【Selly side】
東京・大災害 から一夜過ぎ 韓国某所にて
この日俺はParkhaとZederと飯を食いに繁華街に来ていた。
Parkhaが美味しいと言っていた店だけあって、どれも口に合うものばかりだった。
満足し、店を後にしようと外を出た瞬間突然俺たち三人は光に包まれた。
「なんだこれ!?」叫んだつもりだったが声が出ない、周りを見る限り道行く人は至って普通だ。
もしかして俺達の姿が見えてないのか?と思いながらもがいても仕方ないと判断し大人しくすることに徹した。
俺が大人しくするとさっきまで慌てていた二人も習うように静かになった。
光はまとわりつく様に足元から頭上まで登っていき頭上にたどり着いた瞬間体内に入ってきた。
体内に入った光からは記憶が流れてくる、俺の知らない記憶
これは日本?逃げる人、泣き叫ぶ人、人の様なものに食われる人・・・
一通り誰かの記憶を見せてきた光はそのまま俺の心臓辺りに留まった。
心臓が熱くなり気持ち悪い感覚に陥った。
左胸を抑えているといつの間にか辺りに人は居なく、いつものソウルなのにそこには俺とParkha、Zederの三人しかいなくなっていた。
「さっきの・・・なんだったんだろ」Zederはそう言いながら未だに違和感のある左胸をさすっている。
それより と今の俺達の現状を把握しようとParkhaは冷静に周囲を見渡した。
こういう時に冷静でいてくれるのは本当に有難い。
俺も驚きはするものの、それが顔に出ないように周辺を調べようと後ろを見ると、だるまの顔の付いたフードを被った男と般若のマスクをした男が立っていた。明らかに怪しすぎる。
戦えずとも最悪逃げればいいと思い、俺はZeder達を守るように自分の後ろに匿い、目の前の男を睨んだ。
緊迫した空気の中、般若の男が
「こわっ!待って待って、敵意無いって!」と緊張感の無い声で言ってきた。
「日本語?おまえ、日本人なの?」そう質問すると
般若の男は せやで~ と間伸びした声で言い、こちらに近付いてきた。
「俺達になんか用?」油断させておいて攻撃してくるかもしれない、細心の注意を払いながら問うと
「何もしやんって!さっき光ったやろ?発現者出たから迎えに行けっておじじに言われてんのよね」
だるまフードの男がそう言い、何も持ってませんアピールに両手を上げながら気付けば俺の真正面にまで来ていた。
ほらな? 何もしないだろと言うように自分たちの顔の前で手を振りだした。
本当に敵意が無いと判断した俺は警戒を緩めた。
俺の警戒が緩まったのを察したのか、般若の男は
「俺はありさか。で、こっちは…」「だるまいずごっど!だるま呼びしてもろてええよ~」と元気に自己紹介をしてきた。
こんな状況でよくこんなお気楽にいられるなと半ば関心しながら、俺は自分の名を名乗った。
俺が名乗ると後ろの二人も名乗り、双方の自己紹介が終わった所で、光の記憶と俺達発現者についてありさかから説明された。
「まず光の記憶やねんけど、これ今の日本の現状なんよね。」
その言葉に俺は言葉を失った。何回か日本には行った事はあるものの
こんなホラー映画のような惨状になるのか?と
驚いて何も言えないでいると、ありさかは話を続けた。
昨日東京を中心とした日本はほぼ壊滅になったんよ。
原因は瘴気とそこから生まれるOverHEATっていう化け物のせいで。
俺とだるまはそいつらから市民守る言うたら正義のヒーローみたいなもんやねんけど、これが誰でもなれるんやなくて、さっきの光を身に纏った人しかなれんのよ。
ここで一区切りし、続けてだるまが
光纏った奴が発現者って言われとって、OverHEATに唯一太刀打ち出来やんのよね。
俺等はそういう発現者をスカウトして東京渋谷に本部構えてるCrazy raccoon って団体に所属してんのよ。
でぇ、OverHEATを執行できる者執行者って呼ばれて日本の市民守ってるって話。
俺等も何で日本の事やのに韓国から発現者が生まれたんかわからんのやけど、力貸してくれやんかな?
さっきまでとは打って変わって縋る様な顔でこちらを見てきた。
Zederは元々体が弱いこともあり、俺は返答に困っていると、後ろでZederとParkhaが、『僕達はいいよ。』と声を揃えて言ってきた。
俺は驚きながら「本当にいいのか?軽く考えてないの?戦闘なんだぞ」と二人に言うと、 でも困ってるんでしょ? とどこの主人公だよ。
と思いながらも、二人がいいならと俺も了承した。
詳しい話や今後のことは本部で伝えるといい、
「じゃあ、まぁ一旦Parkhaやっけ?能力止めよか~」とありさかが
Parkhaの肩をポンッと叩いた瞬間さっきまで俺達五人しかいなかった世界がいつものソウルに戻っていた。
驚いてありさかの方を見ると、「知らん内に能力使っとったんやね、能力の使い方もまた教えるわ~」とへらっと笑いながらコンパスの様な道具をポケットからだし、「行先、本部」そう唱えた瞬間俺達の足元が光り、気付いたらどこかのエントランスにいた。
受付のようなカウンターの上には凶悪な顔をしたアライグマのイラストと、そのアライグマにの文字
一瞬の出来事で呆けている俺達を見ながらニヤリと笑っただるまが一言
「ようこそ、俺等の本部 Crazy raccoonへ」
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