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明るく誰にでも人懐っこい若井は高校でもすぐクラスの人気者になった。
「若井は大森とずっと一緒なの?小学生から?それはすごいなーめっちゃ仲良しじゃん」
そんな若井とよく一緒にいたので自然と俺も周りと打ち解けることが出来て、俺たちの付き合いの長さを知るとクラスメイトは驚いていた。
「今日もうち泊まる?」
休み時間、明日は休みなので、いつも通り若井を誘う。
「もちろん行く、ゲームこの前負けたままだからリベンジする」
「また俺が勝つから、リベンジとかないから」
いつも負けて悔しがる姿が可愛くて手加減はしない、たまに勝ったときの嬉しそうな顔も好きだけど···そんなことを考えながら早く帰りたいなと思っていると。
「ほんとに若井と大森って仲いいよな、しょっちゅう泊まりとかしてるんだろ?付き合ってんの?」
クラスメイトがニヤニヤしながら若井の肩を抱きながら話しかけてきた、あくまでからかっているようなふざけているような言い方だったけれど、思わずドキリとして若井を見る。
「んなわけないでしょ、冗談やめろってー」
笑いながらそう返している。
普通の返事だ、当たり前だ。
笑っている彼らを見ることが苦しくなってトイレに逃げ込んだ。
そんなことでさえ俺の胸は痛いと感じるんだと思い、しばらくそこから動けないでいた。
授業が終わって若井の家に寄り、荷物を用意してから俺の家に向かう。
家に帰ってから勉強を済ませてゲームしたり、ギターを弾いて音楽の話をしているとあっと言う間に時間が過ぎた。
そしてだいたい夜いつも先に寝ちゃうのは若井で。
夜中、家族も寝静まって 深い眠りに落ちているのを確認すると俺はそっと若井に近づいて、少し寝顔を近くで見てからキスをした。
あの日から同じベッドで寝ることはないけれど、泊まりに来たときはたぶん毎回のように唇を奪っている。
本人に内緒でこんなことをするのはよくないと罪悪感がないわけじゃない、けどそれ以上にキスしたあとは泣きそうなくらい胸が苦しくて切なくて、言い表せないくらい幸せな気持ちになる。
そしてまた若井の寝顔を少し眺めてから眠りにつく。
若井と一緒に居るとき、本当に楽しくて幸せで。
だからこれ以上の関係なんてないとわかりながらもそれ以上を求めている俺は本当に欲張りだ。
手を繋いだり、好きと伝え合ったり。
デートして、ハグして、キスをする。
高校生なら恋人と当たり前にしたい欲望が自分にもあってそれは若井に向けられていて。
俺が女だったらよかったのかな。
でもそれじゃあこんなに仲良くはなれてないだろうし。
そんなくだらないことを考えながら俺も眠りについた。