{三ノ宮街の魔力持ち}本編目次
1.空鈴
2.廃李
3.胡拝
4.蘭淡
5.呉乱
6.悠然
1.空鈴
「…今日はいい朝だなぁ」
そうつぶやいたのは彼ではなく彼についているマスクだ。
寝起きすぐにマスクを付け、恋人の廃李のもとへ行く。
「おはよう。空鈴。ご飯食べる?」
そう聞かれ、僕は頷く。廃李が作ったご飯は格別美味しい。今日は昼から
弓使い(アーチャー)の仕事だ。
「行きたくないなぁ、面倒くさい。」
そう僕がつぶやくと廃李が頭をなでてくれる。
「頑張っていってみたら?」
そう言ってくれた廃李の顔は笑っていた。その笑顔にいくら救われたか、そう思うだけで
活力が湧いてくる。彼はいい子だ。年下の僕が言うのも何だけど、すごく優しくて、
格好良い。そんな廃李が僕は好きだ。でも、この前相手をしてくれって言われた時は
びっくりしたなぁ。廃李からは珍しいから、、どうしたんだろ?まあいっか。
「いってきます。」
「言ってらっしゃい、頑張ってね。」
廃李はいつも送り出してくれる。僕は廃李とは別の家に住んでいるけど、廃李が
僕の家に来て朝ご飯を作ってくれる。僕は山奥の倉庫にある右の扉を開き、アーチ(弓)を
取り出す。矢入れを肩にかけ、着替えたら、合流場所の噴水前に集合だ。少し遅れて
しまった。
「ごめんね、遅れちゃった、、、」
「いいよ、大丈夫。」
みんなはそう言って許してくれる。優しい人たちでいっぱいだなあ。でも、
弓使いは表面の仕事。夜には、、
「あははっもうそんなんなの?弱っちいんだね、人って」
裏の仕事、虐殺者(ジェノサイダー)だ。依頼を受けたモノを虐殺する仕事だ。
それが何であれ、虐殺しなければいけない。この前は四肢切断をしてからにしようと
思ったが案外弱くて腕をちぎっただけで死んでしまった。
「今回は、たぁっぷり楽しむために、ちょっとずつ苦しめていくね?(笑)」
まずは腕に傷をつけ、少し電気をいれる。この瞬間に苦しんだ顔を見るのは慣れて
しまった。まあ、僕は報酬として胃と脳をもらうだけでいいのだが、、、
「ゔ、、ゔぁぁ、、、」
「黙れよ、クソ豚。」
うるさいので声帯を刺す。だが、一突きでは刺さずに5回くらいかけて完全に刺す。
これが楽しいのだ。血が大量に吹き出てくる。白いシャツに赤い血がべっとりとつく。
「チッ、シャツに付いたじゃん、どーしてくれんの?クソ豚野郎.あ、そうだった。
話せないんだったね、このクソ豚野郎。」
口が悪いって思うでしょ?これ、客の要望。面倒くさいよねー、普段こういう事、
言わないのに。なんで今回だけこんなに要望詰め込んでんの?まあいいや。
「ねえ、豚。痛いよね、苦しいよね、お前が殺らなきゃ良かったことじゃん。」
心臓を一突きで刺す。もう飽きてしまった。はあ、胃は潰れたか。脳だけでも
貰えればいいや。これを本部に持っていく、、、面倒くさいから脳だけ取って帰るか。
醜い音が響く。ようやく脳を取り出せた。よし、コレクションが増えた。今日の収穫は
十分だ。もう帰ろう。廃李が待ってる。
「任務完了っと。」
山奥の倉庫の左の扉を開き、コレクションを追加する。その後、血に濡れた服を洗い、
右の部屋で着替え、家に帰る。
「!おかえり〜。仕事どうだった?」
そう聞かれるが、僕は毎回答えられていない。なぜかというとこの話題になるとマスクが
話せなくなってしまうのだ。
「、、、ただいま。」
「ご飯あるから食べといてね。私は行くから。」
そう。これから廃李は仕事だ。今日の報酬は、脳、それから50トルペ。結構儲かったな。
やっぱり要望を詰め込まれて高く請求したのか?まあ、それは置いといて。
先に食べて寝るか。明日は休みだし、風呂は朝入ればいいや。
「いただきます。」
ものの5分程度で完食してしまった、、、
「ごちそうさまでした。」
よし。寝よう。今日は疲れた、、、
「おやすみ、また明日、。」
もう朝になってしまった。ふと隣を見ると、まだ眠っている廃李がいた。
マスクを付け、身支度をしていると廃李がいつの間にか起きていた。
「ぉはよぉ、、」
「うん、おはよう。」
ゆっくり朝食を食べていたら突然廃李が、
「ゆっくりしてちゃだめじゃん、準備して!」
喉につまらせそうになりながら朝食を食べ終え、急いで出かける準備をする。
そういえば今日は市場が開催される日だったかな?
久しぶりのデートに心を踊らせ、外で待っていると、
「おまたせ、ごめん、先行っててもらってよかったのに、、、」
と、お洒落をした廃李が走ってきた、と思ったら消えた。
、、、人にぶつかって転んだみたい、、なんか仲良さそうにしてる?
ぶつかってしまった人は「胡拝」という名前の友達らしい、彼も魔力持ちなんだとか。
「ごめんね、行こっか、。」
市場はかなり大きくて、今日中じゃ全部は回りきれないくらい、お店が沢山並んでいた。
廃李は「ちょこぼんぼん」?というものを買うらしい。僕は何を買おうか、
「空鈴もチョコボンボン食べる?美味しいよ、」
「じゃあ、食べる。」
一個食べると、中にクリームみたいな物が入っていた。甘くて美味しい。
「美味しいね、」
「でしょ!美味しいよね、去年もあったけど、もう売り切れてたんだよね、」
今日はいつもよりよく話してるな、と思いながら回っていると目当てのものを見つけた。
「廃李、ちょっとまってて」
「うん。なんか見つけた?」
廃李を待たせているので急いで買う。その店での買い物を済ませて、出た所にもう一個
目当ての店が見え、そこに少しだけ寄るつもりが買ってしまい、結局15分ほど待たせて
しまった。走って戻っていくと、少し拗ねたような顔をしている廃李が見えた。
「ごめんね、待たせちゃった。たくさんほしいのが見つかって、ごめん、」
僕が謝ると少し拗ねたような顔で、
「別にいい。」
と、一言。さっきまでは楽しそうにしてたのに、、、心のなかで反省していると、
「反省してるなら許す。」
と廃李は言ってくれた。優しい、こういうとこも好きなんだよね、
一度家に帰り、昼食を食べ、もう一度市場に行く。
入口のところにあるりんご飴を二人で食べながら過ごす、久しぶりのデート、
楽しかったな。 目当てのものを全て、とは言わないが買い、家に帰り、開封をして、
飾ったりして、一日を終えた。
コメント
1件
あー筆が進まない〜 なんかいい案ありません? (エロいのも大歓迎!)