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#現代ダンジョン
夜鐘
1,159
裏五条
21,508
43
バニング・ミンガイルとアリナ・クロイツェル。
その他2名のアトミルカ幹部、総勢4人がミンスティラリアで新たな人生を始めようとしている時。
逆神家はヴァルガラの復興作業に全力を尽くしており、その作業はだいたい5時間程度で終わると思われていた。
なお、そう思ったのは逆神大吾である。
彼には実力はないが、紛いなりにも逆神家。
恐らく目算くらいは当たっているだろう。当たっていて欲しい。
なお、現在彼はパチンコ屋で6万円ほど投入したところである。
勝っていた3万円はどこへ行ったのか。
ちょっと綺麗になった逆神大吾はどこへ行ったのか。
それは誰にも分からない。
多分閉店までパチンコが当たらない事だけは分かる。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、日本探索員協会本部では。
「楠木殿! 欧米の各国探索員協会の上級監察官に片っ端からコンタクトを取ってみてください! 日引! 福田!! 北極海に転送された痴れ者……いや、ハーパー理事の動向を注視しろ!! 何か動きがあればすぐに報告だ!!」
サーベイランスで全てを見ていた監察官たちが慌ただしく動き始めていた。
目的はただ一つ。
得難き善行を遂げた逆神家の保護である。
「五楼上級監察官! 欧州でしたら、私が直接向かいます!! 泣いた方が良いですか!?」
「泣かんで良い! と言うか、雷門! 貴様、アトミルカの顛末を見てさっきまで号泣していただろうが!! これ以上騒音を起こすな!! よし、加賀美を呼べ! 雷門に随行させる!! こいつに単独で交渉させるのはリスキー過ぎる!!」
雷門善吉監察官。作戦が終わった途端に仕事を任されるが、信頼は失った模様。
雷門は加賀美に肩を抱かれて【稀有転移黒石】で飛び立っていった。
続いて、仕事のできる楠木秀秋監察官が報告をする。
「上級監察官。残念ですが、北米、南米ともに上級監察官が国協と事を構えたくないとの返事が……。どうしますか? 監察官クラスに交渉相手を広げれば賛同者も現れるかと思いますが」
ほんの数秒考えた五楼だが、首を横に振る。
「時間の無駄ですな。監察官レベルでは、国協の理事を相手に根回しなど期待できない。それこそ、うちの久坂殿ほどのキャリアがあれば別ですが」
「同感です。久坂さんはどこの国に行っても英雄扱いですからね。あの人ほどの求心力を持つ監察官は他国にいません。では、私はもう一度断って来た上級監察官たちとコンタクトを取りましょう。無駄だと分かっていても、可能性はゼロではありませんので」
「ふっ。楠木殿もずいぶんとロマンチストになられたものだ」
「逆神家の皆さんを見ていましたので。不可能を可能にする程度の事は心意気でどうとでもなると学ばせていただきましたからね」
国際探索員協会の理事は全員で9人。
うち1人は北極海で遭難中。
久坂剣友監察官と雨宮順平上級監察官のコネが生きると仮定しても、味方はまだ2人。
理事はそれぞれ対等な権力を保持しているため、それだけでもある程度の抑止力にはなるだろう。
だが、時間稼ぎ程度にしかならない事も明白。
ならば、北極海を遭難中の痴れ者が救出されるまでに状況を少しでも改善しておくべきだろう。
ハーパー理事はデータを保持している。
その気になれば、いくらでも都合の良いように説明できるからである。
「私はオリビア・ウィリアムス理事とこれから通信に入る! あの方は唯一の女性理事! 同性である事を利用するなど賢しいが、なりふり構ってはおられん!! 和泉!! 生きているか!?」
そこには、集中治療により回復した和泉正春Sランク探索員の姿が。
阿久津浄汰の献身的な応急処置がかなり効果を発揮していたらしく、通常の「極めて病弱」な状態までコンディションを戻し、オペレーター室へとやって来ていた。
「もちろんでごふっ。ああ、失礼。小生にできる事があれば、何なりと」
「よし! では、一時的にオペレーター室の指揮権を貴様に移譲する!! 貴様の判断で指示を出せ!! 監察官は全員手が離せん!!」
和泉は「かしこまりましげふっ」と返事をしたのち、「1人ほど補佐を呼んでもよろしいでしょうか?」と五楼に尋ねた。
それが誰を指しているのか、上級監察官もすぐに気付く。
