テラーノベル
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irxs青桃のnmmn作品です!!
絶対にご本人様に届かないようにしてください!!!!!!
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青視点
夏ツアーの合間にも、当然出社することがある。
デスク上に2台横並びになったパソコンの1台は俺が、もう1台はうちの社長が使っている。
「なあ…もう流石に帰らへん?」
「なんで?……あ、まろ先にあがってていいよ」
自分はまだまだ仕事をしなければならないということを示すように、ないこは目をかっ開いてメールと睨めっこしながらキーボードを叩きつける。
「もう22時やで?明日もレッスンあるしさ、はよ帰って寝たほうがええって」
「俺は大丈夫だから。」
今の時刻は22時。社内には人の影はほとんど見えず、俺とないこしか残っていないようだ。
___平気そうに言い放つないこの目元には、クマがくっきりと浮かんでいた。
「大丈夫ちゃうから言ってんねん…!」
俺は自分の手元のキーボードを睨みつけながらそう言うと、隣からガタンという音が聞こえた。
そこでは、ないこが手もつかず顔から落下したように机につっぷしていた。
「ないこ!?」
また過労で倒れてしまったのではないか。嫌な想像がよぎる。
ライトに青白く照らされた、細すぎる手首がぷらぷらと垂れ下がっている様は、毒々しいほどに病的だった。
すぐに救急車を呼ぼうと、彼が突っ伏しているすぐそばに置いていたスマートフォンを取る時聞こえてきたのは、すうすうというないこの安らかな寝息だった。
倒れて…ない。眠りだしたようだ。
その姿を見た途端、さっきまで張り詰めていた緊張の糸が弾けて、気がつくと口元が緩んでいた。
「もう……ないこ」
こいつは、ほんまに……。
ないこのことやから、大量のタスクを誰にも頼らずに自分だけで解決しようとしたんだろう。
「できる限りで助けるからさ、もっと頼ってや」
体温が移った温かい金髪を、起こさないように優しく撫でつけた。
……起きた時、ひとりぼっちは寂しいよな。
安らかな眠りについてしまったないこが起きるまで、しばらくここで待っていることにしよう。
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寝起き特有の脳みそにもやがかかったような感覚と共に、俺は瞼を開けた。
「ん……?顔痛った……」
ここは……VOISING、で俺のデスク。ひとまず、体温と寝息とで生暖かく湿った机から顔をあげる。
ああ、俺は寝落ちしてしまったんだな。
たしかさっきまでまろと作業していたはずだよな。今の時刻は丁度0時。シンデレラはお家に帰る時間。
隣を見ると、スマホにイヤホンを繋いで、何かの音源を真剣に聴いているいふがいた。
「まろ……なんでいんの」
「ないこが起きるの待っててん。これライブの音源な」
俺が起きた途端にいふはスマホの電源を消し、イヤホンを引き抜いた。
まさか、イヤホンは俺を起こさないために……?
