短いです。
赤:「…ッん”、ん……ぁ”ーっ、」
目を覚ますと遮光カーテンがちゃんと閉まっていなかったようで細い光の筋が暗い部屋を照らしていた。窓の方からその筋を追うとフローリング、ベットシーツを通り隣で眠る彼の目元に伸びている。眉を顰めて眩しそうだ。
手早く服を着てスマホを開けば時刻はまだ8時を回った頃。日曜日の朝であるしまだ寝かせてやろうと思いカーテンをしっかり閉めて寝室を出た。
先に言わせていただくと別に恋人関係にある訳ではない。ただお互い相手のことを恋愛的に見ている事は知っているし週に数回は身体を重ねる、傍から見れば少し歪な関係と取られることかと思うが今のりうら達にはこれが心地いい。
ベランダの戸を開くとまだ冬の気配を感じさせる空気が肌を刺す。暦の上ではもう春を回ったがまだまだ外は寒い。
紙箱から煙草を1本取り出し咥えてライターで火をつける。今時紙煙草を吸う人なんてそうそういないだろうがホストでは姫が火をつけられるから、という理由で電子煙草より圧倒的に人気が高い。そうやって吸っているうちに手放せないものになってしまった。
金が入る仕組みならばキャストの健康や経済面は気にしない、そのやり方に不満がある訳ではない。
寿命が縮んだところで悲しんでくれる人なんて、いないわけだし。
赤:「ふー…っ、」
澄み渡った景色が自分から吐き出された煙で白く濁る。ぼんやり外を眺めていると後ろの戸が開く音がした。
水:「おはよ”、珍しく早いじゃん」
赤:「おはよ、…なんか目覚めちゃったからさ」
庭用サンダルをパカパカと鳴らしながらやってきては肩に頭を預けられる。先程吐き出した煙が彼の横顔にまとわりついた。
赤:「家ん中入ってなよ、身体壊すよ?」
水:「ん”ーん、いいの」
水:「…どうせ他で腐る”ほど浴びてるし、」
ぼそり、呟かれる。ブラック企業で働きいじめとパワハラを受けているらしい彼は毎日帰りも遅くベロベロに酔って帰ってくることも稀ではない。ホストのりうらより遅く帰ってくることもあるくらいできっと散々な目にあってきているのだろう。
それがわかっていて手を伸ばせない状況が歯痒かった。
赤:「ほとけっちが身体壊したらりうらが嫌だから。中入ろ、冷えちゃう」
水:「…ぅん、」
口から細く煙を吐き出し灰皿を持ってき忘れた事に気がつく。もう一度咥え直し左腕の袖をまくり上げ煙草を腕の内側に押し付けた。
水:「ぇっ、ちょ、ちょ”っ!?りうちゃ、何やってんの…!?」
赤:「え…灰皿忘れた、から」
水:「だっ、だからって…!?言ってよー持ってくるのに…」
跡になったらどうするのー、なんて言いながらばたばたと家の中に引っ張ってくる。手から伝わる体温が妙に暖かく感じた。
NEXT R18
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