「ふっ。よかろう。犯罪者とは言え、今更あの男が謀反を起こすとも思えん。私の権限で許可する! 精々こき使え!!」
「と、言う事でげふっ。小生、5分に一度は吐血しますので。どうかあなたの適切な判断力をお貸しくださいごふっ」
ずっと中庭でたたずんでいたところを五楼に「手が足りん! 黙ってオペレーター室に来い!!」と召喚された、彼も急場しのぎにやって来る。
「くははっ。まさかよぉ。この俺が協会本部の中枢に入れられるとはなぁ? 緊急事態って事だけは分かるぜぇ?」
あっくん、再登板。
「阿久津さん。全モニターの視認と、場合によっては小生に代わって指示ごふっ」
「あぁ……。ったくよぉ。あんた、5分に一度吐血すんだろうがよぉ? なんで5分の間に4度目の血ぃ吐いてんだぁ? ……っち。分かったよ。あんたと組むと調子が狂うぜぇ」
そこにやって来たのは、こちらも煌気が回復した者たち。
彼らはこれからヴァルガラへと向かう。
今後の協議はもちろんだが、仲間のピンチに手をこまねいている事ほど焦れる状況もない。
五楼の気配りであった。
「五楼さん! ああ、いえ! 五楼上級監察官!! これより南雲隊、ヴァルガラへと転移します!!」
「よし! 行ってこい!! そして、絶対に逆神と小坂を辞めさせるな!! 何をどう使っても構わん!!」
南雲は「はっ!」と敬礼して、チーム莉子の乙女たちと共に【稀有転移黒石】で飛び立って行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
南雲隊が転移した場所に一番近かったのは逆神みつ子であった。
彼女は「なんね! あんたら来たんかいね!! お好み焼き食べるかね!?」と南雲隊を歓迎した。
「うにゃー! おばあちゃん、さっき振りですぞなー!! お好み焼き、あるんですかにゃー!?」
「あんたはクララちゃんじゃったねぇ! あるよ!! ちぃと待ってね! お父さん!! 六駆のお友達が来たけぇ!! 山の復元任せてもええかいねぇ!?」
遠くの方で四郎の返事が聞こえる。
「分かったぞい!! 山の1つや2つ、ワシじゃて再構築できるからの!!」
「お父さん、あんまり張り切らんことよ!! 辛くなったらアナちゃん呼ぶけぇねぇ!!」
山の復元を任せると言う人知を超えた夫婦のやり取りであった。
みつ子がアトミルカの拠点へと案内すると、そこにはミンスティラリアから帰って来てお好み焼きを食べている六駆と莉子がいた。
君ら、今回の作戦でずっとお好み焼き食べてるな。
「莉子さん!! 良かったですわ!! ご無事で!!」
「あっ! みんなぁ!! 来てくれたの!? わぁー! 嬉しい!!」
「みみみっ! 全部見てたです!! さすがはリーダーと師匠です!! みみっ!!」
「みんな来てくれたのは嬉しいけど、大丈夫? 僕たちと接触なんかして。立場的に南雲さんはまずいんじゃないですか?」
未だにちょっと綺麗な六駆くん。上官を慮る。
「逆神くん……。今回の事は、我々監察官たちの不甲斐なさが原因だ。君には感謝してもし切れない。だから、今度は私たちに君を守らせてくれ!!」
「南雲さん……!!」
莉子さんが「そうだっ!」と言って立ち上がった。
「小鳩さん!! おっぱいって何センチでしたっけ!? あのですね、アリナさんのおっぱいが思ったより大きくて!! ちょっとどっちが強いか確認したいなって!!」
「えっ!? や、あの……? 莉子さん? なんだか少しお会いしない間に、ネジが外れましたの……? 許可してないのに胸を揉むのはヤメて頂けませんこと?」
南雲修一監察官の男気溢れるセリフを一瞬で塗りつぶす莉子さん。
彼女がいつもの姿を取り戻すのはまだなのか。
下手をすると、2度と戻ってこない可能性もある。
コメント
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うわっ、506話、めっちゃバタバタしてますね!監察官たちが総出で逆神家を守ろうとしてるのが熱い…特に五楼上級監察官の「泣かんで良い!」からの雷門さん呼び出しの流れ、組織の人間臭さが出てて好きです。和泉さんが吐血しながらも指揮権移譲されて、あっくんまで中枢に入ってるのが「緊急事態だな…」と。南雲さんの「絶対に辞めさせるな!」にグッときました。そして最後の莉子さん、♡♡♡サイズ聞いてる場合かーい!ってツッコみたくなりましたが、それだけ彼女が平常心を取り戻そうとしてるのかな、とも思いました。五木さん、続きも楽しみにしてます!