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薄暗い公園で少女が一人ブランコを漕いでいた。
少女は真っ赤な髪を揺らし上機嫌に漕いでいる。真っ赤な髪に真っ赤な瞳、真っ赤なワンピースに真っ赤な靴。暗い公園でその少女は異様に鮮明に見えた。
「かーごめ、かぁごめ!かーごのなーかのとぉりーは!いーつーいーつでぇやーる!よーあけーのばーんに!つーるとかーめがすぅべった!うしろのしょうめん、だぁーれ?」
「…….」
「…ねぇおにーサンは答えてくれないの?」
ブランコを漕いでいた少女の目の前に一人の男の子が立っていた。男の子を見た少女は笑みを浮かべ、ブランコからぴょんっと飛び、フェンス越しの男の子の前にすたりと降り立つ。
「なんや、気づいてたんか」
「いやぁ〜?」
「真夜中やで。はよ家帰りや」
「心配してくれるの?うれしー!!」
少女は両手を上げぴょんぴょんとその場で跳ね、嬉しいという感情を行動で示す。
「うるさっ。….それにお前、その唄の意味分かっとるん?」
「なんのこと?」
「こいつ!しらこいとるやろ!!」
「ふふっ、嘘だよぉ!そんなに怒んないで!……ふふ、あははっ。君のトモダチ、このとーりだね!」
「ッ!!おまえっ!!お前がやったんか!!!!」
「お前じゃないよぉ、琳寧(リンネ)だよ!琳寧ちゃんって呼んで!」
???は勢いよく琳寧の肩を掴み、荒々しく揺らした。???の顔は怒りに満ちており、下唇を血が出るほど噛んでいた。そんな???を見つめながらも琳寧はニコニコとした薄気味悪いとも云える笑顔を浮かべるばかりだった。
「わわっ!掴まないでよぉ。子供に手出しちゃメッ!だよ」
「お前が子供なら世の中の子供全員薄気味悪いわ」
「ふふ、ふふふ、あはっ!」
琳寧は両手で口元を多い、あざとく笑った。だがその行動も???にしてみれば、より薄気味悪さを増す行動にしか過ぎなかった。???は心底ウザいという気持ちが顔全体に滲み出ていた。
「ロボロくん。君のココロ、よーく視えるよ」
「〜っ!!」
ロボロは琳寧の言葉に恐怖し背筋が凍った。一歩、二歩と後ずさる。それに合わせるように琳寧も一歩、二歩とロボロに歩み寄る。ロボロは琳寧に名を明かしていない。なのに何故、この少女は己の名を知っている?とロボロは恐怖しか感じなかった。
「ねぇ、おにーチャン。後ろの正面、誰だろうねっ?….ばいばい!」
「はっ!ちょ、待てや!!……消えた?一体何モンやったんや、あいつ」
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ロボロside
「よっ!来たで、相変わらずぐっすりやな〜。いつになったら起きるんや。みんな待っとるで、ゾム」
「………」
「…後ろの正面か、」
病院のベットでぐーすか寝とるんは親友のゾム。ゾムは数日前、事故に合い昏睡状態や。歩道橋の階段から転落して運悪く頭を強打したらしい。だけど、運動神経のええゾムがそう簡単に転落するとも、受け身取れんとも思えん。誰かに突き落とされたとしか考えられん。
ゾムを突き落とした犯人、後ろの正面は誰や。
「絶対見つけたる….」
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俺は今、ゾムが事故に合った現場に来とる。特段躓きそうな場所もないし、普通は踏み外さん。尚更ゾムのことやしソレはありえへん。だとしたら、やっぱ….誰かに突き落ととされた。いや、ゾムなら咄嗟に手を出せる。なのに出せへんかった?おかしい、なんかおかしいわ。
「….は、待てや。まて、…..」
そういや、医者が言っとった。” 後頭部を強打 “ って。後頭部?やって?階段を下っとって突き落とされたんなら、普通後頭部なんか強打せん。後頭部を強打すんのは、階段を下っとったんやなくて、止まって後ろを振り向いとるときに押された場合や。
…..ゾムは見知らぬ誰かに突き落とされたんやない。” 親しい者 “に悪意を持って押されたんや!!
