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けれど、ふたりきりの世界は、しずかにすり減っていく。
食料が減る。
外に出れば誰かの視線が刺さる。
通学カバンの中身は、何日も開かれていない。
「ねえ、…もし誰かに見つかったらどうする?」
私が聞くと、すみれは少し笑った。
「そしたら、一緒にいなくなるしかないね」
その“いなくなる”が、
何を意味しているのかは、互いに言わなかった。
でも確かに、
その言葉だけが、永遠を保証してくれるような気がした。