テラーノベル
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「あれ、星乃さんと花里さん。こんなところでどうしたの?」
奏は、一歌とみのりにそう聞いた。明らかに訳ありだった。でも、二人は隠した。
「ただ風に当たりたかったんです」
「私に同じだよ!ちょっと風に当たって気分を紛らわせたくて!」
奏は気づいた。一歌もみのりも、涙を流した跡が目元にあることに。
ー星乃さんと花里さん、。泣いてたんだ。何かあったのかな。
「ねえ、二人とも。何かあったの?」
「え?」
「だって二人とも、目元に涙痕があるから。何かあったのかなって気になっちゃったの」
「えっとねー。ううん!なんともないよ!涙痕があったのは、ただ眠くてあくびをたくさんしちゃったからなんだ!でも、ありがとう!心配してくれて」
そう言ってみのりは、笑いながら屋上から去っていった。だけど、一歌はそこに座ったまま動かなかった。動こうとしなかった。
「星乃さんは行かないの?」
「ー。はい、行きたく、ないので」
明らかに暗い顔を、一歌はした。絶対に何かあったと感じた。
「ねぇ、話してみてよ。何があったのかを」
「そう、ですね。話してもいいですか」
「うん、ありがとう」
それから一歌は、起きたことを話した。自分は邪魔だと言われて、レオニを抜けたこと。そしてそれは、クラスメイトも思っていたことを。
「私は邪魔、か。そうだったんだね、そんなことを言われたんだ。でも、その気持ち、少しわかるな。私も違うけど、似たようなことは言われちゃって。だから星乃さんの気持ち、なんとなくわかるよ。」
すると、一歌は泣き出した。
「私は、みんなのために頑張って練習して。それでも全然うまく行かなくて。その果てに邪魔だと切り離されて、。音楽は私の生きがいだった。だけど、邪魔ってだけですてなきゃいけなくなった。それが本当に苦しくて辛くて、。だからここにいるんです。教室に戻ったらまたしんどくなっちゃうから」
奏ははっきりとわかった。一歌もまた、音楽から逃げてきたのだと。
師匠@活動終了
コメント
1件
うわ、すごく胸に来る話だった……。星乃さんが「邪魔だ」と言われてバンドを抜けたって告白するシーン、読んでてこっちまで息が詰まった。それに対して奏が「その気持ち、少しわかる」と自分の痛みを添えて寄り添うところが、無理に励まさずにただ隣にいてくれる感じで、すごく温かかった。教室に戻れない二人が屋上で結びつく、この静かな共鳴が好きだな。