「…これは事情聴取や」
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NOside
ロボロは鬱の家のインターホンを確かな意志を持って押した。数秒後、鬱が扉を開け中へ入る合図をする。
「急にどうしたん?ロボロ」
「聞きたいことがあるんやけど。」
「なんや?僕に答えられることなら、何でも答えるで?」
鬱はロボロをソファーに案内し、自身もその目の前に座った。その時の鬱は、普段おちゃらけている鬱からしたら、どことなく真剣な目だった。
「■月■■日、どこで何しよった?」
「あー、ゾムが事故った日か。….そん日はなぁ、シッマとチノショピでマイクラしよった。そしたら、電話かかってきてゾムが事故ったーなんて話やったから、たまがった記憶があるわ」
「証拠あるか?」
「おん、あるで。ちょっと待ってな?…..えーっと、お!あったあった。これ見てみぃ。マイクラのログイン時間や。14:27~17:52って。」
「おわっ、そんなやっとったんか」
「おん(笑)夢中になってもうてな」
「…..事故時刻と同じ時間やな。….お前らはちゃうか」
「なんかゾムの事故について分かったん?」
「おん。…認めたくないんやけどな。もうええよ、ありがとな」
「全然ええよ」
「ほなまたな」
「ほな、」
鬱はロボロが玄関から居なくなるまで、その後ろ姿を見つめていた。見送ったあと、鬱は大きなため息を吐く。懐からタバコを出し、ライターで火をつける。フー、と煙を吐いて呟いた。
「僕もゾムの事故については不審に思ったとこがあったんよ。…ロボロ、解決してな。…..頼むで」
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ロボロside
「アイツらはちゃうか」
大先生、コネシマ、ショッピ、チーノは犯人やない。オスマンとひとらんとエミさんはそん時間、確か映画見に行っとってありえへん。ぺ神と兄さんは仕事中。残りはグルッペン、トントン、シャオロンか、….まずはシャオロンから聞き行くか
「….ゾム、犯人は俺が見つけたるからな」
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「はーい、どなたですか?」
「あっ、ロボロですぅ。シャオロン居ます?」
「あらぁごめんなさいね。10分くらい前に出掛けたの」
ちっ、遅かったか。シャオロン今居らんのか。行先分からんし、先グルトンの方行くか…..
「….そう、ですか」
「多分ゾムくんの見舞いじゃないかしら?花を持っていたもの」
「見舞い?花?」
「ええ!確かスノードロップって花だったわね。」
「スノー、ドロップ….スノードロップ!?」
ああまずいわ!!スノードロップはあかん!希望っちゅうポジティブな花言葉もあるけど、絶対シャオロンがスノードロップを選んだ花言葉はそれちゃう!!” あなたの死を望む “ の花言葉を持ったスノードロップを態々選んだんや!ゾムをあんなんにした犯人はシャオロンや!!はよ行かんとゾムが大変なことなる!!!
「すんません!ありがとございましたー!!」
「いいえ〜」
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NOside
同時刻、ゾムが眠るベッドの傍らで人影が揺れた。その人物は、ゾムを昏睡状態にした張本人シャオロンだった。シャオロンは何の感情もない冷たい目でゾムを見下ろしていた。
「お前、死ななかったんか。かわいそーになぁ。死にたい言うとったのに、生き長らえたんか。….迷惑かけたないって言っとったんに、迷惑散々かけとるやん。嘘つき。どうせ苦しむんなら俺が…」
シャオロンは鞄から包丁を取り出し、ゾムの喉に向ける。包丁を持つ手は震えてなどおらず、明確な殺意を持っていた。包丁を振り上げようとした時、病室の扉が大きな音をたて開いた。
「シャオロン!!!」
「…..なんやもう来たんか、ロボロ」
「お前、今何しようとしたん。….何してるんや!!」
「見て分からん?殺そうとしとるんやけど。そんなんも分からへんの?目ぇ腐っとるんやない?」
