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周りの人は、急に大きな声で告白が聞こえてびっくりしている。
女の人は、急に私に変なこと言われてびっくりしている。
私とるぅ💛さんは、
急に私が素直になったことにかなりびっくりしている。
何故か、一ヶ月ほど会ってなかった彼が、今日はいつもよりも格好良く見えた。
理由は考えない、というか考えたくない。
ここで、私が認めてしまったら駄目なのだ。
自分に嘘をついて、私は目の前の彼の平穏を保ちたい。
………そう、思ってた。
でも、やっぱり、嘘をつけない人間は、自分にも嘘をつけきれなかったのだ。
女の人は驚いていたけど、すぐに気を取り直して、「ごめんなさい、邪魔をして。ゆっくりしてね。」と言い、
周りの人は、微笑みながら?にやにやしながら?私達の前を通り過ぎた。
そして、私達二人だけになった。
あーもー気まずい、本当何してくれてんだよ自分。
今すぐこの場から逃げたいと思ったので、早速私は行動に移そうとした。
………出来なかった。
るぅ💛さんは、私の体を力強く、でもどこか優しく後ろから抱きしめた。
(………あたたかい、というか暑い……。)
それは私から発している熱であり、るぅ💛さんからくる熱のあつさ。
背中から感じる鼓動も、更に私をおかしくする。
「……さっきの言葉。
もう一回、言って?」
囁かれた耳元から、ぶわっと自分の中の熱と冷や汗が一気に体外へと放たれる。
「……嬉しかったんです。
あの場から僕を助けようとして、咄嗟に行ってくれたことも、その言葉も。」
「……います。」
「え?」
「…っ違うんです!
私が…、私が勝手に、嫉妬しちゃっただけなんです…………。」
そう言った私の口からは、溢れ出すように次から次へと色々なことを喋っていく。
「変なんですよ。
自分で離れたい、って言っておきながら、るぅ💛さんの隣にいつも居るのは私だ、ってさっき心の中で女の人に言ってたんです。重いですよね。
私は、私が何をしたいかわからない…………。」
「変でいいじゃないですか。」
「え……。」
「恋って、そういうものじゃないんですか?
それに何がしたいかわからないなら、ゆっくり探っていけばいいですよ。
今すぐじゃなくても大丈夫。
僕も一緒に考えますし。」
それを聞いて、私の心に引っかかってた何かが、すぅっと取れた。
私は、ただ怖かっただけなのかもしれない。
るぅ💛さんのため、とか言いながら、本当は自分の弱いところを好きな人に見られたくなかったからなのかな。
(わかんない、けど……。)
るぅ💛さんは、弱いところを見ても、それを受け入れてくれる人。
一緒に悩んでくれる人。
「るぅ💛くん」の時も、出会った時も、今までも、今も、ずっとずっとそうだったじゃないか。
やっぱり私は馬鹿だ。
「……るぅ💛さん。ありがとうございます。
私、今自分が何をしたいか…………、
いや、夢が決まりました。」
真っ直ぐ、るぅ💛さんの方を見る。
すぐに顔に出て、何もできなくて、変で、馬鹿で、嘘つきの私の、
素敵な彼に言える、精一杯の言葉。
「いつか、私が、
立派な作詞家になって、
自分で共同作成できる人を選べるようになったら、
るぅ💛さんを迎えにきます。
その時まで、待っててください。
きっと、その時には、私も胸を張って、
るぅ💛さんの隣にいれますから。」
____時の流れは、とても早い。
至るところで沢山の音が聞こえる。
人の声、足音、車や自転車、様々な音楽が鳴り響く街。
その中には、私が作詞した今日がほんのり聴こえた。
“あの時”からどれくらい経っただろう。
今私は、”あの時”に関わりが深い場所へ向かっている。
イヤホンをはめ、緊張を紛らわす。
(“あの時”と、全く一緒だなぁ。)
暫くして、目的地につき、
ゆっくりとドアを開ける。
そこには、
懐かしい人が居た。
何年ぶりかに会えた喜び、夢が叶った嬉しさ、感動の涙、、、、
一気に溢れてきて、私は思わずおかしくなって笑ってしまった。
「そこは私よりも遅く来てくださいよ。
いつも遅かったのに。」
目の前にいる彼は昔と変わらず、
世界一優しい笑顔を私に向けている。
ずっとずっと昔に引退した推しは、
新たな夢を叶えた私の仕事相手だ。
fin