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そして数日後。
ようやく新たなプロジェクトの全員のメンバーが集まっての初顔合わせと初会議。
うちの商品企画2部からは、オレがリーダーとしてのメインで、そのサポートとして同僚の高杉。
高杉とやるのが今までも一緒にやることが多くて一番やりやすい。
あとは数人の後輩。
今回のプロジェクトは商品企画1部2部それぞれの特色である女性らしさと男性らしさのいい部分を取り入れて、新しい商品を企画していくというコンセプト。
「では、このプロジェクトは商品企画1部からは早瀬くん。商品企画2部からは望月さんがリーダーとして、それぞれその部の特徴・魅力を活かした商品をこのチームで色々アイデアを出して考えて頂きたいと思います」
今までにはない企画内容と、幅広い年齢と斬新な新しいアイデアを今回は活かしたいらしく、今回のプロジェクトは自分たちの商品企画1部はオレを筆頭に若いメンバーが選ばれた。
それに比べて商品企画2部は、当然彼女がリーダーで他は後輩って感じか。
「じゃあ、これで会議を終わりたいと思います。リーダーの二人はそれぞれの部でアイデアを出したのをまとめつつ、それぞれの意見をミックスさせて上手く形にしてください」
当然大きなプロジェクトで適当にやるワケにはいかない。
ここでオレはどうしてもリーダーになって進めたい企画、いや・・進めなければいけない企画があるから。
それはこの先同じリーダーの彼女にもいろんな意味で関わって来るかもしれないこと。
その後は、両部のリーダーのオレと彼女が最後まで内容を上司と確認して、今は会議室に資料を整理しながら会議室で彼女と二人きり。
「望月さん。今回はよろしくお願いします」
少し離れた窓際で片付けている彼女に声をかける。
「あっ、よろしくお願いします」
それに何気なく返してくれる彼女。
「オレ。このプロジェクトに賭けてるんで」
「えっ、そうなんだ?今までも色々活躍してたって聞いたけど」
「あぁ。まぁ。それもある理由があって、頑張ってここまで結果残して来たって感じなんで」
このプロジェクトに関わる為に、あなたと仕事が出来るのを願って努力し続けて来た。
そして、オレはようやくここに立てている。
「へ~意外。案外何でも余裕でこなしてるのかと思った」
「まさか。オレどうしても諦めたくないことあるんですよ。どうしても手に入れたいモノがあって」
それはすべてあなたにも関わって来ることかもしれないけど。
「へ~案外熱いんだ」
「だから絶対今回はなんとしてでも成功させなきゃいけないんです」
成功させなきゃ意味がない。
これは絶対成功させなきゃいけないプロジェクト。
「このプロジェクトと何か関係あるの?」
「えぇ。まぁ。このプロジェクトを通して伝えたい相手がいるんで。ある意味オレにとってこれからが変わるっていうか」
このプロジェクトが成功すれば証明出来る。
オレの存在価値を。
オレの今の想いを。
きっとこれですべてが変わる。
オレのこれからの人生が。
「なのでこのプロジェクトで望月さんも全面的にサポートするんで」
自信を持って全力で挑むこのプロジェクト。
同じリーダーとして同じチームのメンバーとして、あなたをサポートします。
「あっ、ありがとう・・・」
「でもその分、経験と結果重ねてる望月さんも頼りにしてますんで」
だけど、きっとまだまだオレには頼りないところもたくさんあって。
きっとこの人もそんなオレの不十分さをきっとサポートしてくれるはず。
「えっ、そっち? いやいや、多分早瀬くんに比べたら、私は目の前のことをなんとか片付けてくことで精一杯だから」
彼女はきっとこうやってちゃんと出来ることも常に謙遜する人。
「じゃあ。オレに頼ってください」
なら、オレが守ります。
男として、仲間として、オレを頼ってほしい。
そうすれば、きっとオレはもっと頑張れる。
「え?」
彼女は少し笑って答える。
「後悔させないんで。オレと一緒にいること」
だけど、オレは真剣に答える。
これは仕事でもプライベートでも、あなたと一緒の時間すべてに向けて。
オレと一緒にいること、後悔させないから。
「ふふ。大袈裟」
確かにあなたはそう思うだろうね。
オレの本当の気持ちは知らないから。
「じゃあ同じチームとして期待してる」
だから、またこうやって仕事仲間として線を引く。
プライベートでの対象ではまだ受け入れてないのだと伝えるように。
「これから望月さんの力になるんで安心してください」
これからきっとオレがあなたの力になる。
仕事でもそれ以外の場所でも、あなたをずっと支えていきたい。
「これ。とりあえず商品企画1部で今まで手掛けて来たオレが成功させた商品のリストです。これを参考に今回のプロジェクトの内容も考えていこうかなと思ってます。一度目を通しておいてください」
そう言ってオレの今までの手掛けたリストを彼女に渡す。
「あっ。わかった」
「じゃあ。オレ次の仕事あるんで失礼します」
「あっ、お疲れ様です」
そう彼女に伝えて、仕事が終わると、必要以上の言葉も交わさず部屋を後にする。
今日は・・今はまだこれ以上、このタイミングで、あなたに近づきはしないから安心して。
いきなり進み始めた彼女との関係に、一番戸惑っているのは、きっとオレ本人。
いつもう始まってもいいように準備をずっとし続けていたつもりだったくせに。
いざ始まってしまうと、まだ仕事でも男としても自分の中で一人前じゃないような気がして。
自分が思い描いていた男になれたのか、まだ自分ではわからなくて。
だけど、彼女との時間は少しずつ始まり出した。
ずっと望んでいたその状況が現実でもう始まっている。
だから今はまだ目の前のことから少しずつ。
これから始まるプロジェクトで彼女の迷惑かけないように、力になれるように、オレはまだまだ他の仕事でも経験と自信をつけていかないと。
仕事でもプライベートでも彼女に頼られる男に、いつかなれるように。