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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
1,760
文化祭。
最終日。
夕方。
校内の喧騒が。
少しずつ静かになっていく。
そして。
後夜祭の時間が近づいていた。
「玲くん」
「ん?」
「一緒に行こう?」
星羅が笑う。
「ああ」
玲も。
自然に頷く。
「……」
しかし。
玲のポケットには。
一枚の紙。
『後夜祭が始まる前に』
『旧校舎裏へ』
『一人で来い』
玲は。
その紙を握りしめる。
「……」
星羅が。
玲の顔を見る。
「どうしたの?」
「……何でもない」
「……」
星羅は。
笑う。
「そっか」
それ以上。
何も聞かなかった。
――数十分後。
「じゃあ」
玲が立ち上がる。
「ちょっと行ってくる」
「どこへ?」
「……」
一瞬。
玲が黙る。
「少し用事」
「……分かった」
星羅は笑った。
「いってらっしゃい」
「ああ」
玲が教室を出る。
扉が閉まる。
「……」
星羅は。
しばらく黙っていた。
そして。
スマホを取り出す。
『玲くんがどこへ行ったか』
『知りたい』
数秒。
返信。
『旧校舎裏』
「……」
星羅は。
ゆっくり立ち上がる。
「……やっぱり」
小さく笑う。
「私に隠し事してたんだ」
――旧校舎裏。
玲は。
一人で歩いていた。
「……誰だ?」
暗い校舎。
人の気配はない。
「……」
すると。
「来たか」
声。
振り返る。
「……あなた」
昨日の男。
「約束通り」
男は。
古い箱を持っていた。
「これを見せる」
「何だ?」
「2017年12月24日の記録」
「……」
箱の中。
古い写真。
新聞。
そして。
一つのビデオテープ。
「……ビデオ?」
「ああ」
「これに何が?」
「停電の日の映像だ」
玲の目が。
見開かれる。
「……!」
「全部ではない」
「でも」
男は言う。
「二人が何を見たのか」
「分かるかもしれない」
玲は。
テープを受け取る。
「なぜ俺に?」
「君が」
男は。
少し笑う。
「知るべきだからだ」
「……」
「ただし」
「?」
「見るなら」
男の顔が険しくなる。
「最後まで見ろ」
「……分かった」
その瞬間。
「――玲くん」
「……!」
後ろ。
「星羅……?」
星羅が立っていた。
「どうしてここに?」
「……」
星羅は。
玲を見る。
「迎えに来た」
「……」
「一人で行くって言ったのに」
「……」
「ごめん」
玲は。
少し困ったように笑う。
「でも」
星羅は。
玲の手を握る。
「私も一緒に見る」
「……」
男は。
二人を見つめる。
「……そうか」
「何?」
星羅が聞く。
「いや」
男は。
小さく笑った。
「やっぱり二人は離れないんだな」
「当然です」
星羅は即答した。
「玲くんは」
玲の腕に抱きつく。
「私の恋人だから」
「……」
男は。
何も言わなかった。
――旧校舎。
空き教室。
古いテレビ。
ビデオデッキ。
「……」
テープを入れる。
再生。
映像が映る。
2017年12月24日。
イベント会場。
幼い子供たち。
その中に。
「……俺」
「私も」
二人。
少し離れた場所にいる。
映像の中の玲が。
何かを探している。
そして。
「……」
星羅を見つける。
駆け寄る。
手を握る。
「……」
現在の星羅は。
胸に手を当てる。
「覚えてる……」
映像。
停電。
画面が真っ暗になる。
数秒後。
非常灯。
そこに。
一人の男。
黒い服。
何かを持っている。
「……誰?」
玲が呟く。
映像の中。
男が。
何かを床に置く。
「……」
その直後。
幼い星羅が。
それを見てしまう。