「は?何平然と殺す言うとるんや。….ゾムを突き落としたんもお前か」
「突き落とした?はっ、助けたの間違いやない?」
「っ!!どこがや!!」
「ははっ、聞いてないん?ゾムって自殺願望あったんやで。そーか、知らんかったんやな。….俺にだけ話したんか(笑)」
「っ!シャオロン…!!」
ゾムの親友がロボロであると知っていながら、何も知らされていなかったロボロをシャオロンは冷たく嘲笑った。
「あーあー、うるさいわ。んな俺の名前連呼せんでも聞こえとるわ。お前無駄に声でかいんやし」
「なんでや…なんでゾムを突き落とした?」
「だってアイツ、死にたい言うとったから。俺はゾムの願いを叶えたんやで。褒めてや?」
「褒めるわけないやろ…!!別の方法があったやろ!!!」
「ない。ゾムの願いを叶える解決策はこれだけや。死にたいやつ殺して何が悪いん?」
「悪いわ!!!!俺らに話せば良かったやん!!解決策がそれだけとは限らん!!!俺らは友達やろ!!シャオロン!こんな方法間違っとるわ!!」
「友達?よう言うわ。ゾムが死にたいと思っとるんも気づきも知りもせんかったくせに」
「っ!!そ、れは…..」
「それはも何もないわ。相談されんかった、それが事実や」
シャオロンはロボロから目線を離し、ゾムを見つめる。包丁が先刻より強く握られたのを見逃さなかったロボロはシャオロンに抗議した。
「待てや、その包丁こっちに渡せ。なんでまた殺そうとしとるんや」
「そんぐらい自分で考えろや。人に聞くばっかりで面倒臭い」
「ゾム殺すとお前は殺人犯なるで….」
「あぁ別ええよ?俺も自殺願望者やし。ゾム殺したら俺も死ぬし」
「は?」
「俺も一緒に歩道橋で落ちようとしたらゾムは俺だけ後ろに押して自分だけ昏睡状態なるし。ほんまなんなん、アイツ」
「助けようとしたんやろ、ゾムのことや生きろって言っとるんや」
「いらん気遣いや。俺は死にたい、ただそれだけや。…..ゾムも死にたがっとるし、はよ殺してあげんとな」
「ちょっ、待てや!!」
「お前邪魔」
シャオロンは手に持っていた包丁をロボロの足に突き刺す。ロボロは激痛に唸り声を出し、その場に崩れ落ちる。床に蹲るロボロをシャオロンはまたしても冷たい目で見下ろしていた。興味をなくしたと言わんばかりにロボロから目を離し、ゾムに繋がれた線という線を引きちぎった。
「っよいしょ」
「っ!!シャオロン!やめろ!!」
「うるさ…」
心電図に映っている鼓動がだんだんと弱まってきたのを見て、シャオロンは自傷地味に笑った。
「なんや、こんなもん?こんな簡単に死ねるんか、人間。あーあ、やっと終わったか。これでゾムももう少しで死ぬやろ。…..じゃあ、俺も」
ロボロの足に刺していた包丁を無理やり引き抜き、自身の首へと運ぶ。偶然にか、その瞬間扉がノックされ看護師が入ってくる。病室の異様な景色を見た看護師は悲鳴をあげた。
「新しい点滴を、…ヒッきゃぁあああああ!!」
「ああ、見つかったか。……ここ10階か、死ねるなぁ」
「は、早まらないで下さい!!」
「もう遅いねん」
グシャッ
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_________?
「真っ赤な林檎だぁ〜!美味しそう!!….んん〜このオハナシ美味しい!今まで食べてきた中で1番!」
通常の赤い林檎より遥かに赤い林檎を琳寧はシャリッと音をたて美味しそうに食べた。林檎を頬張っていた琳寧は、ふと顔をあげた。
「キミも食べる?美味しいよぉ?」
「いらんわ」
「そう?美味しいのにぃ〜」
「あん結末俺は認めへんぞ。クソ野郎」
「クソ野郎って!酷いなぁ。ボクはあの結末大満足だヨ?だって、とぉ〜っても!美味しかったんだもん」
「チッ…絶対殺す」
「ふふ、楽しみにしてるっ!ねぇねぇ、後ろの正面、誰だったんだろうね??」
「…..お前やろ」
「えぇ?ボクぅ?それは酷いよぉ、おにーチャン。わたしはちょこっとイジっただけだもん!あはは。」
「っ!!」
「かぁーごめ、かごめ!籠の中の鳥はぁ、いーつーいつ出やぁる!夜明けの晩にっ、鶴と亀がぁすーべった!
後ろの正面(黒幕)だぁ〜れだ♥
さて、次は何のオハナシにしようかなぁ」