キャラ崩壊&倫理観の欠片もないことと自/殺未遂いまいち会話が噛み合っていない、ご都合おくすり&展開etc…ets…
誤字脱字も多いので見苦しいところは多々あると思われますが、広い心で読んでください。
地雷の方苦手な方はここでUターンで。
side kn
水は魅力的だ。
自分の浸かっている湯船の青い水を両手で掬い、指の間から流れていくのを眺める。
魅力的であり、とても美しい。
だが美しいものには棘がある、水は魅力的で美しい反面、生物をギリギリまで苦しめ、無残に命を奪ってしまう。
だが海に溶けてなくなることができると思ったら、海で死ぬのも悪くないのかもしれない。
淡く甘いラムネのような香りのする湯船に顔まで浸かり、ぼーっとする。
目だけが水面から見えている状態。
案外苦しいものではないかもしれない。
あぁそうだ最初から、最初からそうしていればよかったんだ。
なんだか今まで考え込んでいたことが馬鹿馬鹿しく感じられうほど清々しい気持ちだった。
最初から海に飛び込めばよかったんだ
そう思ったから。
潮風が気持ちいい。
海の匂いで心が安らぐ。
夕日の沈むずーっと向こうの水平線、まだ温かい砂浜。
全てが心地よくて。
スニーカーを脱いで砂浜を走ってみる。
風が涼しい、秋も終わりだ。
砂浜のみを投げ出して空を見る。
夜になりかけの混ざった色、暖かい砂浜が全部消してくれるような気がして、すごくあたたかい。
みんなのそばもあったかかったけど、この暖かさはまた違う。
ずっと羽織ってたジャージを砂浜に脱ぎ捨て、波打ち際にあしをつけて、ぱちゃぱちゃと遊ぶ。
前みんなと来たときもこんなことしたなぁ…
「きんとき」
「?」
横から声をかけられた。
みずいろ。
「遊んでるの?」
「うん、水きれいだし」
「そっか」
俺が質問に答えると、なかむはスニーカを脱いで、俺の横に立った。
一緒に遊ぼう、と誘われているような気分だ。
だがあいにくそんな気分じゃない。
なかむにつかまれそうな右腕を軽く自分側に寄せ、押し寄せる波に抗い深いところまで走った。
急に深くなった、足を取られてざぶ、と水中に引きずり込まれるように沈む。
水中からみた水面はほんとにきれいだ。
なかむは追いかけてきていない。
通報でもしてるんだろうか、あぁやだなぁ…結局死ねないのか。
ま、でもこの時間も俺の命を削るにはいい時間かな…
水に自分の心臓の音が響く。
酸素が足りない、苦しいと体がもがく。
俺だって苦しい、正直戻りたい、なかむとお話したい、遊びたい、みんなに会いたい。
でも体がうまく動かなくて、ただ体が沈んでいく。
ごぽりと吐き出した最後の空気が水面から差す光で輝く。
キレイだ。
もういっそ、死んでしまえと目を閉じたとき、ぐん、と上から引っ張られる。
あぁ、死にそこねた。
「げほっげほっ…!、はぁっ、はぁっ、」
「どう、満足できた?」
なかむに背中を擦られながら聞かれる。
その質問がやけに怖く感じて涙がこぼれる。
俺は馬鹿だから、なかむがなにを言いたいのか、なんて答えてほしいのかがわからない。
ただ、俺は、
「生きる意味を、探したかった、」
「見つけれた?」
質問の答になっていない言葉でも笑顔で答えてくれる。
なかむがおいでと言わんばかりに広げた両腕に飛び込む。
寒い海の中で冷えた体はなかむの体温に溶かされ温まっていく。
今更寒さを思い出したように体が震える。塩水を飲み込んだ喉も肺も痛いし、低酸素状態も続いて心臓も速くて痛い。
なかむが優しく抱きしめてくれる。あったかい。
「きんとき、どう?落ち着いた?」
「うん、ごめん…」
「謝るのはなしって前も言ったでしょ」
「前…?」
「あ、ごめん何もないよ、とにかく謝るのは無しね」
頭を撫でてくれる。嬉しい。
なかむは何か思い出したように靴の横においてあったビニール袋からTシャツと長ズボンとかを持ってきて、着替えろと言わんばかりにこっちを見てくる。
わかったよ…
濡れた服を着替えると、なかむは無言で俺の手を引いて道を歩いてタクシーを捕まえる。
ぼーっとただ車が走る景色を眺めていた。
なかむはつないだ手を離してはくれなかった。
タクシーが止まったのは病院。
「ぁぇ、なんで…?」
