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(痛くしない、の意味!)
羽理が、足を広げたら痛いということを大葉はお見通しだったらしい。
結局背後から横抱きに抱き締められるような格好で大葉に思うさま愛された羽理は、確かに足をギュッと閉じたままの状態で彼を受け入れることが出来て、そういう意味での痛みはほとんど感じなかった。
最初は側位、次はうつぶせに寝そべった状態で大葉が背後から覆い被さるような形の寝バック、次は動物の交尾さながらな後背位……と、足を閉じたままのエッチにも色々あるのだと学ばされた羽理である。
当然のことながら一晩中あんな体位やこんな体位で何度も求められた結果、羽理は見事な寝不足だ。
翌日にはお仕事に行きますと告げたのに、それはダメでしょう! と思ってしまった。
結局あんなことやこんなことをされ尽くされて、余りの気持ちよさに何度も意識が飛びかけて……最終的には本当に気を失ってしまったらしい。
「えっ?」
ホワホワと温かな心地よさに意識を再浮上させた羽理は、大葉に抱き抱えられる格好で、何と湯船の中だった。
「しんどいところ、ないか?」
背後から気遣うように問い掛けられて、しんどいところはないけれど、恥ずかしい気持ちならてんこ盛りです! と心の中でアワアワする。
「羽理?」
何も答えずにいたからだろう。大葉が羽理の頬に手を添えて、自分の方を向くよう仕向けてきた。
「ひゃい! らいじょぶ、れす!」
――はい! 大丈夫です!
そう答えたつもりが噛みまくりになって、それがさらに恥ずかしさに拍車をかける。
羽理は生れて初めての恋人との入浴にドギマギしまくりなのだ。それを理解して欲しい。
「あ、あのっ、……それより……」
お湯の中にいても自分を横抱きにしている大葉からは丸見えな気がして、懸命に両手で胸を覆い隠しながらきゅぅっと縮こまったら「心配しなくていい。ちゃんと身体はシャワーでサッと流して湯船に浸かったから」とか。
(いや、それも大事ですが、いま私が気にしているのはそこではなく、この現状そのものについてなのですがっ!?)
と思ってしまった羽理である。
「え、えっと……違……くて。その……大葉と一緒に……お風呂……とか、恥ずかしすぎる、ん……です、けど……」
「今まで風呂上り、さんざん素っ裸で対面しまくったのに?」
大葉が言うとおり、何度も風呂上がりに一糸まとわぬ姿をお披露目し合っている二人だ。
「今更だろ。第一俺たちはセックスもした仲だ」
――お前の身体は隅々まで見てるぞ? と付け加えてきかねない大葉の物言いに、羽理はお湯の中でバシャバシャと慌てまくった。
「きゃー! 大葉の馬鹿! そういうことをサラリと言わないで下さいっ!」
正直ビッグマグナムがどうのこうの騒いでいるときは大葉を性的な意味で意識していなかったから割と平気だった羽理だけれど、肉体関係を持ってしまった今は、逆にあんなことやこんなことが脳内をめちゃくちゃ具体的に駆け巡って、冷静ではいられないのだ。
「変なやつだな。初っ端なんてすっげぇ大胆で俺の方が恥ずかしかったくらいなのに」
大葉も同じことを思ったのか、チュッと羽理のうなじに口付けを落としてクスクス笑う。
「ひゃぅ! けど……ダメです、ダメです、とにかくダメなんですっ」
湯船に浸かっているからだけではない火照りから全身を真っ赤にして首筋を押さえた羽理に、「おや羽理さん、お胸のガードが手薄になっていますよ?」と、大葉が無防備になった羽理の胸へ触れてきた。
「ぁんっ」
途端、胸から突き抜けるような快感が走って、思わず甘い声を漏らしてしまった羽理だったのだけれど……これ以上大葉がエッチな気持ちになってしまったら正直身が持たないと警戒する。
今まで意識していなかったから気付けなかったけれど、ずっと羽理の腰元にあったらしい大葉の〝ご立派さん〟がビクンッと羽理の声音に反応したのが分かったから余計。
焦りまくった羽理は、「の、逆上せちゃいそうなのでお先に失礼します!」と深く考えもせずにザバリと湯船から立ち上がった。
だけど。
「あらあら羽理さん、可愛いお尻が丸見えですよ! すっげぇ大胆っ!」
ククッと大葉が笑う声を背中で受け止めた羽理は、「大葉の意地悪っ!」と真っ赤になって、油の切れたロボットみたいにぎこちない動きで風呂場をあとにした。
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(笑)