テラーノベル
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放課後の教室。
窓から差し込むオレンジ色の光が、机や椅子を優しく照らしている。
葵は、いつものように窓際の席に座り、ぼんやりと外を眺めていた。
「葵、まだ帰らないの?」
振り向くと、紗季が立っていた。
彼女は少し驚いたような顔をしている。
「うん、ちょっとだけ。紗季も?」
「うん、でも、もうすぐ帰るよ。今日は遅くなるから、先に帰ってていいよ」
葵は少し考えた後、ゆっくりと立ち上がった。
「じゃあ、先に帰るね」
「うん、気をつけてね」
紗季は微笑んで、葵を見送った。
葵は教室を出て、廊下を歩きながら、ふと立ち止まった。
窓の外を見ると、夕焼けが広がっている。
「また、あの場所で会おうか」
心の中で、紗季との約束を思い出す。
あの時、二人で交わした秘密の約束。
あれから、どれくらいの時間が経っただろうか。
葵は深呼吸をして、歩き出した。
あの場所へ向かうために。
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