テラーノベル
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メモ帳にメモをとったものを買うためにスーパーへ向かう
カーテン、手鏡…歯ブラシ各種に歯磨き粉……どさどさとカゴに投げ入れ一応取ったものをメモに書いてレジの横に置く
特に誰にも話しかけられることもなくコテージに戻り部屋を綺麗に片付け始める
元よりあった診察台に横になり暇つぶしに自分の施術を始める、軽くデッサンを取っていると
「ピンポンパンポーン」
「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします…やっほー!お楽しみのレクリエーションタイムが始まるよー!どんな楽しい催しかは後の祭り……じゃなくてあとのお楽しみ!若干ぐだったけどとにかく!ジャバウォック公園にお集まりください!」
そろそろ寝ようと思ったのに……と愚痴を言いながらジャバウォック公園に向かう
道中不思議なほど人に合わなかったがみんな集まっているのだろうか……到着するとそんな心配は必要なかったんだとすぐに分かった
数名であるがすでに集まっていた、みんな足が早い
なんとなく一緒にいられずに端に避けていると田中がこっちに寄ってきた
「大丈夫か?顔色が優れないぞ」
「大丈夫……なんでだろ……なんか少し疲れやすくて」
えへへ、と笑いながらみんなの所へ集まる
「だー!!!で、今度はなんだってんだよメンドクセーなぁ」
「だったら来なきゃいいだろうが」
「だってよォ逆らったら何されるかわかんねぇし」
「へっ、わからねーからこそテメーに試してもらいたかったところだけどな」
「アンタ、いちいち嫌味っぽいよ!自分だって怖いから来たくせにさ!」
「あぁ…ッ!?」
「さすがの極道さんでもあの化け物はおっかなかったって訳?」
「…んだとぉ、テメェ!」
「や、やめなよ2人とも仲間割れなんて良くないって」
「あぁ?仲間だァ?勘違いしてんじゃねーぞボケ!オレがいつからテメーらの仲間になった!?」
「…え?」
「フン、この機会にはっきりさせとこーじゃねぇか……オレは殺れるぜ?」
「…はい?」
空気が凍りついた、九頭龍くんの言う言葉の意味を理解してみんな固まったのだ
自分は殺せる、そうハッキリいいやがったのだ
「ア、アンタ…今なんて言ったの……?」
「あ?聞こえなかったか?だったらもう一度言ってやんよ、オレは殺れる……そう言ったんだよ……
オレはなぁ、テメーらなんぞとは違う世界の人間なんだ!殺るか殺られるか…元からそういう世界に生きてる人間なんだよ、
へっ最初のみんな仲良くなんてルールより今の方がよっぽど分かりやすくていいぜ!」
「いい加減にしないと…本気で怒るよ!!」
「テメー、俺をガキ扱いしてんじゃねぇーぞ!」
「もう、やめよう…そんな言い争いは不毛だ」
「うっせーんだよ!こんな仲良しごっこに付き合ってられっか!おい、殺されてーヤツは前へ出ろ…オレがこの場で殺ってやるぜ」
「おもしれーじゃねーか……是非ともやって貰いてーもんだな…!!」
「そんな簡単に挑発に乗ってどうすんだよ!」
「…そこまでだ」
「あ?」
「九頭龍よ…お前の考え方は分かった……俺はその考え方を否定するつもりはない。かつて、俺にもそういう時期があったからな……」
「テメーまでガキ扱いするつもりか!?」
「だが、むやみに殺してどうなる?逃げ延びなければお前も処刑されるんだぞ、それともそれが望みか?だとしたら…この苦境から逃げるだけの遠回りな自殺だな。それこそ本当のガキだ」
「なっ、なんだと!!」
「いいか、この島にいる限りは誰も死なせんぞ!一切の犠牲者はこの俺が許さん!それは九頭龍……お前も同じだ、俺はお前を死なせん!」
「な、なんだそりゃ……綺麗事ばっか言いやがって…」
「確かに、一般人が言ったらただの綺麗事だろうな、だが俺は十神白夜だそのきれい事可能にする選ばれし男だ」
「くぴー!!痺れるくらいカッコイイッす!!」
「ンフフ、同感ですね!」
「へっ…オメーが何て言おうとオレはオレの好きにやらせて貰うからな…」
「勝手にするがいいさ、だが、さっきの俺の言葉だけは覚えておけよ“決して犠牲者は出させない”それは俺が俺自身に課した義務だ」
「チッ……」
なんとか言い争いは終わったようで無い胸を撫で下ろした……その時
「あのう」
ばびょん!!と音を立て登場したモノクマは青スーツに赤ネクタイをバッチリきめた姿だった、そしてヤツは申し訳なさそうに声をかけてくる
「なんか揉めてるみたいだったから…いつ出たらいいのかわかんなくなっちゃって……」
等ととぼけたかわいいことを言いやがる、恐怖の対象のはずなのにこう姿勢が低いと妙に愛着がわくものだ
