「兄さん今日も告白されたね」
「…見てたのかよ。まあな」
「結構可愛かったのに兄さんなんで
断ったのさ。それに、好きな人がいるから
無理って言ってたけど、好きな人いるの?」
「んな訳あるか。ただ断るだけの嘘だ」
「ふーん」
僕は兄さんに片思いをしている。
僕も兄さんに告白したら、同じように
そう言って断られるのだろうか。
もう何年片思いを続けているのだろう。
少なくとも約9年位は片思いをしていると
思う。 兄さんはいつも、生まれた時から
僕を 引っ張ってくれた。口は悪いけれど、
兄さんのその優しさに僕は惹かれたんだ。
僕たちは双子で、よく似ていると
言われるが、僕たちにとっては似たもの同士
でも同じ人ではない。瞳だって、僕と兄さん
の目は同じ瞳をしているけど、そこには
兄さんにしかない色も混ざっている。
同じだけど、何故か綺麗だ、って思うんだ。
僕は、兄さんに恋人が出来たらどうする
のだろうか。1度、兄さんが女の子と
付き合おうとしている時期があった。
その時僕はギャン泣きで必死にとめたっけ。
なんでそんなに止めるんだ、って聞かれた
とき、「兄さんの事が好きだから」なんて
言えないから、適当にどうでもいい理由を
話して止めた。
僕は今日もこの好きを飲み込んでいる日々だ
「おい起きろ!朝だぞ」
「んぅ~…、あとちょっと…」
「ダメだ。早く起きないと朝飯抜きにするぞ」
「えっ、それはやだ!!起きる、!」
「ならさっさと顔洗ってこい」
「はいはい」
先に兄が部屋を出たあと、僕もあとから
追いかけるように部屋を出る。
リビングに着くとご飯のいい匂いが漂い、
僕は目を輝かせる。
「ほら、座れよ」
「うん!!兄さん今日も作ってくれて
ありがとう。」
「本当はお前にも手伝って欲しいんだけどな。」
「ぅ、…だって僕料理できないし」
「はぁ…そろそろ覚えろよ」
「兄さんがいるからいいもん」
「そういう問題じゃ…」
僕は兄さんの小言も聞かずにパンにジャムを
塗り食べる。
「あ、そうだ兄さん。今日は買い物行くんだっけ」
「ああ。母さんが言ってた。」
僕たちの両親は旅行が大好きで、家に
居ることなんて週3くらいだ。
だから僕たちが何とか生活している。
「ふーん、」
「机の上にお金を置いていくから余ったら
使っていいだとよ」
「ほんと!?」
「…らしい」
「買い物が終わったらベーカリー行こうよ!」
「…またあのパン屋寄るのか?」
「いいでしょ別に」
「好きにしろよ」
「わーいっ」
僕たちは朝ごはんを済ませ、買い物も
済ませた後、ベーカリーに行こうとした。
「ぅ~、、寒っ、、」
ベーカリーに向かう途中、段々と
さむくなってきて、体が震えた。
「だからマフラーしていけって言ったんだ。」
「…ぅ~、寒いよぉ、」
「………はぁ」
兄さんは大きくため息をついた後、兄さん
の首元に巻かれていたマフラーを僕の
首元に巻いてくれた。
「……ありがとう、えへへ、」
「……ん」
僕はマフラーを鼻まで覆うと、兄さんの
匂いがふわっとして、少し嬉しくなった。
ああ、このままこの幸せな時間が
ずっと続けばいいのに。
「炭治郎~っ!!」
ベーカリー屋の中はすごく暖かくて生き返る
ような空間だった。
「あ、時透くん!!…お兄さんも!!
