テラーノベル
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最近、よく見かける先輩がいる。
高身長で眼鏡をかけていて、紺色のカーディガンがよく似合う他学科の先輩だ。
まだ話したことはない。
名前も知らないし、好きなものも知らない。
それなのに、なぜか目で追ってしまう。
廊下ですれ違うたびに見てしまうのは、落ち着いた雰囲気のせいだろうか。
それとも、ふとした瞬間に見せる笑顔や笑い方のせいだろうか。
理由は自分でもよく分からない。
私はあや。
専門学校に通う2年生で、身長は150センチと少し小柄だ。
最近の悩みは、すれ違うたびにその先輩を探してしまうこと。
今日もまた、無意識のうちに先輩の姿を探していた。
先輩の姿を探しながら廊下を歩いていた、その時だった。
前から来た人に気付くのが遅れ、私は思いきりぶつかってしまった。
「あっ……!」
慌てた拍子に手に持っていた筆箱を落としてしまう。
しかも私の筆箱はかなり年季が入っていて、少しの衝撃ですぐに開いてしまう。
案の定、中に入っていたペンや消しゴムが廊下に散らばった。
恥ずかしくなって、私は慌ててしゃがみ込む。
すると、ぶつかった相手も同じようにしゃがみ込み、散らばった文房具を拾い始めてくれた。
「すみません!」
そう言いながら顔を上げる。
そして私は思わず息を止めた。
そこにいたのは――私がさっきまで探していた先輩だった。
眼鏡の奥の優しい目。
見慣れた紺色のカーディガン。
間違いない。
あの先輩だ。
先輩は私の顔を見ると、少し驚いたように目を細めた。
そして、ふっと笑う。
「「あれ、よくすれ違う子だ」」
その一言に、心臓が大きく跳ねた。
認知されていた。
ただそれだけなのに、信じられないくらい嬉しかった。
名前も知らないと思っていた。
きっと私のことなんて気付いていないと思っていた。
だからこそ、その言葉が特別に聞こえた。
それが、颯斗先輩との最初の会話だった。
それから私たちは、すれ違うたびに挨拶をするようになった。
「おはよう。」
「お疲れさま。」
そんな何気ない言葉を交わしながら、時には少し立ち話をすることも増えていった。
先輩の名前は颯斗先輩。
知れば知るほど優しくて、話しやすくて、気付けば私は先輩と過ごす時間を楽しみにするようになっていた。
そして、その時間は日に日に長くなっていった。
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コメント
1件
読み終えたよー!第1話「出会い」。もうね、冒頭から「あるある!」って感じでめっちゃ惹き込まれたわ。無意識に先輩を探しちゃう気持ち、すごくわかるし、ぶつかった相手がまさにその先輩だったときの心臓の跳ね方、想像しただけでドキドキする!「よくすれ違う子だ」って認知されてたのがまたいいんだよなあ…あの瞬間の嬉しさ、刺さるわ。颯斗先輩、紺色のカーディガン似合いすぎでしょ。続きが気になりすぎる!