「溺れかけてたんだから、当たり前でしょ」
「ぇ、うん、」
慣れた足取りで待合室に入っていく。俺は椅子に座らせられた。受付の人と二言三言交わすと、俺の隣に戻ってきて離れていた手をもう一回繋がれる。
そうして何分経ったか、名前が呼ばれる。
手を引かれるまま、診察室に入って椅子に座る。
本当に軽い問診があって、お医者さんはなかむと色々お話している。
十分ほど話したかと思うと、看護師さんがいくつかのぬいぐるみが入ったかごを持ってきた。
なかむをみあげると、一個いいってと言われる。
籠の中は主に海の生き物がいっぱいいて、カメとかカニとかサメとかあとこれは…ウニ?かな、イルカもいるしペンギンもいる。
なんとなく、家にはカメのぬいぐるみが多いから両手で抱えてちょうどいいくらいの中くらいのペンギンのぬいぐるみを取った。
「きんときくんはペンギンが好きだねぇ、ちょっと前までは亀が好きだったのに」
「?」
「覚えてないよねぇ、さて、今日も海で溺れたって聞いたけど今度はどうしたの?」
「あぁ、また浅瀬で遊んでて」
「波にさらわれちゃったか」
「すいません、俺の監督不足です」
「いやいや、いいよ、今日も無事でよかった、お薬出しておくね」
先生はおじいちゃん先生でとっても優しい。
何回か俺がここに来てるみたいな話し方をするけど俺には記憶がない、ちっちゃい頃からの先生なのかな。
「はい、これおくすりね、朝ご飯のあとと夜ご飯のあとに飲むこと、おっけー?」
「うん」
「それじゃぁ、お大事に。」
おくすりの袋をもらって、先生とばいばいする。
なかむはまだ俺の手を握ってる。
さっきみたいにタクシーに乗って俺の家に戻る。
なぜかなかむは俺の部屋のカギを持ってる。なんで?
部屋に入ると、甘ったるくてキツいラムネの匂いがする。
なかむがお風呂場に行ってしばらくしてからその匂いはなくなったけど。
俺はソファで大人しくしてろって言われてもらったペンギンさんと遊んでた。
「きんとき」
「んー?」
「おなかすいてない?ご飯食べよ」
ってなかむがキッチンに立つ。
たしかにおなかすいた。
「おなかすいた!」
「はーい、今日はあったかいきつねうどんでーす」
「ねぎいっぱいほしい」
「いいよ、ネギ好きだもんね」
なかむがなでてくれる。やさしいかお、おれ、すき。
もっともっとなでて。
「なかむ、もっとなでて」
「いいよ〜!」
わしゃわしゃあたまをなでてもらう。たのしい、ぽかぽかする。
「きんとき、できたよ」
「ん!いただきます!」
「美味しい?」
「おいしい!」
「なかむ、」
「なぁに?眠くなってきちゃった?」
「ねむぃ、」
「寝ていいよ」
やさしい、あったかい、すき、すき、あったかい
「おやすみ、こんなこと忘れて良い夢をね」
――――――――――――☆彡
side nk
「寝たかな」
膝の上で眠る、黒髪に指を沈める。
彼はあと何回自分の命をすり減らせば自分の価値に気がつくのだろうか。
一ヶ月から二ヶ月に一回、精神に強いストレスがかかりすぎたとき、五感がうまく働かなくなって、頭も上手く動かないなんて状態になる。
そういうとき、きんときは決まって海に行く。
水が魅力的に見えるんだとか。
自分の命が揺らぐ様子が心地いいのか、自分の命を投げ出すような行為をする。
まぁ、この状態になる前に抑えることだって可能だ、難しいけど。
でも、この子どもみたいなかわいいきんときが好き、それに、彼の命がすり減る様を見ていると思わず恍惚としてしまう。生きたいのに死にたがって必死に苦しい苦しいともがき歪む彼の顔があまりに美しいもので。
だからこの状態になる前に止めることが難しいのだ、いつもきんときを診てくれる先生もこのことを知っている、でもみないふりをしてくれて、薬を出してくれる。
きんときの飲んでいる薬は抗うつ剤なのだが、副作用で一部記憶が飛ぶ、きんときは今日一日のことを先一週間をかけて忘れていく。
だから今日見つけた生きる意味も忘れる。だから、今日と同じ日々を繰り返す。
そのうち、俺の手でその命の灯火なびかせてあげるから。
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