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はぁぁああ、、、かわいいぃいい、、、ナチとドイツ仲直りできて良かったね😊すんげぇしんみりできました✨二人共よしよししたい!!!!!!!! ハロウィンイラスト投稿しなければ、、、!
小説書くの上手すぎやしませんかね() そして話が凄く尊い!!🥰💕
2回の寝落ちを経たせいか、一部書いた覚えがない…
どうも皆様、サカナです
ハッピーハロウィン!
でしたね。
当日出したかったんですけど、書いてる途中で寝落ちしてしまいました😭
絵は今度出しますね(遅筆)
本当はR-18のフライギでも…と思っておりましたが、ハロウィン要素がサキュバスイギしかなかったので…
あ、旧国注意です〜
10月31日…それは、多くの人々が化け物に扮し、お菓子とイタズラどちらを取るか、と言った質問をする日だ。
だが、それはあくまで現代での解釈。
本来は霊や精霊を慰める目的で行なわれる行事で、日付も11月1日。
または、古代ケルト人の儀式「サウィン祭」という秋の収穫祭が起源とされている。
現在のものとは少しばかり形式が違うものの、霊に重きを置いていると言えよう。
今日はハロウィンなのだ。
少しばかり、霊が目覚めてもおかしくはない。
10月31日のある朝、インターフォンが鳴った。
「はい、どちら様ですか…」
こんな朝っぱらから誰だ、と僅かに警戒しながら、日帝は扉に手をかける。
そこにいたのは懐かしの人であった。
「!し、師匠!?」
「よう、日帝!元気してたか?俺様の復活だぞ〜!」
眼帯をつけた赤い瞳がにっこり細められ、ギザギザの歯で豪快に笑うプロイセン。
彼こそ日帝の師匠であり、ナチスという名の盟友の祖父である。
「わわっ、な、なぜ師匠がここに!?あなたはあの時…」
「ああ!一回死んだ!でも今日はハロウィンだからな、かわいい愛弟子に会いに来た」
「師匠〜…!!」
うるうると大きな赤い瞳に涙の幕を張り、日帝はプロイセンに抱きつく。
「おー、よしよし。ちゃんと実体もあるぞ〜 」
「…お祖父様?そろそろ私も日帝と話したいのですが」
「!!!」
懐かしい匂いに包まれ甘えていたところ、プロイセンの背後から、これまた聞き慣れた声が聞こえた。
わざとらしい咳払いにも覚えがある。
「せ、先輩…?先輩まで、ここに…?」
「…久しぶりだな、日帝」
カラスのように黒いマントを羽織り、長い足で歩きながらナチスは姿を現した。
「先輩ぃぃぃ!!」
「ありゃ、師匠より先輩のがいいのかよ〜」
「すみませんね、お祖父様。どうやら、私の方がモテているようで」
言葉を交わすや否やプロイセンから離れ、日帝はナチスに抱きつく。
亡き師匠に会えただけでなく、憧れの先輩にも会うことができた。
「頭弾けてるやつよりはマシのはずなんだがなぁ〜」
「も、もちろん師匠も大好きですよ!ただ、先輩とはお別れも言えなかったので…」
「悪かったな、クソビエトに殺されるぐらいなら…と思ったが、寂しい思いをさせてしまったようだ」
悲しそうな顔で笑うナチスは綺麗で、生前と違うのは側頭部に穴が空き、そこから黒っぽい液体が垂れていることくらい…
「…せ、先輩の頭がっ!?!?!?」
「え?今気づいたのか日帝」
「相変わらず抜けたやつだ…」
「え、え!?だ、大丈夫なやつなんですかそれ!?」
泣き出しそうだった日帝の涙は一瞬で引っ込み、わたわたとナチスの周りを回る。
「うわぁぁ!!先輩が死んでしまう!!!」
「もう死んでるんだけどな…」
「びっくりしたなー、日帝。よしよし、大丈夫だから落ち着きなさい」
「し、師匠…先輩のあれは一体…」
「まあ、死んだ時の姿って奴だよ。どうもないから安心しろ〜」
慌てる日帝を抱き締め、プロイセンはものの見事に落ち着かせた。
流石師匠と言うべきか、扱い方をよくわかっている。
ナチスは困ったように苦笑し、日帝による久々の天然芸で場は和んだ。
「驚かせてすまないな。溢れ出ているものは空気に溶けるから、汚れることはない。確かに見た目は変わったが、中身はあの時と変わらないぞ」
ほら、と手を広げられれば、日帝は吸い込まれるようにその腕の中へと飛び込む。
また取られた〜と嘆くプロイセンを放って、日帝はとあることを思い出した。
「痛くないのなら良かったです!…とりあえず一度、中に入りませんか?」
現在午前9時30分、つい話し込んでしまったようだ。
