みことの唇をしばらく見つめたすちは、 低く、落ち着いた声で囁いた。
「……もう一回、キスしよっか」
みことは少し顔を赤くして、わずかに頷く。
そしてそっと唇を差し出すと、すちはその動きをじっと待った。
みことの唇に触れた瞬間、すちは軽く唇を重ねる――
しかしすちの次の瞬間の動きは、みことにとって予想外だった。
唇を深く重ね、今度はすちから甘く、そして圧倒的に濃密なキスを仕掛けてきた。
舌がみことの口内に入り込み、絡みつく。
まるで酸素を奪うかのように、みことの呼吸のタイミングをすちが支配している。
みことの身体が、びくびくと小さく震える。
唇も舌も、すちの力に従わざるを得ず、 どこか恐怖混じりの期待で体全体が熱くなる。
片手でみことの後頭部を押さえ、逃げられないように固定する。
もう一方の腕は腰を抱え、完全にみことを自分の支配下に置くようにした。
みことは息を荒くしながらも、すちに身を任せる。
抵抗する気力はなく、ただすちの動きに身を委ね、心の奥底で安心を感じていた。
唇が離れるたびに再び重なり、舌が絡むたびに小さく体を震わせる。
頬は赤く、涙で濡れた目も半ば潤んだまま、 甘く蕩ける感覚に完全に飲み込まれていた。
すちは一瞬だけ呼吸を整え、みことの顔をじっと見下ろす。
「……可愛い、俺のこと、ちゃんと見てて偉いね」
その声にみことは小さく頷き、さらに唇を差し出す。
すちの腕の中で、みことの全身が震えるたび、 二人の距離は文字通り、誰にも遮られない、完全な世界になっていった。
すちはみことを抱えたまま少し間を置いた。
息が荒く、涙の跡が残るみことの顔を見下ろし、低く囁く。
「……俺以外とキスするの、ダメだよ?」
みことは瞬きし、唇を震わせる。
その声は甘く、震えと戸惑いでいっぱいだ。
しばらく黙った後、みことは小さく首を縦に振り、 はっきりと唇を震わせて言葉を紡ぐ。
「……すちだけ……」
すちはその言葉に、胸の奥で少し笑い、 同時に複雑な感情が入り混じるのを感じた。
嬉しい──でも、それと同時に、みことが自分に完全に依存していくことへの責任と重さも感じる。
「……そうだね」
指先でみことの頬に触れ、涙を拭う。
その手は優しいようで、 みことは触れられるたびに赤くなり、息が荒くなる。
みことはそのまますちの胸に顔を埋め、 次第に全身で甘えるように身を任せ始めた。
「……すち……っ」
短く呼ぶ声には、まだわずかに抵抗も残っていたが、 その瞳の奥には完全に心を預けた信頼が宿っていた。
すちは微かに眉を寄せ、 みことの後頭部をそっと抱え込みながら、再び唇を重ねる。
さらに深く、甘く、絡めるように舌を滑り込ませる。
みことの体はびくびくと反応し、息が荒くなる。
手や腕も自然にすちの体に絡まり、逃げ場は一切ない。
その瞬間、みことの心は完全にすちに堕ちた。
他の誰も見えない。
欲しいのはすちだけ。
触れてもらえた安心が、全てを包み込み、溺れるような甘さを胸いっぱいに広げていった。
すちは無言で抱き締め続け、 みことが完全に自分の世界に堕ちていくのを、静かに、しかし確かに感じていた。
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