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龍之介とアイリの決闘から1週間が経過した。
試合にかこつけた痴漢行為を働いた龍之介だが、幸いにして、学園側には報告されていなかった。
部員たちにその場でボコボコにされ、ある程度の制裁を受けたことが一因だろう。
そして何よりも、被害者であるアイリが、龍之介に許しを与えたことが大きい。
彼女は、自身の胸を隠すようにしながら龍之介にこう言ったという。
――ボク以外の合気道部部員にこんなことしたら……許さないからね……。
恥ずかしそうに顔を赤らめてそう言うアイリは、とても可愛らしかったらしい。
それはさておき、今日の龍之介は合気道部に顔を出している。
「はぁっ!! せりゃぁああ!!」
「うわああぁっ!?」
アイリの気合いと共に投げ飛ばされ、女生徒が宙を舞う。
合気道部の部長として、一般部員を圧倒すること自体は珍しくない光景である。
しかし、ここ数日は何かが違った。
「す、凄い……。アイリ先輩……」
「これで10人抜きだよね? さすが……」
「パワーもだけど、特に技巧が凄く伸びているように見えます。あまり体力を消耗せずに、次々と……」
「何かコツを掴む出来事でもあったのでしょうか……」
部員たちは、アイリの圧巻の活躍に感嘆の声を漏らす。
アイリは、ここ数日で急激に強くなっている。
部員たちも、この変化には驚いているようだった。
龍之介との勝負以来、彼女は何かに目覚めたように強くなったのだ。
その後も、合気道部の活動は順調に進んでいく。
そして――
「アイリ部長、今日もあの男と居残り練習ですか?」
「うん、ちょっとね。先に帰ってていいから」
「気をつけてくださいね。道場で2人きりなんて、襲われるかもしれませんよ?」
「あはは、大丈夫だってば」
部員たちの忠告を、アイリが軽く笑い飛ばす。
決闘の日から1週間、龍之介とアイリは毎日のように居残り練習をしていた。
部員たちが退出し、道場内で2人きりになる。
「さて、今日も【愛情クロストレーニング】をやるか?」
「うん、望むところだよ!」
2人は道着の帯を解き、全てを脱ぐ。
下着もだ。
そして――お互いに向かい合うと……全裸のまま組み合った。
「うりゃあぁあっ!」
アイリが龍之介を投げ飛ばす。
しかし、彼の受け身によってダメージはほとんど無い。
「まだだ!」
龍之介は、アイリを押し倒す。
そして、その胸に吸い付いた。
「んっ、あぁん……!」
アイリが、艶のある声を漏らす。
龍之介も、美少女のおっぱいの舌触りに身を震わせる。
2人の男女が全裸で絡み合う光景は、とても卑猥なものだった。
しかしその目的は、決して邪なものではない。
「ふふっ……。龍之介は本当にエッチだね……」
「仕方ないだろ、男なんだから。それに、アイリも嬉しそうじゃないか」
「うん。だってさ、このスタイルなら何故か龍之介は強くなるし……。ボクにとっても良い練習になるからね」
アイリは合気道部の部長として、もっと上を目指したいと思っていた。
しかし、見えない壁にぶつかって思い悩んでいたのである。
そんな時に見えた光明。
龍之介との【愛情クロストレーニング】は、アイリの悩みを解消するものでもあった。
「じゃあ、続きをしようか」
「おう、かかってきな」
再び組み合う2人。
その後――
2人が全裸で稽古に励んでいると、突然道場の入り口が開かれた。
「「……え?」」
驚く2人の視界に、女子生徒の姿が入る。
それは――
ウェイトリフティング部のミオであった。
「あ……」
「み、見られちゃったね……龍之介……」
そんな2人の言葉に――
「なぁああああ! 遅いと思ったら……何をしているのですか! 龍様!!」
ミオは、顔を赤くしてそう叫んだのだった。
――その後、何とかミオに事情を説明した龍之介とアイリは、彼女のお説教を正座で聞いていた。
「はぁ……。ご自分がどれだけ問題のある行動をしてるのか、理解してます?」
ミオの言葉に、2人はシュンとした様子で頷く。
そんな2人に、更に続ける。
「まぁいいです……。龍様が女好きであることは、薄々分かっていました。それに、今の時代は完全自由恋愛ですから……。龍様のように魅力的な男性がいろんな女性に手を出すことは、仕方ありません」
2099年になった今、いろいろな制度や常識が変容していた。
恋愛や結婚に関する制度も、その1つだ。
「ですが、野球部としての練習に遅刻するのは問題ですよ? 私はずっと待っていたのですから」
「「……はい」」
「よろしい。では、龍様……アイリさん。そろそろ服を着てください。そして、野球部としての練習を始めましょう」
ミオは2人にそう促す。
野球部は理事長の肝入りだ。
ナイター施設が整っており、夜遅くまで練習ができる。
ミオの言葉に、2人は頷いた。
そして、グラウンドに移動し練習が始まる。
「ノックいくぞ! そりゃっ!」
「ほいっと!」
龍之介の掛け声で、アイリがノックを受ける。
ちなみに、ミオは野球ロボのサポートを受けつつトスバッティングを行っている。
「アイリのグラブ捌きは凄まじいな。合気道部での試合や稽古で、器用なのは察していたが……」
「まぁね。ボクは手先の器用さには自信あるから。ただ、道具を使ってボールを打つのはなかなか難しいけどね」
「未経験だし、それは仕方ないだろう。合気道部の部長として、全体的に身体能力も高めだし……。野球部として、とても期待できる新戦力だよ」
「あはは、ありがとう!」
談笑しながら、ノックを受けるアイリ。
その後も、龍之介、ミオ、アイリの3人で練習に励んでいくのだった。