
8月19日。当日だ。キャンプ場へは観光バスで行く。特別なものを予約する必要はないそうだ。
到着したらまずテント設営だ。かなり観光客で賑わっており、場所取りには苦労した。できるだけ日陰で、売店に近いところを選んで協力して張った。人数が多い分、時間はかかったがワクワク感は増した。
「まずは勉強会といきましょうか」
そういうと部長は単語帳とノートを取り出し、滑らかな発音で読み上げながらスラスラと書いていった。
「受験勉強ですか?」
「ううん、検定の勉強。受験勉強は夏の分を終わらせたから遊びたいところだけど入試に役立つ資格を取って置けたらいいかもね」
「なるほど」
目標に向かって、ストレートに進んでいく。その姿は言うまでもなく、美しかった。私は宿題をすでに終わらせていたから、ある程度得意な社会系の科目を晶穂や望美に教えていた。
1時間経ったら、そろそろ体を動かそうと2年生の先輩がテニスに誘ってくれた。キャンプ場奥にはテニスコートやプールがあり、スポーツパークのように設備が充実していた。私はテニスを習っていたからいけるだろうと思っていたが、思いの外望美が強く負けた。
昼食を取ったら勉強と休憩と運動のサイクルを何回か繰り返し、夜になった。食材を購入し、バーベキューコンロを組み立てて火をつけた。晶穂はバーベキューをするのは初めてだと言っていたが肉を裏返すタイミングや具材の配置などがよくできていた。
明日は私たちの高校が出場する市の水泳大会がプールである。みんなで見にいくつもりだ。