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幽霊東京🌞×生まれ変わり🎻🛵
「ー また、絶対逢いに行くから。」
夢の中で、誰かの声を聞いた。姿を見た。
優しくて、暖かくて、包まれるような声。知らないけど知っている見た目。遭った事ないけど、大好きな彼。
矛盾ばかりしている脳内は意外にも透き通っていて、回っていないと思っていた血液はとても調子が良いみたい。
「…、」
調子は良くとも直ぐ冷えてしまうのがこの季節。先程まで温もりを抱えていた己の手はいつの間にか冷え切って、悴んで、硬まっていた。
ぐ、ぱー、ぐ、ぱー
なんて、繰り返しても尚この冷えは直らない、寧ろ空気を掴んでもっと冷えちゃったかな。
指先から寂しさが伝わってきて、それで心まで蝕んでくる。孤独感。
毎朝この夢を見て起きた時はどうしようもできない孤独感に苛まれて、それで、寂しくって、でもどうにも、できなくて、
「…あいたい」
あの人に、
あの、暖かい人に。
僕より骨骨しくて、体温は低いかもしれないけど、でも、それでも暖かいあの人に。
「…あさごはんたべよ」
孤独感があれど、社会人。
寂しさがあれど、社会人。
社会人という称号を一度持ってしまえば逃げることは難しい。
生活をして、ご飯を食べて、働いて、寝て、食べ、動き、寝て、また食べ。一人で過ごすのは快適。でもどこかにぽっかり穴が空いた感覚になることが多いのはきっと彼のせい。
だからさ、
「あいにきてよ、」
まってるから、
ずっと。
ずっと。
無機質な部屋に響く声は、
寂しさを拡張させた。
… SideChange …
「逢いに行くよ、かぁ…」
はて、そんなことを言って一体幾つ年が過ぎただろうか。
きっと彼は僕の事を覚えていないんだろうな、とか、もう違う人の恋人になってしまったのかな、とか。こういう時の思考はどうしてもネガティブになりつつある。
幾年もの時が経ち、いや、幾百年かな?わかんないけどまぁ兎に角時が経ちに経ちまくって未だ彼に逢えてない。いい加減僕の体も朽ちてしまいそう。朽ちるのは嫌だな、また彼を抱き締めたい。
ウンウン言って唸っていれば心配を掛けてしまったのか彼の魔が近づいてくる。嗚呼、ごめん。お前も彼に逢いたいよね。
わしゃわしゃと頭を撫でればそれはもう幸せそうに目を細めて頬を擦り付けてくるもんだから僕の魔に対する警戒心がどっか行っちゃった、どうしてくれんの。まぁ僕も魔なんだけど。
「…はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
だめだ、考えれば考える程彼に逢いたい。
憂鬱になって拗ねて魔に向かってぶーぶー言ってたら、懐かしい声が聞こえた気がした、
え、
うそ
「 ー」
… SideChange …
「ー あの、大丈夫、ですか?」
なんか…黒い…青い…犬?を無心で撫でてるであろう人に声を掛ける。
人に良いことをしていればその積み重ねでいつかは彼に会えるだろう、なんて何処かで期待してるのは内緒。
この人、酔っぱらいかな?にしては目が据わってないんじゃ、ぇ、
「目、が」
蛍光、
十字、
これ
「っあー…、っと…、変、だよね…、」
哀しそうに笑う貴方に飛びついた。
… SideChange …
「ぇっ、と、とうじろ、?!」
いきなり飛びつかれ驚く、まぁもちろん足のない僕は倒れることはないから支えれるんだけども。
というか。
「えっ、、えぇ…?」
藤士郎、てっきり記憶無いのかと…。でも抱きついて来たってことは、覚えてるってこと、?…ま、いいや。
「もう離さないからね」
… SideChange …
その発言と共に柔く抱き締められ、心の何処か、奥深くにある穴が埋まるのを感じた。
「…ずっと、」
ずっと、ずっと。
ずっと会いたくて、話したくて、抱きしめて欲しかった。
その温もりを探して、探し求めて、見つけられず自分を憐れんで。
その繰り返しを後悔しないで済んだことに感謝しなきゃ、嗚呼、嗚呼!もう、
「泣くつもりなかったのになぁ、」
愛しさと、嬉しさと、感情がごちゃまぜになってしまって形となって溢れてくる。
名前なんて知らない、でも全部知ってる。
きっと頭が混乱して、それで溢れてしまっているんだ。
こんなとこ見られたら幻滅されちゃうだろうな、なんて急いで雑に目を擦れば彼の胸に再度柔く包まれる。
「…擦らないで、僕の胸で泣いていいから」
嗚呼、ほんとう、
「ずるいひと、」
… SideChange …
「、」
白く、柔く、温かい息が目に見える。
今日、こんなに寒いんだっけ。後でちゃんと藤士郎にあったかい服着せてあげなきゃ。
「 ーこんなとこにいたの?」
嗚呼、ちょうど今君のこと考えてた。
「おはよ、藤士郎。」
今日は雪が降ってるみたい、だなんて彼を抱きしめ呟けば肯定も否定もせずそっか、とつぶやき返して顔を擦り寄せてくれる。この時間、毎日やっても飽きないな。ずっとしあわせ。
「晴君は寒くないの?」
もぞもぞ、なんて顔を動かして此方を見つめる彼。
残念、僕には寒いって概念は無いみたい。
「ふ〜ん…、不思議だねぇ、」
そうだねぇ、不思議。
「でもま、不自由さは無いから大丈夫だよ」
君をこうして抱きしめられているし。