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スタジオのソファ。りうらの隣にぴったりくっついて甘える初兎。その顔はどこまでも無防備で、耳まで真っ赤。
「しょーちゃん、そういうのずるいって……」
りうらが苦笑しながら、頭を優しく撫でてやる。
――その光景を、遠くから見ていたIf。
(……あれ?あいつ、俺にはそんな顔……)
いつもあざとく絡んできたのに。
「まろちゃん、まろちゃん」って甘えてきたのに。
あんなに素直で、あんなに照れた顔……見たことない。
(……なんか、もやっとする)
「……ねぇ、初兎」
収録後、帰り際にIfは思わず声をかけた。
「ん?なに~?」
「さっきの……りうらと話してたやつ。あれさ、俺の時はやってくんないの?」
「え……」
初兎が目を見開く。
「だって、いつもは“まろちゃん”って構ってくれるのに。今日、全然こっち来なかったじゃん」
そう言って、少しだけ口を尖らせるIf。
(俺、なんか子供っぽいこと言ってる……?でも……)
「……初兎の、そういう顔。俺も見たいって思っちゃダメ?」
初兎の頬が一気に赤く染まる。
「……そ、それは……りうらが、不意打ちしてくるから……っ」
「じゃあ、俺も不意打ちしようかな?」
一歩近づいて、初兎の目の前でしゃがむIf。
「俺にだけ見せる顔……あるなら、見せてほしいな」
――今度は、初兎が完全に沈黙した。
「っ、まろちゃん、ずるい……っ」
「ふふ、こっちのセリフ」
その夜。
帰宅したりうらのスマホには、ないこから「今度はIfに取られそうだぞ」という意味深なメッセージが届いていた。