「……!」
星羅が。
現在の画面を見ながら。
息を呑む。
「これ……」
玲も。
画面を見つめる。
「……何だ?」
映像の中。
男が。
何かの機械を操作している。
そして。
突然。
玲が星羅の前に立つ。
守るように。
その瞬間。
画面に。
一人の女性が走ってくる。
「……!」
玲の母。
星羅の母。
そして。
もう一人。
「……あの人」
星羅が呟く。
画面の女性。
顔は見えない。
でも。
男の前に立つ。
そして。
玲と星羅を抱き寄せる。
「……この人が」
玲の声が震える。
「俺たちを助けた」
「ああ」
男が頷く。
「でも」
映像の最後。
女性が。
二人の耳を塞ぐ。
そして。
何かを話している。
音声は。
ほとんど聞こえない。
ただ。
一言だけ。
『忘れて』
「……」
映像が終了する。
静寂。
「……」
星羅は。
玲の手を握る。
「玲くん」
「……」
「大丈夫?」
「ああ」
でも。
玲の顔は。
明らかに動揺していた。
「俺たちは」
「……」
「あの男を見た」
「うん」
「そして」
玲は。
拳を握る。
「母さんたちは」
「……」
「俺たちを守るために」
「記憶を消した」
男は。
静かに頷く。
「その通り」
「じゃあ」
玲が。
男を見る。
「あの男は誰だ?」
「……」
「なぜ俺たちを狙った?」
男は。
しばらく黙っていた。
そして。
「それは」
答える。
「君たち二人が」
「……」
「特別だったからだ」
「……?」
「ただの偶然じゃない」
星羅が。
眉を寄せる。
「どういうこと?」
「二人は」
男は。
古い写真を取り出す。
「2017年より前から」
「……」
「何度も会っていた」
「……」
「そして」
写真を一枚ずつ並べる。
2017年。
2018年。
2019年。
「ずっと」
玲と星羅。
二人の姿。
「誰かが」
男は言う。
「二人を同じ場所に導いていた」
「……!」
「偶然じゃない」
星羅の目が。
大きくなる。
「じゃあ」
「……」
「私たちが出会ったのは」
「運命じゃなくて」
男は。
静かに答える。
「――誰かが作った運命だ」
その瞬間。
星羅の表情が。
変わった。
「……」
そして。
玲の手を。
強く握る。
「誰が?」
男は。
答えない。
「教えて」
「……」
「誰が私たちを」
星羅の声が。
低くなる。
「ずっと繋げてたの?」
男は。
星羅を見る。
「……君は知らない方がいい」
「嫌」
「……」
「玲くんのことなら」
星羅は。
玲の腕に抱きつく。
「全部知りたい」
「……」
「誰が何をしたとしても」
微笑む。
「私たちは今、一緒にいる」
そして。
「これからも」
玲を見る。
「ずっと一緒」
「……ああ」
玲も頷く。
男は。
その二人を見て。
小さく息を吐いた。
「……やっぱり」
「?」
「君たちは」
悲しそうに。
笑う。
「何度引き離しても」
「……」
「また出会うんだな」
――その瞬間。
外から。
大きな音。
「……!」
窓の外。
文化祭の照明が。
一斉に消える。
校舎が。
真っ暗になる。
「停電……?」
玲が呟く。
星羅は。
玲の手を強く握る。
「……玲くん」
「大丈夫」
「……」
「ここにいる」
その瞬間。
暗闇の向こうから。
声。
『――やっと思い出したか』
「……!」
玲と星羅が。
同時に振り向く。
誰かが。
そこに立っていた。
コメント
1件
おお、ついに来たか…このエピソード!文化祭の華やかさと裏で進行するミステリーの対比がめっちゃ効いてるわ。星羅が「迎えに来た」って言って玲の後を追うとこ、あの即答の「私の恋人だから」にはグッときた。で、ラストの停電と「やっと思い出したか」って声…あのタイミング、完璧すぎる。続きが気になって今夜眠れそうにない🔥