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SPRUNKI

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SPRUNKI

12 - 最悪の一等賞

♥

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2025年02月16日

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どうも皆様、サカナです

すみません建国記念日普通に無理そうです!!!!!!!

絵もできてないです(絶望)

11月3日で…よろしくお願いします🥺

そして今回は頭のおかしいジェヴィンです

健気で頑張り屋のジェヴィンさんより、正直興奮します

カルト味が強くて勢いがあるので

何を信仰してるとかは特に決めておりません

生存ifです

ジェグレっぽく見えるかもしれません




























「神に選ばれし者よ、本日はどうされるのですか?」

今日もまた付き纏われる。

平和になったココで、今1番危ないのは彼…ジェヴィンだった。

少なくとも、グレイにとっては。

「昨日もこの時間に散歩をしていらっしゃいましたね、継続は力なりです、同じことを続けられるのは素晴らしいことですよ!!」

どことなく上から目線で、低く聞き心地の良い声を無駄に張り上げる姿は、正直怖いとしか言いようがない。

ジェヴィンの方こそ、飽きずに自分をストーキングして楽しいのだろうか。

何が神に選ばれし者だ、自分はただのビビりで地味な陰キャで、ジェヴィンが思うような特別さは何もない。

そう言いたいけれど、自他共に認める控えめな性格は、それを音にすることは許さなかった。

「どこに向かっておられるのですか?またあの老木とそれに集まる民衆たちのところへ?」

「そうですけど…なにか」

「いえ、貴方のご意向ならば私はそれに付き添うのみ…ですが、あまりあの見捨てられし民衆らと関わっていては、貴方の高潔な魂が穢れてしまいます」

「……」

ひと月ほど前のこと、この世界は闇に染まっていた。

地獄をそのまま表したような情景が広がり、狂った異常者たちが誰かを襲う、そんな恐ろしい場所。

幸いにも誰かが死ぬようなことにはならなかったが、未だに意識が戻らない者や、病院のベッドから動けない者も多くいる。

ジェヴィンはそんな、必死に持ち堪えた生存者たちを見下していた。

言動から既に表れている。

彼は何かの宗教にお熱なことは知っていたが、まさかここまで偏屈的な思想だとは思ってもみなかった。

自分のような 無傷の生存者を「神に選ばれし者」と呼び、自身のこともまたそう自称する。

それなのに、同じく無傷のファンボットに対してはやたらと当たりが強いわけのわからない人物。

本人曰く『生物を模した奇怪な無機物』だそうだ。

「あの…ついて来るのは、本当にやめて欲しいんですけど…」

「どうぞ、お気になさらず。私のことは空気だとでもお思いください」

例え断ったとしてもこの調子で、グレイはかなり迷惑していた。

身も心も傷ついた皆の様子は知りたいし、苦労しているのなら無傷の自分が手伝いたい。

それに、1人でいるのは怖いことだ。

しかし皆に会うことは、同時にジェヴィンを彼らと引き合わせることにも繋がる。

それが心苦しくて仕方なかった。






「はっ、見放された者どもで傷の舐め合いですか。流石は神に選ばれし者です、彼らのことも気にかけるだなんて…嗚呼!嗚呼! なんと崇高な行いでしょう!!素晴らしい!!」

怖い。

もはや言えることはなかった。

彼らの傷を抉るような酷い言葉を吐きながら、ジェヴィンは天を仰ぐ。

「…ごめん、みんな」

ジェヴィンを連れて来てしまったことに申し訳なさばかりが湧いてくる。

こんなことになるならいっそ、どこか遠くでジェヴィンの気を逸らしておく方が良いのかもしれない。

「大丈夫デスヨ、グレイさん。グレイさんが悪くないコトハ、みんなわかってマス」

「うん…ありがとう、ファンボットくん…」

「グレイさん、その無機物と触れ合うことはおやめになった方がよろしいかと。そんなヘンテコなもの、神に選ばれし貴方の目に映っては少々悪影響ですので」

ぬるりと背後から会話に割り入ってきて、ジェヴィンはファンボットに向かってそんなことを言う。

無機物だのヘンテコだのという言葉にムカついたのだろう、ファンボットの顔にあたるディスプレイはムッとした表情に変わった。

「悪影響?それを言うなら、そうやってグレイさんに纏わりつくアナタの方が悪影響デス!グレイさんが可哀想デショウ! 」

「あ、あの、ファンボットくん…あんまり刺激したら…」

「はぁぁ???同じ神に選ばれた者同士で関わり合うことの、何が悪影響だと言うのですか!貴方のように作り手のいる病院にすら入れず、ここで無為に過ごすよりも、よっぽど良いに決まっています!!」

「それはっ…」

「そもそもとして、機械風情が我々の視界に入ることだって烏滸がましいのですよ。鉄屑のくせにヒトの真似事をして、貴方はリズムを取るだけの機械でしょう?機械なら機械しく、作られた目標のためだけに動きなさい。意図的に作られた自我なんて、気持ちが悪い」