いらっしゃい」
「、どうも」
「今日は何を買いに来たの?」
「うーん、新作が出るって聞いて買いに
来たの。」
「わぁ、本当?それは嬉しいな。オマケに
時透君が好きなパンも入れとくね」
「いいの!?やったぁー!!」
「終わったらさっさと帰るぞ。竈門さんも
店で忙しいんだから」
「あ、俺は大丈夫だよ。有一郎くん、
わざわざ来てくれてありがとう」
「……。」
「炭治郎気にしないで。兄さんはただ
恥ずかしがってるだけだから」
「はぁ!?別にそんなつもりじゃ、」
「ふふ、本当に仲がいいんだなぁ、 」
「うん!!!」
「あ、そうだ時透くん。」
「ん?どうしたの?」
すると炭治郎は僕の耳元でこう囁いた。
『有一郎くんとは上手くいってるの?』
そう。炭治郎は僕の好きな人が兄さんと言う
ことを知っている。そういう匂いがする
から、っていう理由もあるけれど、
僕が良く恋愛の相談を炭治郎にしている
からだ。
「…うん、まぁ、それなりには」
「もう告白したらいいじゃないか」
「…えっ!?」
「ほら頑張って。時透くんならきっと出来る」
「そういう問題じゃ…」
「おい無一郎。なにしてる。用を済ませた
ならさっさと帰るぞ」
「ぁっ、うん!!」
「じゃあ、次会った時成功したか聞かせてね」
「ぇっ、」
……まずいことになったなぁ、
勝手に話を勧められて告白することに
なってしまった。
前々から確かに告白しようか迷っては
いたが、やっぱり振られて普通の兄弟じゃ
いられなくなることが怖い。
兄さんは僕に優しいから、断らないかも
しれないけど、無理やり付き合わせるのは
嫌なんだ。
……兄さんには、幸せになって欲しいから。
僕は勇気をだしてその日の夜に、
僕の部屋に兄を 呼び出した。
「何だよ呼び出して。くだらない事なら
聞かないぞ」
「……うん。大丈夫、それなりの話
だから」
ああ、ダメだ。兄さんを前にしてしまうと
心臓がバクバクしてしまう。
断られたらどうしよう、頭の中がネガティブ
なことでいっぱいになる。
「……大丈夫だからゆっくり話せ」
僕が緊張しているのを察したのか、兄は
僕の頭を撫でて不器用なりに微笑んだ。
あぁ、本当にこの人は優しいなぁ。
どうしてこんなに優しいのかな。口は
悪いのに結局は仕方ないなぁという顔を
しながら甘やかしてくれる。
僕は兄さんが居なきゃ生きていけないんだ。
兄さんさえいれば…。
「ずっと、僕の事を支えてくれて
ありがとう。こんな僕の為にいつもいつも
世話してくれて、兄さんには感謝しかない
よ。」
「………」
「…僕は、誰よりも兄さんのことを
分かってるつもりだ。僕が一番そばで
見てきたからね。どんな時も一緒だった。
それがどんなに幸せか、いつも噛み締めてるよ。」
「……うん」
「だから、ね、ぼく、僕、は……」
視界がどんどん涙でぼやけてくる。
ダメだ。泣くな。今泣いたらもう、
ぼくは本当の気持ちが言えなくなって
しまう。もうこんな辛い片思いは 嫌なんだ。
「………兄さんのことが、ずっと昔から、
恋愛として好きなんだ」
僕はやっと言えたことの嬉しさや、安心、
不安、恐怖など、たくさんの感情が押し寄せ
もう何もかもがどうでも良くなった。
「ご、めんなさぃ…、兄弟なのに、こんな
感情を持っちゃって。もう、普通の兄弟
には戻れない…。ごめんなさい、ぼく、
おかしいんだ、兄さんの事を好きになったら
いけないって、分かってるのに、どうしても
兄さんじゃなきゃダメなんだ、…。
辛くて、兄さんを目の前にしたらもう
どうしたらいいのか分からなくて、もう
こんな辛い片思いをするならいっそ──────」
その瞬間、兄さんは僕を抱きしめてくれた。
「………にい、さん?」
「もう、分かったから。それ以上言うな」
「ごめん、なさい」
「なんで謝るんだよ」
「だって、僕………」
「俺も、好きだから」
「…………え」
今、なんて?ぱっと顔を上げれば、
目を逸らして少し照れていた可愛らしい
兄がいた。
「だからっ、俺も好きなんだよ!!!」
「うそ、………ホントに??」
「………こんな嘘ついたら笑えないだろ」
「……っ兄さん!!」
僕は兄さんを抱きしめ返し、ギャン泣き
した。こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。
僕がギャン泣きしたせいで兄さんも釣られた
のか、兄さんもぐす、と鼻を鳴らしていた。
「お、おい!!待てって!!」
「え? 」
「えじゃなくて!!いくらなんでも展開が
はやすぎるだろ!」
そう。告白されてから40分後、俺は無一郎
に押し倒された。
「だって兄さんも好きって言ってたじゃん」
「そうだが…っ、」
「なら問題ないでしょ」
その瞬間、俺と無一郎は口付けをした。
いきなり無一郎は舌を入れるから、
勝手に変な声が出てしまう。こんな口付け
俺は知らない。
「ん、っふぅ、ぁ、やっ、」
「はぁっ…兄さん、キスだけでこんなに
なっちゃうの?」
「ぅ、~~………」
「…ねぇ、兄さんはさ、自分が今どんな
顔してるのかわかってる?すごく いやらしい顔してるよ」
「言うなバカ、…!!」
「僕もう我慢できない。何年も片思い
してる我慢してたんだからもう我慢
しなくていいよね…?」
「、……ふん」
その後のことは2人だけの秘密だ。
コメント
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お久しぶりです💭まな板さんのストーリー名前書いていないのに口調とかで誰が言ってるの分かるのがほんとに凄くていつも尊敬してます😖💞ストーリー書くの無理しない程度に頑張ってください❤️🔥