そうして日帝の家に上がった2人に茶を出して、日帝は久々の来客兼憧れの2人をもてなした。
お茶請けまで出して律儀なことだ、とプロイセンとナチスはそっくりの顔で笑い、内心嬉しくなる。
ナチスが生きていた頃、プロイセンはもう寝たきりで話すことも滅多になく、2人が笑ってくれるだけで感動ものなのだ。
「…それで、師匠は私に会いにきたと仰っておりましたが…遠いですし、お二人には何か目的が?」
こてんとわざとらしく小首をかしげる日帝に笑みを漏らしつつ、ナチスは答えた。
「良い勘をしているな。お祖父様は私の付き添いなんだ。実は、お前に聞いて欲しいことがある」
「会いに来たかったのは本当だけど、本当はこっちがメインだ」
「先輩の聞いてほしいこと?なんだか珍しいですね」
スマートでかっこよく、仕事がものすごくでき、更には世界を手に入れるとまで言い切ったナチスの、聞いて欲しいこと。
興味を持って日帝が問えば、急に神妙な面持ちで話し始めた。
曰く、息子と仲良くしたい、とのこと。
折角のハロウィンに復活したのだから、かわいい愛息子と戯れ仲良くしたいらしい。
だが、向こうに嫌われていることくらい彼も周囲も知っている。
そこで、息子とも仲良くやっている日帝に相談を持ちかけたというのがことの顛末だ。
「な、なるほど…それは困りましたね」
「一年に何度もない貴重な機会なんだ…どうにかして仲を戻したい!頼まれてくれないか、日帝」
「先輩…」
心配そうに眉を下げ、日帝はナチスの目を見る。
そして笑った。
「…そういうことならお任せください!この日帝は、また先輩の為に尽くすことをお約束いたします!」
立ち上がって胸を張り、よく通る声で言い放つ。
「日帝…!」
「良かったな、ナチ。日帝もありがとな! 」
「先輩のためですから!それに、自分の子と仲良くできないのは、いくらなんでも寂しいですからね 」
「そうだな…俺もドイツ帝国たちに先立たれた時、もっと仲良くしておけばと後悔したからなぁ」
うんうん、と頷くプロイセンに同意を示しつつ、日帝はナチスの手を取った。
「さあ先輩、久々の作戦会議といきましょう!」
「ふむ…それでは、お菓子を用意して気を引く、で決定ですか?」
「俺も息子も孫たちもみーんな甘いもの好きだからね!きっと興味を持ってくれる!」
「本当に上手くいくのだろうか…」
「大丈夫!ドイツだって、お前と仲直りしたいと思ってるさ」
「そうですよ!ちょっとした反抗期だと思って、自信を持ちましょう!」
らしくもなく不安がるナチスを励ます2人。
ナチスの覚えているドイツことヴェストとは、品行方正だが少し控えめで、母親がいないということを加味してもパパっ子だった。
それがどうしてああなったのか。
世界中から嫌われた男でも、息子にだけは嫌われたくないのである。
しかし時間は刻一刻と迫っていた。
お昼を食べながら終えた会議の次は、作るお菓子を考えなくてはならない。
「あ、そうだ。どうせなら、ハロウィンっぽいお菓子を作りましょ!かぼちゃプリンとか、かぼちゃのタルトとか、お化け風カップケーキとか…あ、あとバウムクーヘンも。できれば師匠の手作りの」
「自分の食べたいものも混ぜやがったなあ、こいつ。いいぞ!久々に腕を振るってやろう!」
「ありがとうございます!!」
キャッキャと師弟で盛り上がる中、気分が落ち込んでいるナチスは上手く溶け込めなかった。
やはり気がかりなのだ、息子に多大な迷惑をかける父親など、もう慕ってくれるはずがないのでは…と。
「日帝、色々考えてくれたことに感謝する。菓子作りは中々しないが、なんとか頑張ってみることにしよう」
「三人寄れば文殊の知恵!師匠と先輩と私がいるのですから、問題ありませんよ!」
そうして、3人によるハロウィン風お菓子作りが始まった。
とはいえ、元々料理上手な3人が集まっていたので、そこまで苦戦もしなかったが。
「ん〜〜♡♡しひょーのばーむくーひぇん、ひゅごくおいしーれしゅ!!」
なんやかんやもなく無事に終わったお菓子作り。
日帝は焼きたてのプロイセン作のバウムクーヘンを口いっぱいに詰め込み、心底幸せとでも言いたげな表情で噛み締めている。
「こら、食べながら喋るんじゃありません!」
「ご、ごめんらしゃい…」
「相変わらず食い意地が張ってるな…」
「全く…お前はリスか!」
日帝の柔らかいほっぺたの膨らみに呆れつつ、ナチスは日帝が用意してくれた紫色の袋にお菓子を詰めていった。
バウムクーヘン、キャンディ、かぼちゃのタルト、カップケーキにかぼちゃプリンまで。
