テラーノベル
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私には、持病があった。心臓病。だからみんなみたいに外で元気に動き回ることもできなかった。
でも隠岐くんが室内でできる遊びを一緒にしてくれた。
『みんなとそとであそばないの?』
「おれ、なかのほうがすきやからさ」
『そうなんだ、でも…』
「でもやない!おれはナマエちゃんと遊ぶのがええんやから」
『…ほんとに?ありがとう、』
暖かい記憶。
病気のせいで、思うようにはしゃぐことができなかった私を隠岐くんは慰めるみたいに遊んでくれた。近所だったこともあってずっと一緒だった。
小学校にあがってからも同じで私たちの仲が崩れることなんてなかった。家で一緒に宿題したり、テストの結果教え合ったり。
隠岐くんは、お母さんみたいに病気で大変っていうのをよくわかってくれていた。
10歳の夏、改善していたはずの病気が悪化していた。また入院することになった。嫌だった。でもこれも治すためと我慢するしかなかった。
それでも隠岐くんは病室に来てくれていろんなお話をしてくれた。
笑顔で励ましてくれるその姿に、どのくらい救われたのかな。
でも9月⸺
つづく
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