記憶のオルゴール
正式名称 記憶ノ自鳴琴(じめいきん)
星ノ村の名物で、文字通り記憶を“音楽で保存する”という物だ。
星ノ村に代々伝わる“星は全てを知っている”という伝説をもとに作られた工芸品だ。
大昔では故人の為に制作を依頼されるというのが殆どだったが、近年では愛人や、友情の証としての依頼が多いのだそう。
ー星ノ村の名物、ぜひお試しあれ
T.S著
『セイクレッドの手記』より
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“転生街区”
正しくは、“はじまり街区”と呼ばれるこの街区はこの世界の創造者がはじめに作った街という神話から、その名がつけられた。この世界に度々やってくる“転生者”がはじまり街区に多くやって来た事が、そのあだ名の由来だ。
そして、今俺たちのいる場所、転生街区の入り口に当たるのが、はじまり鉱山の城下町である。
空を覆う煙は、月明かりを、日光さえも遮り、このあたりはいつでも薄暗い。
とある詩人に“夜の開けぬ町”と表されたほどだ。
「…随分煙たいわ。こんな所の宿を取るなんて。どうかしてたのね、」
先頭を歩くナリアは、ブツブツと文句を言いながら、まっすぐ宿へと向かっていく。
「さ、フリード。ここが宿よ 今日はここで休憩して、明日街区の中心に向かうの。」
そう言って宿の方を指差す。
なかなか悪くない宿だ。
ここの店主は気のいい娘で、俺の姿を見るなり、“生まれは何処か” “目はどこに付いているのか”と目を輝かせ、質問を浴びせた、
この街は“化け物”を差別する者も少ないらしい。俺みたいな奴が来ることもそう珍しくはないのだそう。
ナリアが言うには、この街区はいろんな種族が集まっている、
こういうのを“人種のサラダボウル”と呼ぶらしい。なんとも平和な街だ。
閑話休題。
割り当てられた部屋も、ベットが一つしかないことを除けば、いい部屋だった。
ナリアが言うには「予算不足」だそう。
仕方ないので、二人でベットに並んで夜まで雑談をして過ごした。
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