すっかり日も落ちて、辺りは真っ赤な夕方になっている。
「日帝、今口の中に入ってるやつを食べたら、俺らの家に行くぞ。冷やしてるプリン取ってくるから、ナチスは忘れ物に気をつけろよ」
「子供扱いはおやめください。わかっていますよ」
プロイセンが戻ってくる前に準備を済ませ、ほわほわしながら食べていた日帝はキリッと軍服を着こなし、ナチスも黒い上着を羽織って、威厳たっぷりの姿に戻っていた。
プリンを紙袋に入れたプロイセンが2人の元に戻れば、そのすぐ後に外へ。
お菓子たちが崩れないよう祈りつつ、ドイツという国が長年住み続けている大きな屋敷へと辿り着いた。
鍵を使って中に入り、まず驚いたのはパーティーの真っ最中であったこと。
規模は小さくとも、お菓子を並べて仮装してと楽しそうにしている。
「あ、ほらドイツ、お父さんたち帰ってきたんね 」
「今こそ練習したあのセリフを…!!」
「い、いや、でも…」
「仲直りしたいんでしょ?向こうお菓子持ってるじゃん!言うんよ、ドイツ! 」
「ぅ…わ、わかっ、た…」
何やらコソコソ話しているようだが、あからさまな拒絶はまだされていない。
朝から姿を見なかった日本が仮装して参加していることが確認でき、日帝としてはもう満足だ。
背中を押されたドイツはゆっくり近づいてきて、両手を器のようにして差し出してくる。
「…トリックオアトリート」
そっぽを向いて言われた言葉だが、ナチスは感動して蹲ってしまった。
「…親父?」
「息子が…っ、ドイツがぁ…っ!」
ぐすぐす言いながらただ顔を覆い、穴の空いた側頭部から黒い液体が溢れている。すごい絵面だ。
「ちょ、親父っ!?なんで泣いてんだよ!?」
「わー!!ドイツがお父さん泣かせたんよー!!」
「いーけないんだいけないんだ!せんせーに言っちゃお!! 」
「茶化すなお前ら!!先生って誰だよ!!」
わーぎゃー騒ぐイタリアと日本に鉄拳制裁しつつ、ドイツはナチスに声をかけた。
「お、親父…何があったかは知らないが、なんで泣いてるのかだけでも教えてくれ…頭の怪我が痛いのか?」
「違うぞ、ドイツ。この冷徹漢、お前が自ら話しかけに来てくれて嬉しいのさ」
ドイツが被っている大きな魔女の帽子ごと頭を撫でてやり、プロイセンはにっこりと笑って答える。
「…え?そんなことで?」
「先輩にとっては、それほど嬉しいことなんだ。この大量の菓子だって、ドイツくんの気を引こうと考え、我々で作ったものだからな」
「親父たちが…」
「…すまない、見苦しいところを見せた。こんなつもりではなかったのだが…」
優しく微笑むナチスは、優しかった父親そのもの。
生きていなくても、自分が嫌っていても、ナチスはずっと変わらずに愛してくれていた。
「お、親父…その…い、今まで、邪険に扱って、ごめん、なさい…」
「!!」
「俺、周りが悪く言ってたことに流されて…俺に優しくしてくれてた親父のこと、嫌いになってた…許してくれるかわからないけど…本当にごめんなさい…!」
今度はドイツが泣く番らしい。
ぽろぽろと大粒の涙を溢しながら、ナチスへ謝罪の言葉を言い続けている。
「ドイツ、顔を上げてくれ」
「?…これ…」
「さっき、トリックオアトリートと言っただろう。だからイタズラと…泣くのは勘弁してくれ」
「…ん」
ぎゅっと抱きしめて囁きかければ、いつもなら嫌がるドイツも、綺麗に包装された菓子を片手に抱きしめ返してきた。
歪な過去も罪も取り消せないが、やり直しはいつだって可能なのである。
今宵はハロウィンの特別な夜。
霊や精霊を慰めるだけでなく、親子の絆を結び直した日になった。
「成長したな、あのガキも」
「師匠の孫で、師匠の弟子の私の先輩ですから」
「…じゃあ、成長してなきゃおかしいな」
「その通りです」
頷き合って見守り、日帝とプロイセンは静かに笑っている。
そこに、影が一つ。
「やあ、懐かしい面々だことで」
「イタリア王国、やはりお前も蘇っていたのか」
「蘇りとはまた別だけどね。イタリーに会いにきたのさ。ワインを探してるうちに、良い場面見逃したみたい」
「ここ俺の家だぞ」
「イタ王…お前と言うやつは…」
「…Ioたち、空気なんね?」
「空気ですね…後でお菓子を徴収しましょう」
「ドイツに山ほど食わせてやるんよ!」
「ふふっ…まあでも、今くらいはそっとしておきましょう」
「仲良し親子って、いいよねぇ」
小さなキャンディを食べさせられているドイツを見ながら、イタリアはしみじみと呟いた。