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あの日は絶対に来るって、言ってくれた。そのたった一言が嬉しかった。
含まれる意味の深さも、それを簡単そうに言い切る覚悟も分かる。日本の何重にも重なった苦悩を、全部知ってるから。
それでも、来れるかどうかは分からない。最終的に決めるのは日本以外の人だ。どんなに決意しても、どうにもならないことが沢山ある。
だから、背後からの聞きなれた声がとても嬉しく感じられた。
「台湾、言われた通り来ましたよ。でも、少し遅れてしまいましたね」
走って行って抱き着いたら、日本は予想してなかったみたいで、二人して転けてしまった。
草がクッションになってくれたから、怪我はしなかったけどね。
「日本! 少しじゃない、すごく遅いよ! 」
「ふふ、ごめんなさい」
日本は約束の時間より五分前後遅れてきた。ほんのちょっとだと思うかもしれないけど、その時は一生と同じぐらい長く感じた。
日本と一緒に寝転ぶのは心地良かったけど、ずっとこうしてたらお祭りに遅れてしまう。人のいっぱいいる所でデートなんて凄く希少なのに!
「忘れるところだった。これね、日本の服」
「本当に持ってきてくれたんですね。着替えさせてもらいます。……覗かないでくださいね」
「仕方ないなあ」
僕の持ってきた服は日本によく似合っていた。いつも軍服だったから、いつもと違う彼を見れて嬉しい。
「変じゃなありませんかね?」
「うん、むしろすごくいいよ」
「わ、今日はいつもより甘えたですね」
今度はゆっくり抱き着いた。日本も抱き締め返してくれて、それどころかほっぺたにキスをしてくれた。今日はもう、絶対特別な日だ。
「名残惜しいけど、そろそろ行こう。そんなに遠く離れたところじゃないから、すぐに着くよ」
「せっかくの奢りですから、豪遊させて貰いましょうかね」
「常識的な範囲内で、だからね!」
(2025/11/30)