つらつらと並べ立てられる言葉は、仮にも神に仕える者とは思えないほどに強烈で偏った思想のものばかり。

「っ…やはり宗教になんて入っているヒトの思考回路は古いデスネ!マスターとハカセが作り上げた最高傑作のワタシを馬鹿にするなんて、遅れているとしか言えマセン!歌を歌える、コミュケーションも取れる、それに自立歩行まで可能なんデス!そんな高性能ロボット、後世に至っても唯一無二デス!」

そうファンボットも負けじと言い返してしまうために、2人が言い争う声は次第に大きく怒気を帯びてゆく。

「大体、貴方を作ったあの2人も気に食いません。生物を模した思考力を持つ機械を2体も作り上げるなど、神への冒涜だと言わずしてなんだと言うのです!クルーカーはまだ目が覚めていないのでしょう?ガーノルドも片方の目を失明したそうですね?きっと天罰に決まっています!神はきちんと我々を見守っているのですよ! 」

「マスターたちを侮辱しないデクダサイ!!アナタみたいなヒトに、2人の何がわかるというのデスカ!神サマだとか、天罰だとか、そんなのあるわけがナイデショウ!!非科学的なくだらない幻想に惑わされて、いい加減にしてクダサイヨ!!」

「ジェヴィンさん、お願いですから落ち着いてください…」

グレイが声をかけたところで、彼の控えめな願いは虚しくも独り言と化していた。

「2人ともやめないか!」

「…ふん」

「タナーさん… 」

「ジェヴィン、流石に言い過ぎだぞ。神さまだとかは別にいいが、喧嘩をするな。ただでさえみんな疲弊してるんだ、お前もいい大人だろう?少しは考えて行動を…」

「騒がしい偽善者ですこと。そうやって場を静めたところで、私の思いはカケラも変わりませんよ」

「ぎぜっ……あのなぁ、お前は前からかなりの数の問題を起こしてきている。神事に関わる身だってのに、そんなことしてていいのか?」

「問題?起こした覚えなどありませんよ。もう歳ですか?」

心底意味がわからないといった様子で、ジェヴィンは平然とそう言い切る。

懇々と説教を始めるタナーに対し、話を聞くどころか、しっしっと手を払うようなジェスチャーまでした。

「はぁ…お前が話を聞かないのは今更か。ファンボット、気分は悪いだろうが、あまりこいつの言葉を真に受けるなよ。今日のところは帰ってくれ、ジェヴィン」

頭が痛いというように片手で額を抑え、ジェヴィンを睨みながら鋭く言い放つ。

「ふん…私に指図して良いのは我が主だけですよ。ですが、まあいいでしょう。今日のところは帰らせていただきます」

片腕を広げ、お手本のようなボウ・アンド・スクレープで深々と礼をしたジェヴィンは、踵を翻して歩き去る。

「グレイさん、行きましょう」

「え゛っ、僕も…?」

「ほら早く。私が導いて差し上げましょう 」

自分はここに来たばかりで、話すら碌にしていないというのに。

ジェヴィンはずっとグレイの周りをうろちょろしているが、突然所有物のように自分を連れ回すことも多かった。

態々戻って気まずそうに身を縮こめるグレイの腕を掴み、さっさと引きずっていく。






「…あの、どこに…?」

「………」

無理矢理グレイを引き連れたジェヴィンは、困惑しながら恐る恐る聞くグレイの質問には答えなかった。

ただ、あのジェヴィンのことだ。

目的地はきっと自身の教会であり、そこで何かしらをするつもりかもしれない。

ふと、あの地獄の日を思い出した。

あの日も今のようにジェヴィンに腕を引かれて、草陰から引き摺り出されたのだったか。

教会の中で少し話をして、神様の話をお腹いっぱいになるほど聞かされた。

なんとか事態を収めて皆で生き残ったまでは良かったけれど、こうして執着されるくらいなら、自分も怪我の一つや二つ背負っても良かったのかもしれない。

そんな不謹慎な考えもしてしまうほどには、このジェヴィンという不思議な人物の相手には疲れてきた。

「貴方ならきっと、神も気に入ることでしょうね」

「?」

「私では駄目でしたが…優しい貴方なら、良い贄になりますよ」

「…え?」

今まで黙っていたジェヴィンが独り言のように呟く。

その内容は、到底受け入れられたものではない。

「この間のアレも、全ては我が主の望み…私のように祈らずして生き残った貴方で儀式を終えたのならば、それはそれは大層お気に召されることでしょう!光栄なことですよ、羨ましいほどに」

2度と感じたくなかった命の危機。

逃さないと言わんばかりに、跡が付きそうなほど強く腕を握り直される。

昔から、グレイはくじ運が悪かった。

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