学校に着くと、チャイムが鳴り始めていて走って教室に滑り込む。
?「あ〜っ!〇〇!遅刻だよ〜!」
鈴を転がすような可愛らしい声。
この子は榊原亜里沙(さかきばらありさ)私の友達。
顔は可愛いのだが、よく私を揶揄ってくるのが良くない癖だ。
『まだセーフですぅ〜』
なんてふざけながら返事をしていると、
先「はーい、お前ら座れよ〜」
先生がやってきて、蜘蛛の子を散らすように全員席についた。
先生は皆んなが静かになったのを確認して、話し出した。
先「はい、今日は全校朝会があります。」
先「皆さんはもう中学3年生なので、恥ずかしくないように挑みましょう。」
出た。テンプレ。
こんな言葉は小学生の頃から聞いてきている。
小2だから〜だとか、最高学年だから〜だとか…
はっきり言ってもう聞き飽きた。
大きく欠伸をしながら私は体育館へ足を進めた。
体育館について、校長先生が話し始める。
校「はい。え〜今年も寒くなってきましたけどね。え〜…」
校長先生の喋り方はおっとりしていて、すごく眠くなってくる。
睡魔と戦いながらぼんやりしていると、急に周りが騒がしくなった。
私は全く話を聞いていなかったので、亜里沙に聞くことにした。
『ね、亜里沙。なんで皆騒いでるの?』
亜「え〜〇〇、聞いてなかったの〜?どうしよっかな〜…う〜ん、秘密〜」
『え〜、!教えてよ〜今日のお昼奢るから〜!』
亜「え、ほんと!?あのね、中2のクラスに転校生が来るんだって、!」
『えっ!?まじ!?(大声)』
驚いて思ったよりも声が大きくなってしまった。
周りは私と亜里沙をチラチラ見てくる。
私と亜里沙はうるさかったねーと笑い合った。
亜里沙と話していると、転入生の紹介が始まった。
体育館の舞台に人が上がってくる。
私はその人達の顔を見て、何も言えなくなった。
だって、だって、その人達は…さっきの性格の悪い双子だったから!!!
私は目が点になった。
少女漫画とかでよくある展開だけど、なにも嬉しくなんてない。揶揄われて馬鹿にされて…
でも顔だけは良いから、周りの女子(特に亜里沙)はきゃーきゃー黄色い声をあげていた。
旭「夏樹旭で〜すっ」
陽「夏樹陽ですっ」
2「「皆んな、宜しくねぇ〜」」
2人が自己紹介をすると、皆んながまたきゃーきゃー騒ぎ出した。
すると、教頭先生が静かにと言いクラスを発表した。
私は今まさに「空いた口が塞がらない」状態。
ぽかーんと阿保面を晒していると、旭がこちらに気づいて、ひらひらと手を振ってきた。
完全に思考が停止していた私は、無意識に手を振り返していた。
私が手を振り返すと、より一層笑みを強めて手をぶんぶん振ってきた。
2人で手を振り合っていると、亜里沙が話しかけてきた。
亜「ねぇ!あの2人こっち見て手、振ってない!?」
亜「ヤバーい!!私手、振り返しちゃおうかな〜!」
亜「〇〇、?」
『ん?あぁ、ほんとだね。振り返してみたら?』
亜「だよねだよね〜!!」
亜里沙はもうすっかり2人にめろめろなようだ。
はぁ…なんでこんなことに…
でも、学年が違うから会うことなんてないよね!!
なんて思っていたが、その考えが甘かった事に気付かされるのだった…