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第1章:残された3人と、新しい顔
雨の降る夜、古い空き家の片隅。
モミジ、トウマ、チヒロの3人は、息を潜めて座り込んでいた。
テレビのニュースからは、自分たちが関わってしまった事件の報道が流れている。そして画面には、仲間を守るために身代わりとなって警察に連行されていく、ダイチの後ろ姿が映し出された。
「……ダイチ」
いつもクラスでひとりぼっちだった自分を、笑顔で仲間に入れてくれたダイチ。誰にでも優しかった彼が、今は冷たい檻(おり)の向こうにいる。モミジの拳には、自然と力がこもっていた。
学校にも家にも、もう戻ることはできない。
絶望で下を向くチヒロと、必死に涙をこらえるトウマ。その時、モミジが静かに口を開いた。
「このまま逃げ回って終わりでいいのか? ダイチが命がけで僕たちを逃がしてくれたんだ。だったら……僕たちが警察官になって、あいつを助け出そう。自分たちの罪も、全部消してやるんだ」
あまりにも無茶な提案に、チヒロとトウマが顔をあげる。
でも、モミジの目には、これまで見たこともないような強い光が宿っていた。
第2章:血のにじむような日々
作戦が決まってからの日々は、まさに地獄のようだった。
頭のいいチヒロがどこからか手に入れてきたのは、山のような警察官採用試験の参考書や問題集。チヒロはそれらを広げ、鋭い目でモミジとトウマを見つめた。
「警察官になるには、ものすごい倍率の試験を突破しなきゃいけない。生半可な気持ちじゃ絶対に無理だ。僕が教えるから、一文字も聞き漏らさないで」
それからというもの、3人は寝る時間も惜しんで勉強に没頭した。
もともと勉強がそれほど得意ではないモミジは、慣れない法律の専門用語や難しい計算問題に、何度も頭がパンクしそうになる。ノートに文字を書きすぎて、指の皮がむけ、ペンを持つ手が震える日もあった。
「……もう、頭が働かない……」
ある夜、ついにモミジが机に突っ伏して弱音を吐いてしまった。部屋の中に、重苦しい空気が流れる。
その時、トウマがパンッと勢いよく自分の両頬を叩いて立ち上がった。その顔には、いつもの眩しい笑顔が浮かんでいる。
「ほらほら、2人とも暗い顔すんなって!チヒロの特訓を乗り越えたら、俺たちは無敵の警察官だぜ?そしたらダイチの前に堂々と現れて、『待たせたな!』って言ってやるんだ。あいつ、絶対に腰抜かすぞ!」
トウマの明るい声に、モミジはハッと目を開けた。
そうだ、自分たちがここで諦めたら、ダイチを助けることは一生できなくなる。
「……うん。もう一回、最初から教えて、チヒロ」
モミジは震える手で再びペンを握り直した。
コメント
1件
読み終えました……最初から心臓がぎゅっとなる展開ですね。ダイチを助けるために警察官になろうって、無謀すぎるくらい純粋な覚悟で、その真っ直ぐな決意に胸が熱くなりました。3人のそれぞれの苦しみや弱音、それでも諦めないために立ち上がる姿が丁寧で、特にトウマが笑顔で仲間を励ますシーン、泣きそうになりました。この先、彼らの“罪を消す”ってどういうことなのか……もう続きが気になって仕方ないです。素敵な物語をありがとうございます🌙