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再び目覚めると、麻衣は3か月前の朝に戻っていた。
「また……」
三度目のタイムリープだった。
神様は、またしても時間を戻してくれた。
今度こそ、すべての敵を打ち破らなければならない。
おそらくは、そういう宿命を背負っているのだろうと、麻衣は噛み締めた。
玲香、雅美、そして由美──
麻衣は、より慎重に計画を立てた。
三人の敵すべてを打ち破る必要がある。
まず、玲香の産業スパイ行為の証拠を集めた。
これは前回と同じ方法で可能であった。
次に、雅美の犯罪歴を調査した。
これも私立探偵を雇うことで成し遂げた。
そして、最も重要な由美への対策。
麻衣は由美に気づかれないよう、由美の行動を監視し始めた。
予想通り、由美は定期的に玲香と密会していたのだった。
そして、麻衣についての情報を共有していた。
麻衣はその密会の様子をすべて録画した。
こうして、麻衣は証拠を集めていった。
玲香の産業スパイ行為、雅美の数々の犯罪、そして由美の裏切り行為。
しかし、今回は警察に届けるのではなく、より戦略的に行動することにした。
まず、麻衣は大手新聞社の記者に連絡を取った。
「氷室姉妹と佐々木由美による大規模な詐欺・恐喝事件について、独占スクープを提供したいのですが」
記者は興味を示してくれた。
麻衣は証拠を提供し、記事の掲載を約束してもらった。
次に、麻衣は警察に連絡した。
今回は複数の警察署に通報した。
警察内に彼女たちの協力者がいるかもしれないため、証拠隠滅を防ぐための手段である。
そして最後に、麻衣は三人を一箇所に集める計画を立てた。
麻衣は由美に電話をかける。
「由美、大変なの! 玲香さんのことで新しい証拠を見つけちゃったの! ねえ、今夜、会えない?」
「もちろん」
由美はいつものように親切な声で答えた。
「どこで会う?」
麻衣は廃れた倉庫を指定した。
人気のない場所であり、録音・録画設備を事前に設置できる場所として、目をつけておいたのだった。
麻衣は玲香にも連絡した。
まだ逮捕されていない玲香は、完全に油断していた。
「証拠を処分する方法を相談したいんだけど……」
麻衣は嘘をついた。
「でも……誰にも知られたくないから、秘密の場所で会いましょう」
玲香は快く同意した。
最後に、麻衣は雅美にも罠を仕かけておいた。
匿名で「妹の玲香が裏切り者に騙されて危険」という情報を流しておいた。
雅美は必ずや、玲香を助けに来るだろう。
午後8時、廃倉庫に三人の敵が集まった。
最初に到着したのは由美だった。
「麻衣、どんな証拠を見つけたの?」
「うふふ……すぐに分かるわ」
麻衣は微笑みを湛えながら答えた。
次に玲香が到着。
由美を見て驚いた表情を見せた。
「由美さん? あなた。なぜこんなところに?」
「あら、氷室さん! 偶然ですね」
由美の言葉は、今となっては胡散臭く聞こえた。
最後に雅美が現れた。
「玲香、大丈夫なの?」
三人が揃ったのを見届けて、麻衣は隠して設置していた照明を一斉に点けた。
倉庫内は真昼のように明るくなり、三人の顔が露わになった。
「皆さん、お疲れ様です」
麻衣は拍手した。
「実に素晴らしい演技ですね。助演女優賞でもあげましょうか」
三人は驚いて顔を見合わせた。
「佐倉、何のつもり?」
雅美が警戒した。
「当然、復讐よ」
麻衣は答える。
「あなたたちが私に『したこと』の復讐」
玲香が口を開く。
「何を言ってるの? 私たちが、何をしたっていうの?」
「あらあら、まだシラを切るのかしら」
麻衣は大笑いした。
「じゃあさ、由美、あなたから説明してちょうだいな。大学時代からの私達の『友情』について、ね?」
由美の表情が変わった。
麻衣が何を言っているのかを把握したのだ。
「バレてた、ってわけね……」
由美は冷たく言った。
「でさ、後学のために聞きたいんだけど、いつからなの?」
「あはは! 最初からよ」
麻衣は嘘をついた。
「私ね、ずうっと演技してたの。あなたたちを泳がせて、証拠を集めるためにね」
本当は、麻衣は前回のループで真実を知ったのだが、由美に対する復讐として、このように言ったのだ。
「あっそう。で、そ今夜はどうするつもりなの?」
雅美が尋ねた。
「簡単なことよ」
麻衣が答えた。
「あなたたちの犯罪をすべて世間に公表する。そして、法的に裁いてもらう。たったそれだけのことよ」
玲香が笑う。
「あらあら麻衣さん。証拠がなければ何の意味もないことよ?」
「それがね……あるのよ、証拠」
麻衣はスマートフォンを取り出した。
「あなたたちの会話、すべて録音してたの。そして、今までのあなたたちの犯罪の証拠もすべて保存済みよ」
三人の表情が変わった。
「そんなこと、あんたにできるわけ、ないじゃない?」
由美は強がって言った。