「南国の島っぽく漫才をしようと思いまして…相方もいたりしちゃって!」
そう言い引っ張り出したのはドレスに包まれたモノミだった
「ほわわっ!なんでちゅかこれ?」
「それじゃあ早速大笑いモノクマ漫才ライブを始めるよー!」
「えっ?聞いてないよ!まさかのぶっつけでちゅかー!?」
「…やれやれ、だぜ」
「どうもモノクマデース!」
そしてはじまった漫才とは言い難いただのトークショーはウサミの頑張りにより余計に哀れさを増し……見るに堪えない……そう思った時
「オマエラも気を付けてくださいね。モノミって本当は悪いやつだからね……例えば少年漫画の初期の敵位にね!」
「噛ませ犬じゃん!」
「でも、モノミが悪いやつなのら本当だよ、だって…ここだけの話だけどね……」
「モノミって…オマエラの記憶を勝手に奪っちゃったんだよ!」
聞き逃せない一言
「なんでやねん!……って…あれ?」
「ほら、オマエラってさこの島にどうやって来たのか誰も覚えてないんでしょ?それはね、モノミがオマエラの記憶を奪ってしまったからなんだ!」
「きゅ、急に何を言い出すんでちゅか!?」
「ちなみに…こいつが奪った記憶ってのはね、この島に来るまでの経緯とか陳腐なモンじゃないよ」
「なんと、オマエラが希望ヶ峰学園で過ごした数年間の記憶を丸ごとなのでーす!」
「…ほわわ!」
「ふぅ、思い切って言ったらスッキリした!やっぱり記憶喪失ネタってのは時代遅れですよね!」
「もうやめてくだちゃいって!」
「うぷぷ、びっくりでしょ?実はオマエラは新入生なんかじゃないんだ!学園生活の記憶を丸ごとなくしたオマエラが勝手にそう思い込んでただけなんだよ!」
「ほんとに色々だめでちゅってー!!」
「キミとはやってられんわー!!」
そう言いながらウサミの頬を殴り飛ばしたモノクマ、それから目を離せないでいる私たちはぽっかりと間抜けに口を開けていた
「…は?」
「どういうこと……?」
「どうだった?笑い取れてた?」
感想を待っているのかワクワクとした様子でこちらにやって来るモノクマ
「おい……今の話はなんだ?」
「今の話……?あぁ、オマエラが学園生活の記憶をまるっと奪われちゃった件か」
「あは、あはは……そんな訳ないじゃないっすか…」
「いやぁ、あれから何年経ったんだろうね、オマエラが希望ヶ峰学園に入学してからさ……家族や友人はどうなったのかね?向こうも心配してるかもね?」
「が、学園生活の記憶を丸ごと奪ったじゃと!?そんな馬鹿げた話があるかい!!」
「そうだ!オレが記憶喪失な訳ねーだろ!」
「だめでちゅ…そんなやつの言うことなんて聞いちゃだめでちゅ…」
「あぶあぶあぶあぶ……もうキャパオーバーっす…」
「僕はそんなの信じてないからね…」
「ウソですよねぇ…?記憶喪失とかそんなのウソですよね…!」
「ううん、嘘じゃないよ、だってもしウソならあればなんだったのさ?希望ヶ峰学園に足を踏み入れた時にお前らが全員経験した妙な眩暈はさ」
「どっ…どうしてお前がそれを知ってるんだ」
「うぷぷ、それはねアソコが記憶の接合点だった訳ですよオマエラはあそこから記憶がすっぽり抜け落ちそして今に至るというわけなのです」
「なっ…なんだよそれ……」
ズキ、ズキ、と頭が痛む、グルグル回る記憶がわたあめみたいに集まってそれでめちゃくちゃになって……
「なにが……あったんだっけ…」
何も分からなかった
「本当はあれから……凄い時間が経ってるってことですかぁ…?」
「バッバカな!有り得んだろう!!」
「逆になんでありえないの?信じたくないだけでしょ?でも安心して…親切なボクがオマエラの記憶を元に戻してあげるからさ!」
「ほえっ!」
「ただしそれには交換条件があるんだよね」
「まさか……交換条件って」
「うぷぷ……察しちゃった?そう!オマエラがコロシアイをすること!それが僕の提示する交換条件でーす!」
「ほわわっ!」
「オマエラは知りたいんでしょ?奪われた学園生活の記憶を知りたいんでしょ?ヘイユー!だったら殺しちゃいなよ!殺して記憶を取り戻しちゃいなヨ!」
「おい……勝手なことばっか言ってんじゃねーぞ」
「あらら?どうして怒っちゃうの?ボクは親切心で動機を与えてやったのに、だってオマエラビビってなかなか殺せないでしょ?ま、それも仕方ないか人間なんて子宮から出た途端に泣き喚くような生まれついての臆病者だもんね」
「臆病じゃないのと人を殺せるのはイコールじゃないでしょう」
呆れたそうにそういうと十神くんも続けて声をあげる
「い、いい加減にしろ…!そんなふざけた妄想話で俺たちが殺人を犯すと思っているのか?」
「そもそもその記憶喪失も信じてないんだからね!」
