余命宣告を受けてからはや3日が経っていた。私はそのまま入院をすることになり、点滴療法や薬治療などに専念している。だが、病院の中は殺風景で、一度病院内を全体的に回って見たが、居心地がいいのは裏庭のみ。この病院の裏庭は、長期入院をしている人や、私のように余命宣告を受けている人たちが心を落ち着かせるために来る”居場所”らしい。
私はここに来て3日経っているが、どうも落ち着かないのだ。起床時間や食事時間、睡眠時間などが決まっていて、規則正しい生活になっている。私は、まだ全然慣れていない。それに、余命宣告をされているからだろうか、いつ死が来るのか、最終的に私はどうなってしまうのだろうか、など色々な事を思い、落ち着かないのだ。だが、この裏庭に来た時、心が落ち着きを取り戻した。病院内だからなのか、騒音や雑音などは一切なく、風の吹く音や、草木が揺れる音しか聞こえなく、周りは、花壇に囲まれている。バラやチューリップといった花や、ひまわりなどの季節ごとに生える花が植えられていたりする、その中には、枯れている花や、しおれている花は一切なく、人の手によってきれいに手入れされているのだ。花壇の他にも、時期ではないが、後半年ほどすれば咲くはずの桜の木や、松の木などがあり、どの木もきれいに手入れされていた。これからは、この裏庭と共に、歩んでいこうかと思う。
余命宣告を受けてからもう一週間が経過した。私の体は、まだ規則正しい生活には慣れなくて、消灯時間を過ぎても、起きてしまう事があった。 今までは、緊急搬送されてきたばかりで、今後何が起こるか心配だという事で、個室で過ごしていたが、一週間も経ち、体が安定していると言われ、一般病棟に移された。一般病棟では、私以外に3人の患者さんがいて、その中にはまだ19歳の子もいた。四人部屋の事もあり、せめて自分の部屋の人たちだけでも仲良くしておかないと、と思い、思い切って3人に話しかけてみた。私は、思い切って良かったと思った。見事に3人とは仲良く慣れた。一人目は月宮くん。月宮くんはまだ19歳で、私よりもひどい心筋梗塞だと言っていた。いつ発作が起こるかわからない状態で、私と同様死と隣り合わせなのだ。二人目は野崎ちゃん。野崎ちゃんもまだ21歳で、急性白血病だと言っていた。野崎ちゃんは初期症状にすぐ気づき、すぐに病院を受診したと言っていた。まだ症状は軽い方だが、いつ悪化するのかわからない状態だという。3人目は菜乃屋さん。菜乃屋さんは私の2個先輩の27歳。菜乃屋さんは、先天性心疾患だと言ってた。生まれつき心臓が悪く、心臓の動きがおかしくなり、心臓移植をするとのこと。
みんな重い病気で、私の気持ちを理解してくれた。私以外にもこんなに苦しんでいる人がいて、自分だけじゃない、仲間がいるとまで思った。
これから先、この仲間たちとの生活を懸命に楽しんでいく事を心から誓った。
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