「え、そこまでして待たずに帰ればよかったやん」
「……またぶっ倒れたのかと思った」
「寝てんだから放置しとけばいいじゃんか」
嬉しい。嬉しい。いふが心配してくれて。俺のためだけに時間を使って待っていてくれて。
__じわじわと心のどこかが満たされていくのを感じる。
でも、嬉しい気持ちとは裏腹に口からは彼の好意を突き放すような言葉しか出てこない。
「普通に心配するやろ」
「なあ、もっと他の人を頼ってええんやで?」
俺を最大限気遣うように、優しい声で諭すように俺に語りかけるまろ。
頼る、かあ。俺の苦手分野やなあ。
「例えば何頼ったらいいの」
「んー、何でも頼っていいと思うで?」
“何でも“俺はそのワードに目をつけた。
本当に何でもいいんだな?俺普通にまろにキスとかされたいんだけど。
でもいきなりキスをねだるのは気が引けるので、まずは頭よしよしをおねだり。
「じゃあまろ、頭撫でて」
「ええで。そんなんでええの?」
まろの暖かい手のひらが俺の頭を撫でている。
あ、やばいこれ。
普段まったく人とスキンシップをとらないってのもあるし、相手はまろ。普通に勃ちそうで終わった。
「次は………
キスして。まろから」
照れたら負けだ。その信念を持って何とか顔を赤らめないように意識しながら言う。
「キ、キス!?!?!?!?!?」
俺の突拍子もない発言に面を食らったまろ。
若干頬が赤く染まっている。はいまろの負けー。
「……俺、さっきまろの彼女になる夢みたの」
とんだでたらめである。夢なんて見る暇もなく爆睡していた。
「それとなんの関係が」
「何でもいいって言い出したのまろやん」
導入導入。まろが優しい事をいいことに、理不尽を振りかざす。
「……それは“相棒“として流石に一線超えてへん?」
「はーあ、俺、まろからのキスがないと元気にライブできないかもー」
「おま、……。」
むしろ一線超えたいんです俺は。
別にキスがなくたってステージに立てば元気にライブできる。
でも活動熱心なまろはライブができなくなるなんて放っておけないだろ。
「……ほんまにできひんの?」
「できませ〜ん」
床を足で蹴って椅子をくるくると回す。幼稚な行動。
社員がいる時やったらとてもできないけど、今はまろしかいないから。
「…こっち来いや」
「なに?ほんとにしてくれんn……」
椅子から立ち上がり、まろに正面から近づく。
いきなり片手で顎を掴まれ、意識していなきゃ本当に触れたのかわからないほど一瞬だけ。
一瞬だけ、まろの唇が俺のそれに触れた。
「はい。元気になった?」
「……………はあ!?!?
お前、嘘だろ!?!?!?!?散々拒否ったくせにまさかするとは思わんやんか!!」
「うるっせーなー!!!!せっかくしてやったのによー!!!!!」
「お前!!!!まろ!!!!責任取れよ!!!!!
俺の10年ぶりのキッスをうばった者として!!!!!!!」
「俺やって久しぶりやわ!!!!!!!!!!!」
お互い、照れ隠しするために普段みたいに会話するのに必死だった。
そう言うまろの耳は茹で上がったタコみたいに赤くなっている。
少しの間、沈黙が続く。言うなら今しかない。
俺はふっと息を吐き出して覚悟を決めた。
「____まろ、付き合お」
まろにキスされる、なんて夢のような体験に酔わされてしまったからかもしれない。
この5年間、ずっと言えずじまいだった言葉は、案外あっさりと口をついて外に出た。
まろからの返事はない。代わりに、俺を慈しむような微笑みが答えだった。
……その無言は了承と捉えていいんだよな?
利き手の人差し指をまろの唇に当てながら宣言する。
「……まろ!ねえ、今日から俺はお前のお姫様ね」
「お姫様……??」
鳩が豆鉄砲をくらったような顔をするまろ。いい気味。
そうだよ。これから俺はお前のお姫様だし彼女なの。
「あと、付き合うからには一生幸せにしてやるからな」
活動面でも、恋人としても。全力で幸せにする。
一度捕まえたからには二度と離れられないようにしてやるよ。
「はは、とんだお姫様やな」
「ええで。一生ついてったる」
ああ、やっぱり、俺はこいつが好きなんだなあ。
______今度は、お姫様から唇に愛を贈ってやった。
コメント
1件
あー、もう、めっちゃ良かった……! 普段あんまラブコメ読まないんだけど、これは刺さったわ。 まろが寝てるないこ起こさないようにイヤホンして待ってたところとか、優しすぎてやばい。 で、ないこの「キスして」からの強引なお姫様宣言。あの流れ、最高すぎる。 「一生幸せにしてやる」って言い放つないこ、カッコよかったし、まろの「ついてったる」も優しさに溢れてた。 続き絶対読みたいです🔥