「けどそれ以上に信じられないのはお互いのことでしょう?」
「どっ、どういう意味よ!」
「オマエラはお互いのことを何も知らない、、だからこそ…裏切り者が紛れ込んでるのにまるで気づけないんでしょ?」
「…は?」
「ねぇ、どうしてオマエラは17人もいるのかね?この島に来る予定の希望ヶ峰学園の生徒は全員で16人だったはずなのに…そっか!きっとオマエラの中にボクも知らない裏切り者が紛れ込んでいるせいだ!…なんちゃって!」
「な、何言ってんだ…裏切り者とか意味わかんねーぞ」
「…デタラメに決まっている」
「だからさぁ、どうして言い切れるのかって、お互いのこと何も知らないクセに、お互いの本性を何も知らないくせに」
その言葉に無意識に田中の方を見ると彼も同じことを考えたのか目が合った、大丈夫…私達はお互いのことをちゃんと知っている、それは大きな安心材料だった
「だから、誰かが殺しを企んでいたとしてもオマエラがそれに気付くのは不可能なんだよ
でもさ……もし本当に裏切り者がいるとしたら、それって酷い話だよね、仲間のフリしてオマエラを陥れようとするなんてそんなヤツは殺されても仕方ないよね」
「殺しを提案している側に言われたってちっとも納得しないんだけど」
そう悪態をつくとモノクマはこちらをじっと見た
「なんだよ納得って、納得できる方法がいまあんのかよ!」
眉間にシワがより不快感を露わにする
「ほらほら先制攻撃あるのみだよ!勝者総取りの早い者勝ちだよ!生き残りたければ自分が殺される前に相手を殺さないとね……アーハッハッハッ!」
そう不快な笑い声を残しモノクマは去っていった、しかし私たちはみな動けずにいた、みんながその場の絶望的な空気にのまれていた
「あの……裏切り者がどうとかって本当なんですかねぇ?あっ!私じゃありませんよぉ!怪しいかもしれないけど…違うんですぅ!」
「誰じゃあ!さっさと名乗り出んかい!後になるほどろくな目にあわんぞぉ!!」
「…やめろ裏切り者などいる訳がないだろう…いるわけがないんだよなぁ。あんな馬鹿げた話など論ずる意味すらない」
「そ、そうだよ…僕はしんじてないよ…」
「…おいモノミよ、お前だったら答えられるはずだぞ、さっきのモノクマの言葉は真実なのか?記憶喪失だの…裏切り者だのは…」
「えっと…その…ミナサンに必要なのは未来だけでちゅ……だから…過去は振り返らずに…未来だけ見据えて精一杯生きていきましょう!」
「あっ逃げやがった!」
「くだらねぇ、記憶喪失に裏切り者なんて丸っきりフィクションじゃねーか、やってられっかよ、ボケがっ!!」
フィクションだって言いたいくらいの設定に頭がどうにかなりそうだった、しかしモノクマの言葉が胸につっかえてその思考すらも邪魔をする
『お互いの本性も知らないくせに』
その言葉は私と田中を結びつけてくれる唯一の言葉でもあったけれど、同時に一番の不安要素でもあった。
私たちの記憶は本当にただしいのだろうか、そんなこと考えても意味がないのに色んな単語が頭を巡る
「キーン、コーン、カーン、コーン、」
「えっと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします…ただいま午後10時になりました、波の音を聞きながらゆっくりと穏やかにおやすみくださいね、ではではいい夢を……グッナイ!」
「……これからどうしようか」
「とりあえず、今日は解散した方が良さそうだ一晩じっくり寝て少し思考を落ち着かせた方がいいだろう」
「それもそうだね」
「念の為に言っておくが決して余計なことは考えるなよ、これはリーダー命令だ、明日の朝例のアナウンスの後でレストランに集合するぞ」
その言葉を皮切りにみなちりじりになってコテージへと戻って行った
「田中」
そう声をかけ振り返る彼に駆け寄る
「もし……よかったら…その……」
中々言い出せずに下を向いているとチャンPがこちらに飛び乗って私に身を寄せる
「……チャンPはお前といたいらしい……今晩は俺様の部屋に泊まれ」
言いたいことは丸わかりだったようで気を使わせてしまって申し訳がない
「うん……ありがとう…」
私はそのまま田中のコテージへと招かれシャワーを浴び、破壊神暗黒四天王たちの餌やりをお手伝いさせてもらいつつ時間を潰す
「もう寝なきゃね」
田中のベッドに潜り込み、少し緊張した様子の彼の横に寝転ぶ
「おやすみ、田中」
「ああ、おやすみ……」
そう言い彼のおでこにキスをして彼の腕の中に包まれる
田中がいてくれてよかった、心底そう思いながら私はゆっくりと目を閉じた
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