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そんなこんなで俺は今クリソンの家にいる。とても大きな部屋で俺は優雅に紅茶を啜っている。
カップをそっと置くと、真剣な目でクリソンを見つめる。
「それで話って?」
クリソンもカップを置いて俺を見つめ返す。
「実は僕追われてるんだ。」
「何に?」
「第一王子、宰相の息子、それから騎士団長に。」
なんだ、ハーレム築いてますよって自慢話か?俺からすればちっとも羨ましくない。ガチムチの男ではなくムチムチのおっぱいのデカい女の子に囲まれたい。
俺の顔が一瞬クシャッとなったんだろう。クリソンは『違うんだ!』と慌てて否定した。
「周りからはいい男たちに囲まれて羨ましいと言われるけどちっとも嬉しくないんだ。むしろ困ってるんだ。」
「なんで?」
なんだ、自慢話じゃないのか。だったら何なんだ?
俺は思わず首を傾げた。
クリソンは重々しく口を開いた。
「その…みんな僕目当てじゃなくて…サファが気になってるんだ。」
「……は?」
何言ってんだ?俺は悪役令息だぞ?主人公はお前だぞ?そんなのありえない。
固まった俺を置いて話を進める。
「サファとは友達だし1番仲がいいから僕から情報を引き出そうとするんだ。」
俺は仲が良いとは思ったことがないが…まぁいい。
「仮にクリソンの言うことが本当だったとしてどうして俺なんだ?」
クリソンは首を横に振った。
「分からない…。サファのこと嫌いじゃないけど、僕はもう毎日毎日サファについて聞かれるのも一日中ついて回られるのもうんざりなんだ。1人ならともかく3人もなんて気がおかしくなりそうだよ。」
まぁ確かにサファはアイドルみたいな美人だけど、悪役だぞ?何で俺なんだ。主人公狙えよ。俺はスローライフを満喫したいんだ。おっぱいデカい子じゃなきゃ嫌だ。デカい男どもに囲まれるなんてむさくるしい。
そんな風に考えていると、クリソンは続けた。
「だからその3人はサファに頼むよ。僕は穏やかに学校生活を送りたいんだ。…ごめんね。」
少し声のトーンを落として、申し訳なさそうに眉を下げた。
「ち、ちょっと待て!俺は女の子が好きなんだ。男なんて嫌だ。」
慌てて言うとクリソンは目をぱちくりとさせた。
「あれ、そうなの?異性愛者だったんだ。」
ん?そんなに驚くことか?異性愛者のほうが多いんじゃ……いや、ちょっと待て。ここは異世界。しかもBLゲームの中。もしかして同性愛者のほうが多いのでは…?
…てことは俺余計なカミングアウトしちゃった?
思わず固まっていると、クリソンは紅茶を啜った後、ゆっくりと口を開いた。
「異性が好きなの大変じゃない?恋人見つけるのも一苦労だよ。」
「あー…いや…俺が前にいた街では異性愛者のほうが多かったからそんなことはなかったな。」
その後、無言が続き、とても気まずくなった。
「あの…このことは秘密にしてもらえるか…?」
なんか隠す人の気持ちがわかった気がする。
クリソンは心が広いので笑顔で頷いてくれた。
クリソンありがとう!大好き!!
俺は感動で潤んだ目でジッとクリソンを見つめた。