コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「レジーナ・フォルスト!」
王立魔法学園。
卒業式典の最中、壇上から鋭い声が飛ぶ。
「よく聞け!」
声を張り上げるのは金の髪に新緑の瞳を持つ男。本来ならレジーナの隣に立つべき彼女の婚約者だ。
今、彼の隣には清楚な黒髪の少女が寄り添う。
二人の周りには、学園の序列上位にある男たちの姿。まるで、少女を護る盾のように、静かにその場に佇んでいた。
レジーナは、低い場所から彼らを見上げる。たった一人で。
男の朗々たる声が響き渡る。
「プライセル、フォルスト、両家の名において宣言する! 私、リオネル・プライセルとレジーナ・フォルストとの婚約を、ここに破棄する!」
宣言に、どよめきが起こった。
驚き、喜び、祝福。
さもありなんと言った空気の中、男――リオネルが隣に立つ少女を引き寄せた。
「レジーナ、君のエリカに対する所業はあまりに非道。これ以上、君の行いを看過するわけにはいかない」
正義を振り翳し、レジーナの罪を断じる男。その顔は苦渋に満ちている。
「本当に、残念だよ……」
レジーナはリオネルを見つめた。
酷い男――
全ての非をレジーナに押し付け、己は何も間違っていないと嘯く。
彼の真実を、レジーナだけが知っていた。
レジーナの真っ赤な唇が動く。
――嘘つき……。
音の無い言葉は誰にも届かない。