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小学校も中学も高校まで一緒なんて
周りは腐れ縁だと笑うかな。
俺にとっては運命だと勝手に思っているんだけど···。
気づけば長いカタオモイだった。
最初出会ったときはなんで俺にかまうのかわからずに明るくて人気者で仲良くなれない奴だと思っていた。
けど、俺の造った歌を好きだと言ってくれて、俺のことを凄いと目をキラキラさせて言ってくれたあの日からかな、俺はもう若井のことを気に入ってしまっていた。
それが小学生のころで、まさか高校までずっと一緒にいるようになるとは···
あれは中学生2年の頃、俺たちはどこに進学するかの話をしていた時だった。
「どうしよっかな、出来るだけ曲作りたいからそこまで勉強しなくていいところに行きたい···距離も近い方が良いし、部活必須とか言われないところ···んなところあるのか?···ってゆーか若井はどうするの?進路」
「ん?もう決まってるよ」
悩む俺の前でギターの練習をしている若井は悩む様子もなくそう言った。
「え、どこ?」
「元貴と一緒のところ」
「だから俺はまだ悩んでるんだって」
「うん、知ってる」
「意味わかんない」
「元貴がどこに決めたって元貴と一緒のとこに行くから。だから俺の行き先はもう決まってんの」
あまりにも若井が当たり前のようにそう言うから、俺は返事に困った。
「そんな、そんなのいいの?俺、そこまで責任取れないって」
「責任なんか取ってほしいなんて思わない、けど元貴が俺を必要としてくれるなら一緒にいる。俺は元貴と一緒にいるべきだと思ってるし。おっけー?」
いやいや、かっこよすぎない?
まぁそのせいで俺はめちゃくちゃ悩んで高校を決めたわけなんだけど。
とにかく昔から真っ直ぐで優しくて努力家で涙もろい奴だった。
それから受験勉強も、音楽活動も毎日ように一緒に過ごして合格通知が来た時には2人でジュースでカンパイした。
そして今、同じクラスでまた同級生として日々をスタートした。
もうここまでくると若井の執念を感じる、しかももう入学式の日に予言?も受けているからこの先も間違いないかもしれない。
「俺たぶん、元貴と3年間一緒のクラスになると思う。だって体育祭も文化祭も修学旅行も一緒に過ごしたいから」
俺も一緒がいいよ、とは言わなかったけど、心の中でどうかそうありますようにと願った。
若井は俺の家によく泊まりにも来ていて親からもうちの子、みたいに歓迎されていた。
あの日は金曜で次の日が休みだからって遅くまでゲームをしていて限界がきた若井は倒れるようにオレのベッドで眠ってしまった。
若井の為に布団も用意していたのに、俺は自分のベッドでないとよく眠れないから困って隙間に潜り込んで無理矢理に寝ようとしていた。
その時、寝ていた若井に抱きしめられて。
若井の匂いに包まれて。
目の前に若井の顔があって。
思わず、俺は若井の唇にキスしてしまっていた。
触れるか触れないか、それくらいそっと。
けどどうしてもしたくて。
その時にわかったんだ。
若井の事が俺は好きなんだって。