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朝の街はすでに忙しく、人の波が駅に押し寄せていた。
すちはネクタイを締め直し、革靴の音を軽快に響かせながらビル街へ歩く。
みことはコーヒーを手に少し緊張した面持ちで、同じく駅へと向かっていた。
「今日から本格的に会社員だな……」
すちは胸の中で自分に言い聞かせるように呟く。
不安と期待が入り混じるけれど、みことが近くにいることだけが大きな心の支えだった。
勤務先は違うビルだが、距離は徒歩10分ほど。
ランチタイムにはたまにふたりで近くのカフェで待ち合わせる約束をした。
「すち、昨日遅くまで準備してたの、知ってるよ。無理しないでね」
みことのその優しい言葉に、すちは照れくさそうに笑う。
「ありがとう。みこちゃんも無理しないように」
そんなやり取りが日々の心の潤いとなり、二人の絆は少しずつ、でも確かに強まっていった。
仕事は慣れないことも多く、ミスをした日もあった。
そんなとき、みことのメールが届く。
「今日もお疲れさま。ゆっくり休んで、また昼からも一緒にがんばろうね」
その一言に救われ、すちはまた明日を迎える力を得る。
逆にみことが疲れているときは、すちがさりげなく夕食を用意して待っている。
ふたりで肩を寄せ合い、笑いながら過ごす時間が何よりの癒しだった。
ふたりは社会人としての自立をしながらも、互いの存在に甘え、支え合う。
忙しい日々の中で、時には言葉にできない不安もあるけれど、どんな時もふたりで乗り越える強さを育んでいた。
「これからも、一緒に歩いていこう」
新生活の始まりに、ふたりは静かに誓い合った。
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